開催場所:大磯町立図書館2F小会議室、参加者:4名
課題図書:麻生和子著 「父吉田茂」 新潮文庫 (2012)
5月に予定されていた今年度第1回の読書会がコロナの影響で延期になり、やっと開催されました。
まだ感染拡大が続いていますので、事前に体温測定をし、手を消毒し全員マスク着用で,
部屋の戸を開けて、席の間隔をあけて座るという異例の開催となりました。
石井コーディネーターから資料に基づき「“天下別荘地”大磯の変遷」について説明がありました。
1885年(明治18年)に松本順が大磯に海水浴場を開いた後、
伊藤博文・山縣有朋・大隈重信・西園寺公望・寺内正毅・原敬・加藤高明・吉田茂など8人の総理大臣はじめ、
多くの政財界人や文人たちが大磯に別荘を持ち、別荘文化を花咲かせました。
8人目の総理大臣となった吉田茂は、養父の吉田健三が1885年に大磯に別荘を持ち、幼少期はここで過ごしました。
1944年(昭和19年)にここに本居を移し、68歳で総理大臣に就任した1946年以降は平日は首相公邸、週末は大磯に帰る生活をしていました。
政界引退後はずっと大磯で暮らし、1965年には大磯町の名誉町民になっています。
1967年(昭和42年)10月20日大磯で89歳の生涯を終え、10月31日に武道館で戦後初の国葬が営まれました。
国葬に先立ち10月23日東京カテドラル聖マリア大聖堂でカトリックによる内葬が行われ、多くの参列者に見送られ、
遺骨は長男の健一氏の胸に抱かれて、最愛の地・大磯に戻ってきました.
大磯町では早朝から軒ごとに日の丸の半旗が掲げられ吉田邸から東京へ向かう東海道沿道には、
大磯町内の小中学校の児童生徒をはじめ1.5万人の町民が見送り吉田に最後の別れを告げたそうです。
(出典:広報おおいそ 平成21年(2009年)10月~12月「大磯の賢人 吉田茂」連載シリーズ①②③)
今回の課題図書の著者麻生和子は、吉田茂の三女で、現在の副総理・財務大臣麻生太郎氏の母親でもあります。
本書では、娘として幼少期から吉田茂に身近に接してきた著者の目を通して吉田茂の生の姿が明快な文章で
語られています。思い出の家族写真もたくさん収録されています。
政治家としての吉田茂については、猪木正道「評伝吉田茂」ちくま文芸文庫(1995)や
高坂正堯「宰相吉田茂」中央公論(1968)など多くの書籍が出版されていますが、
吉田茂の日常生活が娘の目を通して率直に語られている点が特色になっています。
参加者からは、とても読みやすい本なので、多くの若い人にも読書会に参加してもらいたかったのに
残念だという意見や、文章が見事で、もしかしたら麻生和子の談話をもとに編集者が手を加えたのではないか
という意見も出たほどでした。
コロナ騒動が早く解決して再び多くの方々と読書会を楽しむことができる日が来るのを願っています。
以上
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