Story
マフィアのボス、ビトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)の屋敷では、娘コニー(タリア・シャイア)の結婚式が営まれていた。ビトーは、書斎で友人達の相談を聞きながら、様々な難問に対処している。もちろん彼なりのやり方でだが、相談役のトム(ロバート・デュヴァル)が持ち前の冷静沈着さで右腕として動いていた。そして、ビトーの周りには、長男ソニー(ジェームズ・カーン)、次男フレドー(ジョン・カザール)、そして、ファミリーの仕事を嫌って生業につこうとしている三男マイケル(アル・パチーノ)がいた。
ある日、麻薬ビジネスを持ちかけてきたソロッツォ(アル・レッティエリ)の話を断ったため、ビトーは一味の者に狙撃される。病院に駆けつけたマイケルは偶然2度目の襲撃から父を救うのだった。マイケルは堅気の自分の立場を利用して、ソロッツォ達の暗殺に成功する。身の安全のためシチリアに逃れたマイケルであったが、父の退院と共にNYに戻る。そこでは、マフィアの新たな収入源として麻薬ビジネスが本格化しようとしていたが、全面戦争を避けるためにビトーは大きな譲歩に踏み切る。一旦は平穏が訪れたかに見えたのだが、ビトーの死後、ファミリー間に不穏な動きが起る。しかし、マイケルは先手を打ち大粛正に打って出るのだった。
1972年/アメリカ/フランシス・フォード・コッポラ監督作品
評価 ★★★★☆
「忘却エンドロール」の宵乃さんから、ブログDEロードショーのお誘いを受けました。作品の選定は
「そのスピードで」のケンさんです。ありがとうございました!皆で同時期に同じ映画を観て語り合うという企画ですが、前回同様また遅刻してしまいました(汗)。ともあれ、レビューをアップです。
映画の冒頭、結婚式の場面と並行してマフィアのドンの元に陳情に訪れる庶民の姿が描かれるのですが、この結婚式の華やかさと裏腹にマフィアのどす黒い現実が描写されるシークェンスで一気に惹き込まれてしまいました。この場面のマーロン・ブランドの貫禄が凄いため、「ゴッドファーザー」と言えばマーロン・ブランド演じるビトー・コルレオーネのイメージが強いのですが、実際は否応無くマフィアの世界に巻込まれてしまった息子のマイケルのドラマと言っていいですね。
最初はヤクザな家業を毛嫌いしていたマイケル。しかし、父親の暗殺未遂事件をきっかけに彼のギャングとしての本能が頭角を現します。そして、敵対組織のボス殺害を機にマフィアの世界に足を踏み入れてしまうのでした。
その後、ほとぼりがさめるまで父の故郷に逃れるのですが、そこのシチリアの風景が美しく、殺伐とした物語の清涼剤となっています。ここで出会った娘に一目惚れして一気に結婚まで行ってしまうのは、NYに婚約者がいるのにかなり身勝手と言えますが、やはりシチリア人の血がそうさせたんでしょうか。
幸せもつかの間、妻がマイケルの身代わりに爆死してしまうのですが、この事件で彼は踏み入れた世界の過酷さを身をもって知ったのだと思います。帰国後は療養中の父に代わってファミリーのコントロールに辣腕をふるうマイケル。そして、ビトー・コルレオーネがマイケルに語る言葉。「お前には表の世界から人を操ってほしかった・・・」、彼はマイケルを上院議員にしたかったようですね。確かにマイケルの実力を持ってすればそれも可能だったかもしれません。
しかし、長男のソニーは血の気が多すぎるし、次男のフレドーは小心者なので、マイケルが跡を継ぐのは宿命だったのかもしれません。そのマイケルは、大学を出て知性を身に付けている分、父親とは違った情け容赦ない冷徹さがあります。父のビトーはどちらかというと恩情派の印象がありますが、マイケルは裏切ったら最期、命の保証はないですね。
クライマックスの洗礼式。神父に向けた誓いの言葉と共にカットバックされる暗殺シーン。カトリックの信者なら誰でも経験するであろう洗礼式に暗殺を同時描写する事で、一般人とは180°ベクトルが違う方向へ行ってしまったマイケルの悲劇性が浮かび上がってきます。
ついに2代目ドン・コルレオーネとなったマイケル。父のヴィトーは、麻薬ビジネスに批判的だった訳ですが、他のファミリーが次々と禁断の領域に踏み込む中、マフィアの世界に起きるであろう大きなうねりを予感させます。部下達がマイケルに忠誠の接吻をする最中、妻の目前で閉められる扉が、違う世界の住人となった彼のこれからの運命を暗示するようでした。
その後、パート2と3で裏社会に生きた彼らの叙事詩という構図が明確になってくるわけですが、物語の起点としても、独立した一本の映画としても、重厚感溢れる見応えのある一編ですね。
(「ゴッドファーザー」198*年 山形フォーラムにて初鑑賞)
