映画もだいぶ観なくなって。今回は「おおかみこどもの雨と雪」以来なのでほぼ1年ぶりでしょうか。
映画始まる前の予告編あるじゃん、あれ観るといくつか観てみようかなあというのはあるのですが、結局行かないことが多くて。いくのはいつも細田守作品かジブリです。そう、その2つは良かろうが悪かろうが劇場で見なければ気が済まないのだ。
というわけでここからはネタバレありだよーーーーー
まだ観てなくて、これから観る予定の人はここで回れ右だ!!
準備はいいか!
ほんとうに?
書いちゃうよ?(´・ω・`)
空にーあこがれてーー♪
正直な感想ですが、いい映画には違いないんだとおもいますが、「そんなみんながいうほど感動するかなぁ」という感じでした。「おおかみこどもの雨と雪」は、感動しちゃって涙があふれてどうしようもなかったのですが・・・
絵はさすが宮崎駿さんです!関東大震災のアニメーションとかすごい。細かい人のひとりひとりがごにょごにょ動いてるよ!
これ、描いているのは、堀越二郎技師がモデルですよね。堀越さんは、三菱の技術者で、かの有名な零式艦上戦闘機の設計をされた方です。
「飛行機」がメインテーマなので、ドイツのユンカース博士もちょびっと登場したりします。メッサーシュミット博士が有名ですが、「ユンカース」博士もいたんですね。
私はけっこうこのあたりの話が昔から好きで。子どもの頃はアバロン・ヒル社のウォーゲームにはまり、ウォーターラインシリーズにはまり、学生時代はPCのSLGにはまり、今はもうサービス終了してしまいましたが、「Fighter Ace」っていう、海外のマルチオンラインフライトシミュレータゲームにはまり… みたいな感じで、関連する文献も数多く読んできました。趣味で。
このあたりの予備知識は、吉村昭さんの「零式戦闘機」っていう本によるところが大です。柳田邦男さんの「零戦燃ゆ」も読んだのですが、そっちはあんまり印象に残っていなくて。「零戦の栄光と悲劇」みたいなところで、ぶわぁって盛り上がるようなストーリーは、私はあんまり好みではないのかも。たんたんと数字と技術の話を積み上げて描いていく吉村昭さんの描き方が好きなのです。
「牛車で工場から各務原の飛行場まで飛行機を運んでいく」… っていうシーンがあったでしょ。そういうところ「遅れてる」って。そのあたりの風景描写は、「零式戦闘機」の冒頭にでてくるシーンだったりもします。宮崎さんも、きっとこの本は読んでるんではないかなあと思います。
このあたりの世界の航空機の技術競争の話は、映画を抜きにしてもおもしろいですよ。
おもしろいのは、戦争の話ではないです。当時の世界の先進各国の技術競争の話。そして、その中で日本という国が必死でくらいついて、必死でやってるうちに、ついには世界から一歩リードした!っていう話。
当時は世界大戦の時代で、まだ空と海と陸の時代(宇宙はまだ)で。幕末明治の頃は、海を制するものが世界を制したのかも知れませんが、この頃はもう航空機の時代ですよね。要するに優秀な戦闘機をたくさん持ってる国が強くて…というより、優秀な戦闘機がなければ生き残れません、みたいな時代だったのだろうと思います。
当時の航空機先進国は圧倒的に欧州。ドイツ、フランス、イギリス。イタリアあたりもかな?アメリカ、ロシアはどうだったんでしょうか。
優れた軍用機を作るには、ただ単にアイデアや発想がいいというだけでなく、工業の総合力が問われるそうです。飛行機っても、軽くて強い金属とか、軽くても馬力があって壊れないエンジンとか。それも、当たり前ですが1機とか2機すごいのができても戦力にはならないので、1ヶ月に何百機とか作れて、保守も簡単で、燃料も調達しやすくて、人が操縦しやすくて…要するに運用ができないと(飛ばせないと)ダメ。
その意味では、とにかく日本は工業力もないし、20年は遅れていて。
零戦の前身である九六式艦戦―
…堀越技師が設計して大陸戦線に投入された戦闘機。
「風立ちぬ」に出てきた、ナオコさんが北海道の病院に帰った日にテストが成功した、逆ガル翼の白い美しい飛行機がたぶんそれです。この九六式艦戦の、驚くべき性能が欧米に伝わったとき、「何かの間違い。そんな夢のような飛行機が日本に作れるわけがない」って思われたくらい、当時の時代の最先端を飛びぬけた性能の戦闘機だったって。
堀越さんの同僚で「本庄」さんって出てきました。彼もまた優秀な技術者で、九六式陸攻とか一式陸攻とかを設計した人。よく、日中戦争の映像で、大陸を(重慶市とかを)長距離爆撃しにいく爆撃機の編隊がテレビで映ったりすると思います。あの、水平尾翼の上に2枚の垂直尾翼が立ってるのが九六式陸上攻撃機です。
映画にもちょびっと出てきましたよね。「ちょっと弾が当たっただけで火達磨になってしまう」って本庄技師が。そうなるのは分かってるんだけど、海軍の戦術思想がそうだから(簡単にいうと「弾は当たらなければどうということはない」っていう思想)、設計屋にはどうしようもできないって嘆くところ。
技術者の「夢」の軍用機の目指すところの性能は、軍の仕様の要望を満たす、というところで決まります。雰囲気はだいぶ違うと思いますが、受託開発のIT技術者といっしょですよね。
速度、上昇能力、武装、航続距離…
それらを全部満たせば、それこそ世界一の戦闘機、爆撃機!っていうような夢の数字が並んでいて。それを満たすために、限られたリソースや所与の条件の下で、いろんな工夫をする。相手は世界の一流の航空機メーカーです。
