一時期は やたらキズナとかいうワードが
さも当たり前に存在するかの様に広がった
失ったものをつなぎ合わせるのにはもってこいの呪文だ
流れが収まり 人から人へ伝わるのも治まった
おかげで私は漂流者となり 全ての繋がりを断ち切られ
未だにプカプカと波に浮いている状態が続く
静かに安定はしているが いつ転覆してもおかしく無い
雨は防げても横風には弱いし
逆さにしても船では無いので舵は取れない
大きな大陸にはたどり着けそうも無い波の流れは
淋しさを犠牲にして あえて過去からの呼び声を無視する
そうすれば人に嫌な思いをさせないですむ
これは優しさではなく 自分の愚かな流儀だ
誰も見てなくても 救助を待つフリを続けるのは
この漂流感覚が心地良いからに過ぎない