酒呑みの正しい生活

転移

何かおかしい。
何かが変だ、

自分の身体に何か特別な事が起こっている事は感じます。
けれども、それがいったい何なのか、全く見当も付きません。

それから一週間後に次の定期検診がありました、
この一週間は車の運転はもちろん、外出する事も極力控えています。
その為に現在の自分の身体がどんな状態なのか、どの程度動けるのか判りません。


この日は心配もあったので、朝イチで病院へ。

朝7時過ぎには到着しました。


それでも既に病院前には待ちの行列が。

みんな病院が開くのを今や遅しと並んでいます、


中に入ってもこの通り。

大学病院恐るべし。


そしてここから長い長い1日が始まります。

まずは呼吸器内科の指示で肺のレントゲン撮影、


なんと言うことでしょう。

肺炎も気胸も大きく改善しています。
これには先生もびっくり。

とても喜んでくれたのですが、次の自分からの報告に先生の顔が曇ります。
身体の右側が痺れていると訴えると、すぐに整形外科の神経専門医のところへ行くように指示。

こんな時は大学病院は本当に便利です。


そしてこの日2回目のX線検査、今回はCTスキャンです。

背骨付近を中心に何度も画像を確認するも、特段おかしな箇所は無し。
そのままいつもの化学療法科へ行くと、自分の主治医の先生が緊急で別な科の先生を呼び出します。

呼び出されたのは若き脳外科の先生。
このA先生の指示で、急遽この日3度目のX線検査。

今度は頭部のMRIです。


撮影されたMRI画像をじっくり見るA先生。

この時、時間は既に5時を回っており、病院内にはほとんど患者も残っていません。
しかも脳外科受診では無く、別な診療を受診している患者の為に残ってくれているA先生。

ゆっくりとMRI画像をスライドして行くと・・・
「あった」
A先生が呟きました。


脳への転移です。

もっとも転移して欲しくない場所にしっかりと転移していました。
身体が不自由になった原因はこいつです。

自分の身体に何が起こっているのかは理解できました。
但し、悪性腫瘍の脳への転移は、平均して余命3ヶ月です。


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