いつの間にか、街のハナミズキが見頃を迎えていました。
白いハナミズキ越しに、ぎりぎり夜になってない紺色の空を見上げると、
花の白と明るい緑が、街灯に映えて、とてもきれいでした。
写真がないから(撮っても多分うまく写らない)お目にかけることができませんが、ゴッホの白いアーモンドの花の絵を思い出しました。
もともと更新を頻繁にしているわけではありませんが、3月の震災後、どのように記事を書こうかと惑っているうちに、随分たってしまいました。
やたらと忙しかった新年~の日程が、3月11日を境にいきなり春の閑期に突入し、日々刻々と変わる震災関連のニュースを日がな一日眺めていました。
「自分に何ができるのか」
テレビ越しに圧倒的な映像を見て、絶句し、無力感というか・・頭の一部が機能停止になるような脱力感を感じながら、考えました。
それは音楽を手に生きる自分の、アイデンティティを見つめなおすことになりました。
自分にできる何をもって世間の力になれるのか。それを考えるには、そもそも自分が何者なのかを認識しなおすことが必要でした。
直接被災してない日本人の多くが、同じでなかったかと思います。
音楽家なら音楽家として、勤め人なら勤め人として、学生なら学生として、それぞれの分際が今どういう立場にあり、何を社会に還元できるのか。
本来なら日常の社会生活で常に傍らに置いておくべき問題のはずなんですけど。
この一ヶ月強に、音楽を手にして震災と向き合う先達に何人か触れました。
尊敬できる人物に音楽の勇気をもらったり、
逆に浅慮なビジネスに利用する人物に傷ついたり。
被災した方々には、お見舞い申し上げることしかできませんが、
私は音楽を持つ・・というか音楽しか持たない、遠隔地の人間として、
誇りを失わないで、震災と向き合っていきたいと思います。
いつか被災地にも、春を喜ぶ花が街灯に映える、美しい夕べが戻りますよう。
うた