「70歳以上には気管挿管処置(人工呼吸器で治療すること、いわゆる重症治療)はしない。」ということを、いともあっさりとひそかに決めて、県の方針として重症患者の転院を断る理由にもしている、という衝撃(ひょっとして、そう感じるのは私だけ?違うと信じたいですが、、、)の事実。
それは、とにもかくにも重症ベッドが少ないからに他なりません。
だからと言って、断った医師や病院を責めるのは酷です。今、コロナ医療に従事している彼らは、誰も本気で統制をとろうとしないこの散漫な医療体制の中で、まさに身を挺して診療に従事している立派な医療者です。本来仕事をすべき医療機関があぐらをかいて動かない中、見かねて一生懸命コロナ診療に従事している心ある医療スタッフです。本当のするべき仕事をしていない人は別のところにいます。
いずれにしろ、県は、少ない重症ベッド数でやりくりするために、重症ベッドを増やす手段を追求するのではなく、患者の選別(70歳以上には重症治療を施さない)という手段を選択したことになります。
つまり、少なくとも私のいる県では、現在の新規感染者にとっては、かつてのイタリアと同じ状況になっているわけです。今、感染してしまうと、70歳以上であれば、人工呼吸器は使用してもらえないわけですから。
人工呼吸器を装着したり、集中治療室に入ったりしなければ、重症者にカウントもされません。仮にお亡くなりになった場合、重症者数をスキップして死者数にカウントされることになります。発表される重症者数の裏に、隠れた重症者がいるわけでもあります。
これは私の県だけのことでしょうか?日本のごく一部の特殊な地域のことなのでしょうか?
確信を持って違うと言えます。
患者を選別しなければならない原因が、重症ベッドが少ないことだからです。
重症ベッドに余裕がある地域は、感染者数が少ない地域だけでしょう。ほとんどの地域で余裕などかりそめもないはずです。少なくとも、現在感染者数が激増している地域は、現在のこの散漫な医療システムでは、患者の選別をすることでしかベッド数の不足を解決できないはずです。
そして、もっと言うなら、そもそも、私の県が独自でこのような重い決断をひそかにできるとは考えられません。どこかの大きな都なり府なり県なりで病床逼迫時に行われた(もしくは行われている)情報をもとに、むしろ後追いで決めているはずです。病床逼迫地域での、現在の日本の対応方法となっている可能性が高いと思う理由です。
ですから、今、この現在に、流行地域でコロナに罹患するということがどういうことか、まずはしっかり知っていただきたいと思います。
70歳以上の方は、十分な医療が尽くされない可能性があります。少なくとも私の地域ではそうなってしまっています。それが今の医療の現状だと、重く受け止めていただきたいと思います。そして、若い方でも、もしもご高齢の人に感染させてしまった場合はどうなるか、重く受け止めていただきたいと思うものです。
高齢の方は、ワクチンがもうすぐです。本当にもうすぐそこです。それまでは、少なくとも緩めずに、むやみに出歩かず、会う人も限定して、とにかく今、感染しないように心がけてください。そう強く強く祈っています。
あえてもっと強い言葉で言います。
今、高齢者の方に感染予防を強くお願いするのは、「感染すると病床が逼迫するから」という理由ではもはやないのです。重症治療がされない以上、本当に大切な重症病床が、高齢者の感染で逼迫させられることはもうないからです。すなわち、例えば私の県の事実を冷たく言うならば、高齢者の方は、今のこの変異株による脅威的な感染者の増大の中、重症治療から静かにひそかに外されているのです。その事実を、せめてこの文章を読んだ方だけでも知ってください。私の県では、高齢者が重症になった場合、医療はそれを救いません。確実に助かる方法は、もはや感染しないことだけに本当に限定されているのです。
感染すると病床が逼迫するから、ということなら、感染しても治療は受けれそうに思いませんか?その甘いカモフラージュに惑わされることなく、どうか事実を知っていただきたいです。どうか、せめてワクチン接種が終了するまで、高齢者の方々は感染対策を十二分に行ってください。強く強く祈念しています。
まだ続けたいと思っています。
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