ワンダー×ワンダー。WONDER×WONDER。NHKの科学な番組。
いろんなワンダーな現象をとりあげて深く突っ込んでくれます。なかなかおもしろい。「ホッケ柱」の回を見ました。
「ホッケ」というのは、あれね。居酒屋の定番。開いた形で出てくるうまい魚。
場所は北海道の奥尻島。普段は水深の深い海底に棲んでいるお魚ですが、春(4月~5月)になると、海面近くで発生する大量のプランクトンを食べに浮上してくるそうです。それが大群をなし、群れが渦を巻いて柱のようになる!大きなものだと20mほどの柱になるそうでございます。この現象はかつてはいろんなところで見られたそうなのですが、今は「幻」なんだって。
それを撮影、撮影に成功しただけでなく、そうなるメカニズムを追求していました。
これがおもしろかったー
まず、大群で「柱」になることで、どんなオイシイことがあるのかというところの考察。
柱になると、海面に「渦」ができます。ほら、お風呂の栓を抜くと、最後の方は穴に吸い込まれる水がくるくるして渦ができるでしょ。あれが海面にできる。ホッケ柱のエネルギーはそれほどでかい!
さかなクン大興奮!
・・・はどうでもよくて。その渦が海面付近のプランクトンを巻いて海の下の方に送る効果をもたらします。で、下の方にいるホッケもえさにありつける。
もうひとつには、海面にはカモメがいてホッケを捕まえて食ってやろうと狙っています。海面付近にいると襲われる危険があるが、海面からちょっと下の方にいれば安全。カモメは水に潜れないからです。
こういうおもしろい現象がどうして発生するのか。そのメカニズムの検証。
なんでホッケが集まると渦が発生するのか?ホッケを解剖してみる。多くの魚が持っているある器官が、ホッケにはありません。
なーんだ?
それは「うきぶくろ」。
たぶんサメとかエイとかカレイとかもそうなんですが、ホッケにも浮き袋がありません。なので、ぼーっとしてても(筋肉を使って泳がなくても)浮き沈みできる魚と違い、ホッケは浮上するには一生懸命尻尾を振って泳がなければなりません。
ホッケがたくさん集まると、浮上する→水を下の方へ送る力が働く。
それで渦ができるわけですな。
じゃなんであんな風にうまく「渦」が発生するような群れの形になるのか?
・・・これ、うまく考えたものですよねぇ。
誰か、優れた「ホッケのリーダー」がいて、そいつが仕切ってるのか?ホッケが頭が良い魚で、「こうしたらうまいぞ!」とみんなが考えて協力してやっているとか?
どうもそうではなくてですな。
「魚の群れ」は、どこかにリーダーがいて、そいつが動きをコントロールしているのではなく、個々の魚がある単純な3つのルールによって動くことで形成されているらしい、というのが有力な説になっているそうです。「BOID」というアルゴリズム。
これ、新聞で読んだことありませんか?「スイミーはいなかった!」って記事。
スイミー。国語の教科書とか、たぶん30代以上くらいだったらテレビCMみたことある人もいるかも!
赤い魚の群れがいるんですが、その中で一匹だけ真っ黒な魚がいてね。名前は「スイミー」。
・・・あとは調べてくださいませ。「ぼくが目になろう」って名台詞、これ永遠の輝きね。
3つのルールというのは、
・仲間と同じ方向に向かう
・互いにぶつからない
・群れの中心を目指す
これだけ。
3次元でシミュレーションするとほんと魚の群れみたいな動き。リアル!コンピュータというか物理というか何かわかりませんが理系の世界ってすごいよねぇ。すごいわー
で、これにちょっとしたルールを加えるだけで、ホッケ柱になるというんです。
・海面付近のエサがあるあたりに向かおうとする
・一定時間エサを食べると(疲れて)下の方に降りる
・・・見事なホッケ柱の動きが再現された!!!
ホッケ1匹1匹はただエサを食べたいだけで、でも浮き袋がないからある程度の深度を保つためにはずっと泳いでなければいけなくて、そのうち疲れて下のほうに沈んでいく・・・
プラス、3つの基本ルール。
で、ああいうオイシイことになるというわけですよと。
すげーおもしろーい!自然ってほんとワンダーWONDER!
・・・という感じでひとり夜中に感動しまくってました。
ではまた!