図書館、行く?

いそまる読書会(2019年度・第3回)

開催場所:2019年11月15日(金)10:00~12:00
開催場所:大磯町立図書館2F小会議室 参加者4名
課題図書:上橋菜穂子著「精霊の守り人」(新潮文庫など)

 2019年度は4回に分けて「ファンタジー小説」を読んでみようということで、これまでに下記の課題図書を取り上げてきた。
   第1回(5/24):「時をかける少女」(筒井康隆著、角川書店)
   第2階(8/23):「光の帝国」(恩田睦著、集英社)

 今回の「精鋭の守り人」は上橋菜穂子の「守り人・旅人」シリーズの第1作目にあたり初版は1996年に偕成社から児童文学として出版され野間児童文芸新人賞を受賞。
その後「闇の守り人」、「夢の守り人」、「虚空の守り人」、「神の守り人」(来訪編・帰編)」、「蒼路の旅人」、「天と地の守り人3部作」、と10年以上に
わたって書きつないで来た。その過程で若い読者以外に大人の読者も増えてきたので、2007年に文庫本化する機会に漢字を増やし大人でも読みやすい形に書き改められている。
巻末の解説の中で恩田陸は「私たちが読むべきファンタジーにようやく巡り合った」と述べ、神宮輝夫は「日本にも本格的なファンタジーと物語の時代が来た」と述べている。

上橋氏は1962年生れの57歳、立教大学出身の文化人類学者で、1989年(平成元年)に「精霊の木」で児童文学作家として文壇にデビューし、今年2019年(令和元年)に作家生活30周年を迎えた。その間数々の賞を受賞し、2014年には「国際アンデルセン賞作家賞」も受賞している。

今年の4月20日に公益財団法人日本文学振興会主催のオープン講座「人生に、文学を」の講師とし登壇し、「物語の魅力の底にあるもの」と題して立教大学で2時間の講演を行ない、自分の作家人生を振り返り、どのような気持ちでこれまで作品を書いてきたかを詳しく語っている。
彼女は高校生の頃読んだトールキンの「指輪物語」に大きな感銘を受け、あのような物語を書いてみたいと思うようになった。自分は決して児童文学者ではない、子供から大人まで年齢・性別にかかわらず幅広い人々に読んでもらえる小説家でありたい。多くの人たちが様々な好みを持っているからこそ、多様な面白さが広がっていくと思う、と述べている。

その講演要旨は(https://www.jinsei-bungaku.jp/event11.html)、講演動画はYouTubeにアップされている(https://youtu.be/RA402FECudk)ので興味のある方はご覧ください。
 
読書会は、最初に石井コーディネーターから、「守り人」シリーズの解説があり、その後、参加者から読後の感想が披露された。さらに、最近の出版業界の現状に関する意見交換も行われた。



●  ファンタジー小説は子供の漫画みたいなものと思っていて、これまで、あまり興味がなかったが、この作品を読んでとても面白く引き付けられた。
   今後もっといろいろ読んでみたい。
●  最初の部分など、読んでいて、その情景が絵画を見るように目に浮かぶ。優れた文章力に感心し、物語に引き込まれていった。
●  この本は大人が読んでも面白く読める本で、昔購入してそのまま読まずに放置されていた上橋氏の作品が本棚にあるのを思い出し改めて
   読んでみたい。
●  精霊の発想がどこから出てきたのか興味深い。正義と悪の織りなしが面白い。
●  日本はファンタジーの歴史が浅く50~60代以上の大人はあまりファンタジーを読んでいない。良い作品が出れば大人の読者も増えるだろう。

第4回は2020年2月28日開催、課題図書は「時給三00円の死神」(藤まる著、双葉文庫)です。今年度のファンタジー小説シリーズの最終回で、最近人気がでてよく売れている作品だそうですから、どうかまた一味違ったファンタジー小説の面白さを味わってみてください。多数の皆さんのご参加をお待ちしています。
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