マフィアのボス、ビトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)の屋敷では、娘コニー(タリア・シャイア)の結婚式が営まれていた。ビトーは、書斎で友人達の相談を聞きながら、様々な難問に対処している。もちろん彼なりのやり方でだが、相談役のトム(ロバート・デュヴァル)が持ち前の冷静沈着さで右腕として動いていた。そして、ビトーの周りには、長男ソニー(ジェームズ・カーン)、次男フレドー(ジョン・カザール)、そして、ファミリーの仕事を嫌って生業につこうとしている三男マイケル(アル・パチーノ)がいた。
ある日、麻薬ビジネスを持ちかけてきたソロッツォ(アル・レッティエリ)の話を断ったため、ビトーは一味の者に狙撃される。病院に駆けつけたマイケルは偶然2度目の襲撃から父を救うのだった。マイケルは堅気の自分の立場を利用して、ソロッツォ達の暗殺に成功する。身の安全のためシチリアに逃れたマイケルであったが、父の退院と共にNYに戻る。そこでは、マフィアの新たな収入源として麻薬ビジネスが本格化しようとしていたが、全面戦争を避けるためにビトーは大きな譲歩に踏み切る。一旦は平穏が訪れたかに見えたのだが、ビトーの死後、ファミリー間に不穏な動きが起る。しかし、マイケルは先手を打ち大粛正に打って出るのだった。
1972年/アメリカ/フランシス・フォード・コッポラ監督作品
評価 ★★★★☆
「忘却エンドロール」の宵乃さんから、ブログDEロードショーのお誘いを受けました。作品の選定は
「そのスピードで」のケンさんです。ありがとうございました!皆で同時期に同じ映画を観て語り合うという企画ですが、前回同様また遅刻してしまいました(汗)。ともあれ、レビューをアップです。
映画の冒頭、結婚式の場面と並行してマフィアのドンの元に陳情に訪れる庶民の姿が描かれるのですが、この結婚式の華やかさと裏腹にマフィアのどす黒い現実が描写されるシークェンスで一気に惹き込まれてしまいました。この場面のマーロン・ブランドの貫禄が凄いため、「ゴッドファーザー」と言えばマーロン・ブランド演じるビトー・コルレオーネのイメージが強いのですが、実際は否応無くマフィアの世界に巻込まれてしまった息子のマイケルのドラマと言っていいですね。
最初はヤクザな家業を毛嫌いしていたマイケル。しかし、父親の暗殺未遂事件をきっかけに彼のギャングとしての本能が頭角を現します。そして、敵対組織のボス殺害を機にマフィアの世界に足を踏み入れてしまうのでした。
その後、ほとぼりがさめるまで父の故郷に逃れるのですが、そこのシチリアの風景が美しく、殺伐とした物語の清涼剤となっています。ここで出会った娘に一目惚れして一気に結婚まで行ってしまうのは、NYに婚約者がいるのにかなり身勝手と言えますが、やはりシチリア人の血がそうさせたんでしょうか。
幸せもつかの間、妻がマイケルの身代わりに爆死してしまうのですが、この事件で彼は踏み入れた世界の過酷さを身をもって知ったのだと思います。帰国後は療養中の父に代わってファミリーのコントロールに辣腕をふるうマイケル。そして、ビトー・コルレオーネがマイケルに語る言葉。「お前には表の世界から人を操ってほしかった・・・」、彼はマイケルを上院議員にしたかったようですね。確かにマイケルの実力を持ってすればそれも可能だったかもしれません。
しかし、長男のソニーは血の気が多すぎるし、次男のフレドーは小心者なので、マイケルが跡を継ぐのは宿命だったのかもしれません。そのマイケルは、大学を出て知性を身に付けている分、父親とは違った情け容赦ない冷徹さがあります。父のビトーはどちらかというと恩情派の印象がありますが、マイケルは裏切ったら最期、命の保証はないですね。
クライマックスの洗礼式。神父に向けた誓いの言葉と共にカットバックされる暗殺シーン。カトリックの信者なら誰でも経験するであろう洗礼式に暗殺を同時描写する事で、一般人とは180°ベクトルが違う方向へ行ってしまったマイケルの悲劇性が浮かび上がってきます。
ついに2代目ドン・コルレオーネとなったマイケル。父のヴィトーは、麻薬ビジネスに批判的だった訳ですが、他のファミリーが次々と禁断の領域に踏み込む中、マフィアの世界に起きるであろう大きなうねりを予感させます。部下達がマイケルに忠誠の接吻をする最中、妻の目前で閉められる扉が、違う世界の住人となった彼のこれからの運命を暗示するようでした。
その後、パート2と3で裏社会に生きた彼らの叙事詩という構図が明確になってくるわけですが、物語の起点としても、独立した一本の映画としても、重厚感溢れる見応えのある一編ですね。
(「ゴッドファーザー」198*年 山形フォーラムにて初鑑賞)
>妻の目前で閉められる扉が、違う世界の住人となった彼のこれからの運命を暗示するようでした
本当にあのドア一枚は、この世とあの世くらい違う世界をあらわしていましたね!
