秋になると、音教(演奏者が学校に訪れて行われる学校単位のコンサート)で学校にお邪魔する機会が増えます。
オーケストラの一員として演奏することがほとんどですが、
まれにアンサンブルでうかがうことがあると、選曲やMCを全部自前でやることもあります。
そんな時いつも苦労するのが、
・対象年齢の幅が広すぎて(特に小学校)、全学年にちょうどいいプログラムを組みにくい
・小編成なので、広すぎる体育館や多すぎる人数相手だと、距離感が出てしまう。
という問題です。
やっぱり美空ひばりみたいに、聴いてる人全員が「私のために歌ってくれてる」と1対1な錯覚を起こしてくれるような演奏ができるといいなぁと思います。
(だから、もし色んな問題がクリアできるなら、学年単位とかで複数回、近い距離感でできるといいのになぁ、と思います)
本当なら演奏が10割で、彼らの感性のどこか一部分に触れることができたら、それがベストだとは思うのですが、
プログラミングや話し方は、音教の場合とても大きな鍵になるようです。
演奏だけポンと与えられても、新品のタオルのように、水をはじいてしまうから、
一度洗濯して水を吸収しやすくしてやるような役目が、MCだったりします。
そんなわけで、MCで私達がよく使う小道具が、バラバラ楽器です。
さすがに100人を超す規模だと見えにくいのですが、
白木のヴァイオリン製作キットを仮組みしておいて、パカッと開く(魂柱とバスバーだけ入ってます)と、すごい集中力で注目してくれます。
先日うかがった小学校から、こどもさん達の感想文のお手紙を送っていただきました。
その中で、小学校1年生さんの書いた感想文に、感服してしまいました。
「ヴァイオリンは中をみせてくれて空洞だったけど、他の楽器(ヴィオラ・チェロ)は見せてくれませんでした。大事なものが入ってるから開けなかったのかと思いました。」(大意)
その素晴らしい発想や感性を、そのまま育ててくださいね~!
あと、6年生の「演奏も楽しかったし、(MCのような)豆知識もあって、良かった」という感想にも勇気づけられました。
音楽は、本当は言葉を介在しないで働きかけることができるはずのもので、
MCや参加コーナーがメインになったり、飴とムチの飴(演奏がムチ)になるような音教は私達の本意ではありません。
そこを「MCは豆知識、演奏がメイン」と無意識に汲んでもらったようで、うれしい。
ただの「お楽しみ会」としてご機嫌をとって「きかせる」のも違うし、
授業のように結論が用意されていて「○○が分かった」という「成果」を残すのも、本来やりたいこととは違うし、
なかなか私達のレベルでは伝えたいことを伝えきるのは難しいですが・・
そのためには、切実に上手になりたいと思う次第です。(結局そこかい)