映画で「ちんとうびょう」って言ってたでしょ。「沈頭鋲」って、ネジのアタマの形状は当時の常識では丸いんですが、この丸いのを平たくして(つまり「沈頭」)空力をよくしようっていう工夫。
他にも、強度を損なわない程度にできるだけ機体重量を軽くするために、骨組みに穴をあけたり。最先端の軽くて固いジュラルミンを使ったり。プロペラの回転速度を自動調節する仕組みを作ったり。脚は離着陸のときにしか使わないので、飛んでいるときは翼の下に収めたり…
そういうことを突き詰めていくと、飛行機のフォルムっていうのは、「美しく」なるんだって。「美しい飛行機をつくりたい」っていうのは、殺人マシーンを作ってるひとが何いってんだ、って話になるかも知れないんだけど、この映画の話の文脈では矛盾しないんです。
殺人マシーンを作ってるのは時代の要請であって。宇宙旅行をするためのロケットだって、最初は大陸間弾道ミサイルのための技術ですよ。それがあればスイッチひとつで核兵器を相手の都市に短時間で運べて、しかも迎撃も難しいという。原子力とかも何でもそうだと思うのですが、技術っていうのは常にそういう二面性があって、作る側の問題ではなくて、使い方の問題というか。
今でいうと、「コズミック・フロント」っていう宇宙開発の最前線を扱ったBSプレミアムの番組、あれが私は大好きで毎週録画してみているのですが、あれにつながるものがあります。
人の夢を実現するってところ。飛行機ができる前は、空を飛びたいっていうのは夢だったんだと思いますが、その次は、「宇宙にいきたい」っていう。宇宙開発技術の最先端のお話。
人の好奇心、知りたいっておもう気持ちの先にある研究の果ての大発見。地球は実は太陽の周りを回ってるんだとか、今まで誰も知らない星や惑星を見つけたお話とか、地球以外の星にも、宇宙人がいるかも知れないとか。
世界から見たら日本は小さいんだと思いますが、宇宙から見たらやっぱり地球も小さいんだと思うんですよ。
似てるなあと思うんですよねぇ。だから感動するんだと思います。ひとのチャレンジと、その成果と、そのストーリーに!
ちょっと話が脇道にいったのですが。
零戦を扱う話を見ると、どうしても「あの感じ」を思い出してしまいます。
例えば、司馬さんの「坂の上の雲」がそうですよね。極東の小さな小国の島国が、ものすごい背伸びして、ものすごい頑張って、ブレイクスルーをして、陸と海で、特に日本海海戦で、なんですが、欧州の大国を、奇跡に近い完全勝利で打ち破ってしまうっていう。
「打ち破ってしまう」って感じなんですよね。もとより自信などあるわけはないんです。ただ、やるしかなくて。
巨象だか恐竜だかに勇気を持って立ち向かっていくような感じなのですが、「やるしかない」っていう。危機感だけで。
でも、ただ突撃してくんじゃなくて、勝つための工夫っていうか、できないと思われたことをできるようにする知恵と工夫がものすごく投入されて。
そういうところが、まぁ感動的なわけです。「零式戦闘機」も「坂の上の雲」も。私もやっぱり日本人なので。
そういう視点がどうしても先に立ってしまったせいもあるんだと思います。で、「ジブリらしい」ファンタジーとか、素直な感動ストーリーとかともちょっと違うしで。そっちを期待すると、零戦の話はなじまない。
たぶん、相容れないんだと思うんですよね。いわゆる「ジブリらしさ」と、こういうドキュメントタッチな重厚なテーマとが。だから、いろんな話が中途半端に見えてしまった、ということなんだろうと思います。
こないだ、Twitterで「バルス祭り」っていうのがありましたね。日本テレビの金曜ロードショーの「天空の城ラピュタ」のあるシーンで、主人公とヒロインが、秘石の結晶を恋人握りして、「バルス」っていう「滅びの呪文」を唱えるというのがあるのですが、そのタイミングで、全国のTwitterで「バルス」とつぶやくというお祭りw
てか、いつからそんな祭りが始まったんだろうw
まぁ、自然発生的なものですわな。
それで、1秒間で14万だっけ?それまでの瞬間最高風速が、いつかの「あけおめ」の瞬間の3万ちょいだったそうですが、それを大幅に更新する記録。そしてTwitterのサーバーは、何事もなかったかのように涼しい風で稼動!
っていうね。
説明が長くなりましたが、要するに何がいいたいかというとだな。
シータぁ!
パズー!!
ああ、ラピュタは名作だよまじで(´Д`)
私は子どものときに「天空の城ラピュタ」を見て、宮崎さんの信者になりました。なので映画館にいくのですが、どうしても、ラピュタを超えるのを期待して、その期待を裏切られてしまうっていう。もう慣れっこになったのでだからどうだというのもないんですけど。「そういうもん」っていうか。
今回は、いつも以上に、なんとなく終わってしまった感じでした。
最近では「アリエッティ」はけっこう良かった。一番近づいたのが「紅の豚」かなあ。
けど、最後の、ユーミンの「ひこうきぐも」は、よかったですよねー(´Д`)
例のaikoとユーミンのコラボを思い出しちゃう。
aikoの親戚のお兄ちゃんがガンで、お見舞いにいったときに、ずっと流れてた曲がユーミンの「ひこうきぐも」だったって。そのときのことが今でも忘れられなくて。いつかユーミンに会ってお話することができたら、その話ができたらいいなっておもってたって。
その話をきいたときから、私の中での「ひこうきぐも」はそういう歌です(´Д`)
まぁ仕方がない!
というわけで、パンフレット。
つまらん感想でごめんなさい。
ではまたー