見ごたえのある一本でした☆
前回に続いて、URLの記録にリンクさせて頂きますネ~!
また次回もお誘いにまいります。宜しくお願いします♪
ご夫婦で鑑賞されて、映画レビューを書かれているのですね!
まずそこがおもしろいな、素敵だな、と思いました!
>一般人とは180°ベクトルが違う方向へ行ってしまったマイケルの悲劇性が浮かび上がってきます。
マイケルという人間が変わってしまったことを、象徴しているシーンですよね!
マフィアのドンとしての采配を振るうマイケルですが、
初代ヴィトーとは違う方向に進んでいることも感じで
悲しくなってしまいます。
続編、まだ観ていないので
この機会に鑑賞しようと思っています!
楽しみです!
>シチリアの風景が美しく、殺伐とした物語の清涼剤となっています。
ほんとうに美しかったです。この作品は怖くて一歩引いて観てしまったんですが、こういう風景などの美しさにはハッとさせられました。
マイケルにとってシチリアで過ごした時間がどんなに輝かしいものだったか伝わってくるようです。
こういった明暗が作品の深みを増しているんでしょうね。
この度は企画に御参加いただき、ありがとうございました。
こちらはデザインもよくて、とても読みやすいブログですね。
>ここで出会った娘に一目惚れして一気に結婚まで行ってしまうのは、
>NYに婚約者がいるのにかなり身勝手と言えますが、
>やはりシチリア人の血がそうさせたんでしょうか。
そう、そうなんですよ!
わかってくださる方がいて嬉しいです(笑)。
実際にアル・パチーノの両親はシチリアの出身なのですが、
本人もそのことを忘れていたくらいなのに、
この映画の撮影で自分のルーツに目覚めたらしいです。
島での顔つきがなんか、普通じゃないですよね。
>カトリックの信者なら誰でも経験するであろう洗礼式に暗殺を同時描写する事で、
>一般人とは180°ベクトルが違う方向へ行ってしまった
>マイケルの悲劇性が浮かび上がってきます。
「悲劇性が浮かび上がる」、カッコイイ表現ですね~。
パート3では、総本山のバチカンの腐敗を描くことで、
本格的に救いのない物語になるのが恐ろしいですが。
>大学を出て知性を身に付けている分、父親とは>違った情け容赦ない冷徹さがあります。
確かに…この辺りは温情のあった父とは違い恐ろしい部分がありますね。
しかし2、3は観たことがないのですが、冷徹なだけでこの後「ゴッドファーザー」としてやっていけるのか?というところも感じられました。
トラックバックありがとうございました。
こちらからもさせていただきました。
今回もリンク、ありがとうございました!
名作だけあってレビュー書くのも一苦労でした(笑)。
扉が閉められた後のドラマがどうなるのか、続編が観たくなるラストでした。
では、次回の企画も楽しみにしておりますので、よろしくお願い致します。
コメント、ありがとうございました。
夫婦で行っているのですが、妻の方は育児が忙しくて最近はなかなか記事をアップ出来ませんが、こちらこそよろしくお願い致します!
本来ならまっとうな人生を歩むはずだったマイケルですが、完全に歯車が狂ってしまいましたね。
しかし、初代ヴィトーの時代とはマフィアの世界も変わって来ているので彼の冷徹さが威力を発揮すると思います。
2と3も見応え充分ですので、是非観て下さい!
コメント、ありがとうございました。
今回はブログDEロードショーへのお誘い、ありがとうございました。重厚な物語を味わう事ができて満足でした。
美しいシチリアでしたが、そんな地方にもマフィアの魔の手が襲ってくるのですから恐ろしいですね~。
マイケルも自分の置かれた世界の過酷さを身を以て知ったのだと思います。
では、次回も参加したいと思いますのでよろしくお願い致します。
今回は「ゴッドファーザー」を企画して頂き、ありがとうございました。
最近の映画にはすっかりなくなってしまった、重厚で非情な人間ドラマを堪能する事ができ、充実の3時間でした。
私達のブログですが、妻のnyancoは育児が忙しくて記事をなかなかアップできませんが、今後ともよろしくお願い致します!
パチーノのご両親はシチリア出身でしたか!
それはこの映画にピッタリのキャスティングでしたね。
確かにシチリアでの彼はちょっと違ってましたね。もっと冷静だと思ってたのに、あれれ、やけに情熱的になったな、と思って観てました(笑)。
私は3部作の中でパート3が一番好きなのですが、また観たくなってしまいました。