薬師寺で少し時間オーバーしてしまった私たちは、玄奘三蔵院伽藍を出て唐招提寺へと向かいました。
もうお昼近くになり、のどかなお日和の中、連れとテクテクと風景を楽しみながら歩いているうちにさすがにお腹がすいてきました。
と、連れが途中である看板を見つけて、「ちょっとわたしここを見たいから。」といい始めました。
何か雑貨を売っている店のようで、この道から路地を入った奥のほうにある店のようでした。
わたしは「また始まったか。」と思いながら、「じゃあ俺はぼちぼちといっているから。」といって、先へ行きました。
この道の途中、右手に平屋の小奇麗な建物がありました。
建物の入り口にのぼりがたっていて、「そば切り よしむら」と書いてありました。
入り口の前の駐車場に面した場所にベンチがありましたが、誰も座っていませんでした。
「今ならまだ空いているんだろーな」と思いながらも、薬師寺で時間をオーバーしてしまったこともあり、
もう少し我慢して唐招提寺まで行ってしまおうかと、通り過ぎてしまいました。
すると、その先の右手にまたまた民芸調のたてものがあり、入り口に「大納言」とかかれた看板と、
「お食事」と書かれたのぼりがありました。
「ここら辺で何か食べないと、何時食べられるか分からんな。」と思い、連れに携帯で連絡しました。
すると連れも、「なんか綺麗なお蕎麦屋さんがあったよ。」と先程の、「そば切り よしむら」さんを見つけたようです。
急いで元に戻り、よしむらさんの入り口で落ち合いましたが、そのときはすでに入り口の前に10人ほどの行列ができていました。
「なんだ、さっきはぜんぜん人がいなかったのに。」
仕方なく列に並びました。
15分位待って、入り口まであと3人位のところで入り口から中が見えたところが、
なんと、店の中にも10人位椅子に座って待っているのでした。
「こりゃだめだ。」と諦めて待つこと30分、やっと番が回ってきました。
綺麗なカウンターの席に座り、ほっと一息ついてメニューを眺めました。
私は鴨じるせいろと生ビールを、連れはかきあげせいろと押し寿司を注文しました。
朝早くから歩き回ってのどが渇いたので、生ビールがこの世のものとは思えないほどの美味さでした。
早速料理を食べ始めると、店の女性の店員さんが何やら連れに講義をしていました。
何かと思って聞いていたら、店員さん、
「このわさびを擦ったら、そばつゆに入れないでそばに直につけて食べてください。」
てなことを言っているようでした。
さすがに手打ちそばの店、なかなかうるさいようです。
連れはこういう食べ方に慣れていないようで、
「やっぱりそばつゆに入れたほうがいいね。」と、普段どおり、ずるずるとすすっていました。
すっかり満足した我々は、蕎麦屋を出て唐招提寺への道を再び進み始めました。
よしむらさんの入り口にはまだ10人ほどの行列ができていました。
しばらく歩くと、T字路に出たので右に折れると、左手に門が見えました。
唐招提寺南大門に到着です。
つづく
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