図書館、行く?

いそまる読書会 2020年度第3回「銀行王安田善次郎」北康利著

開催日時:2020年11月27日(金曜日) 10:00~12:00
開催場所:大磯町立図書館2F小会議室、石井敬士コーディネータ、他参加者5名
課題図書:北康利著 「銀行王安田善次郎」 新潮文庫 (2013)

安田善次郎の大磯別邸「寿楽庵」は大磯町の王城山の登り口にあり、現在安田不動産の管理下にありますが、大磯の住民にとってはよく知られた場所です。
1921年9月28日、善次郎はこの「寿楽庵」滞在中に刺客に襲われて82歳の生涯を閉じました。2020年の今年は丁度100回忌に当たります。
安田善次郎がどういう人であり、どのような業績を残した人であったかについて詳しいことは、大磯の人達にもあまりよく知られていないようです。
読書会で善次郎の伝記を取り上げたのは偶然ですが、タイミングとしても丁度良かったのではないでしょうか。
今回の課題図書の著者北康利氏は複雑な金融業界の内容を読者にわかりやすく解説しながら、善次郎の生涯を豊富なエピソードを交えて詳しく解き明かしています。



石井コーディネータから、安田善次郎は富山出身の銀行家で、死亡時の資産が当時の国家予算の1/8に相当したこと、彼は資金目当ての資金援助や寄付行為には背を向けて、
「この人物なら」と見込んだ人(同郷の浅野総一郎など)には徹底的に支援した、など要点の解説がありました。

大磯で育った参加者には善次郎はよく知られた人物であったようで、「寿楽庵」の庭は子供時代の遊び場所だったという話も披露されました。
善次郎の業績について今回初めて知ったが、世間で言われていた「ケチ」という評判は間違っている、勤勉で信用を第一として日本の銀行業の礎を築いた人として、
もっと評価されるべきであるという意見も出ました。
善次郎は誠実さと信用を武器に銀行家として並外れた手腕を発揮し、一代で巨額の富を蓄えた人でしたが、売名行為的な慈善事業や寄付行為は好まず厳しい対応をとってきました。
このため善次郎が「ケチ」だという評判が定着したようです。安田の名前はわずかに東京大学の「安田講堂」に残っています。
石井氏は偉人の業績に対する評価は時代とともに変わっていくもので、多くの伝記や資料があっても、どれが正しい評価かは良く分からないところがあるといわれた。
今回も、検温・消毒・マスク着用・通気とコロナ対策の下での読書会でしたが、自由で活発な意見交換ができ楽しい読書会でした。

参考資料:大磯まちづくり会議発行大磯建物語⑤「旧安田善次郎邸」のパンフレット、砂川幸雄「金儲けが日本一上手かった男」ブックマン社(2008)、
渡辺房男「儲けすぎた男 小説安田善次郎」文芸春秋(2010)などがあります。
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