次に自分の意識が戻って来たのは、手術が終わって頭に装着した金具を取り外していた時でした。
まだ麻酔から覚めず、朦朧としているのに、頭蓋骨に食い込んだボルトを外す痛みを感じます。
「目が覚めましたか?」
「手術は無事に終わりましたよ」
そう声を掛けられて、車椅子に座った状態で顔と頭に残った傷に包帯が巻かれました。
腕には麻酔やステロイドを注入する為の針が残されています。
「気分はどうだ?」
早朝にも関わらず、S院長自ら声を掛けてくれました。
「安心しろ、全部やっつけてやったから」
ほっとすると、頭の傷が痛くなって来ましたよ。
それでも、小さなキズ数カ所のお陰で、命が助かったと思えば安いものです。
「助かったんですね、本当にありがとうございました」
癌の告知を受けた時も、余命宣告を受けた時も、自分でも驚くほど冷静に受け止めていたのですが。
こうして自分を助けようとして、多くの人達が尽力してくれた事を思うと、後から後から熱い涙が出て来ます。
「本当に本当にありがとうございました」
この後は自室に戻って休みます。
脳の腫瘍を焼き切った事により、一時的に身体の痺れは増大するそうです。
「危ないから勝手にちょろちょろ動き回るんじゃ無いぞ」
小学生が受けるような注意を念押しされました。
入院患者の部屋は全員が個室のようです。
冷蔵庫や電子レンジも完備、湯沸かし器もテレビも使い放題です。
お風呂やトイレも自室に完備されています。
出張で使うビジネスホテルより、よっぽど広くて設備も良いですね。
後は大谷翔平の活躍を観ながらボーッと過ごします。
手術後の経過観察をしたら、もう翌日は退院です。
物凄く大変な手術だったのに、退院までが早い。
現代医学の進歩を実感しながら寝落ちしました。
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