未来を拾いに

aikoのことしか頭にないひとのブログ

竜とそばかすの姫

2021-07-17 20:14:12 | 映画

いつもは初週に見ることは少ないのですが(混んでるのが嫌なので=落ち着いてから見る)今回は初週の週末に劇場にいってきました。
細田守さんの映画は「時をかける少女」以来、必ず劇場で見なければ気が済まないのです。いわゆる信者ってやつですね。

信者なのですが、細田守さんも売れっ子になりすぎてしまって、私も世間も新作に対する期待値のハードルがすっかり上がってしまいました。
そして、そのハードルの期待に応えようとしすぎてしまうのか、細田さんの映画作品も、最初の頃に比べて小難しくなってしまっていってる気がするというか、最初の頃の良さがだんだんなくなっているような…そんな感じが、特に「バケモノの子」あたりから感じてきて、そして「未来のミライ」で決定的に(私は)がっかりしました。

ということがあるので、今回はどうかなぁと半分思いながら見にいったのですが、「竜とそばかすの姫」は、よかったです…
とてもいい映画だったと思います。


というわけで。
この記事は見てきたばかりで書いてるその感想です。ここから先はいつものように遠慮なくネタバレありで書くので、これから見るひとはここから先は見てはいけません。

でははじまりはじまり。


細田さんの映画作品を見るのは6回目です。前作は3年前でしたね。もう6本目かとおもうと時がたつのは早いものです。
そうですね、私は「時をかける少女」がいちばん好きで、次点が「おおかみこどもの雨と雪」、その次が「サマーウォーズ」かなぁ。

今回の「竜とそばかすの姫」は、

時をかける少女>竜とそばかすの姫=おおかみこどもの雨と雪>サマーウォーズ>>>>>その他

くらいには好きかもしれない。


今回も全く予備知識なしで行きました。CMとかポスターとかでチラッとシーンを見たくらいです。
それだけ見てるとディズニー映画っぽいじゃないですかなんか。
なので、今回はやけにファンタジー寄りにきたなぁと思っていたけど、そんなことはない、いつもの細田ワールドな映画でした。

あのディズニー映画っぽいファンタジー世界は、つまりはバーチャルなSNSの世界であり、「竜」や「そばかすの姫」はアバターなわけですねー。
映画の冒頭はいきなりその世界から入るわけですが、ここで引き込まれますね。

歌がいい!

今回は「歌」がひとつの重要なピースなのだとあとでわかりましたが、作品全体を通して歌がよかった…
歌はひとのこころを感動させる力がありますよねぇ。それがこういうシチュエーションであると何倍にも増幅されてしみるのです…


今回の細田さんらしい現代風「あるある」のテーマは、まぁ、ネット世界ネット社会と現実世界現実社会の間にある「ひずみ」といいますか、「闇」の部分が一方にあり。
そしてその一方で、ネット世界ネット社会にこそある救いというか希望というか、それで人がつながっていて、人の心が救われるんだぜという。
そういうところでしょうね。

「闇」の部分はわかりやすくて、まぁ、ちょっと炎上したらすぐエスカレートしてめちゃめちゃな暴力やいじめになったりとか。
自分なりの正義を振りかざして容赦なくターゲットを攻撃しまくる正義警察気取りな個人や集団だったりとか。
現実世界の「正体」を「特定しました!」とかってさらし者にしたりとか。
現実世界ではしょぼいけどネット世界では「すごい自分」「いけてる自分」を演出しようとする人々、自己承認欲求の塊な人々とか。

まぁそういういろいろですわな。そのへんを暗に描くのはうまいですよね。


なのですが細田映画は常にハッピーエンドなので、「そうなんだけども!」っていうところに感動があるわけですねー
そこはまぁ劇場で見てほしいと思います。

主人公の女の子は、幼い頃に母を事故でなくしてるという設定なのですが、これが事故というかなんというか…
これが本当にかわいそうでかわいそうで涙なしには見られないような事故なんですね。
それがあるので、ラストでその心の傷から前を向くことになるわけですが、そこの落差がおおきいので、この結末はしみます。

まぁでもクライマックスは、バーチャルなSNSの世界で、アンベールされての、あの歌唱シーン。

これが本当によかった…

ディズニー映画もミュージカル的な演出があるでしょ、まぁあれなんですけど。
繰り返しますが、ベースに主人公が心の闇から解き放たれる!というのがあるわけ。だからこそこれはしみる。
この歌を歌っているのは誰なんだろう?とも思ってあとでパンフレット買ったりもしたのですが、「だれでもしってる有名なあのひと!」っていうわけではなかった。
けどいい歌い手さんだなあとおもった。

感動したよ( ;∀;)

このシーンがあまりにもよすぎて、そのあとのいろんなシーンが、
伏線回収というか物語をクローズさせていくのに必要なシーンなんだろうけども、ちょっとまとめにもっていってるなー感がでちゃったかな?
という感じになってしまったのがややもったいなかったかも。

突き抜けるほど晴れた青い空と白い雲。入道雲。これは健在!細田さんの映画は、すっかり「夏のアニメ映画」の定番の立ち位置になりましたねぇ。

たぶん見るひとを選びそうなので、ダメなひとには「どこがいいの?」って感じの映画かもしれませんが、いや、これはよい映画だとおもいます。
是非ともたくさんのひとに見てほしいです。


これ、最後にわかったんですが、舞台が高知県の「いの」(伊野)なんですね。
昔、春の選抜高校野球で、渡辺智男っていう好投手を擁して桑田清原のPL学園を決勝で破り優勝したのが「伊野商」っていう高校だったんですが、
ああ、あの伊野商はこういう感じの風景にあるんだーという、あんまり映画に関係ないことを思い出したりしました。

 

星は5つ!
★★★★★

ストーリーもいいが、とくに歌がすばらしくて鳥肌モノなので是非とも音のいい劇場で観ていただきたいとおもいます!