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身近な写真と時の話題を集めました

長い時間の話

2012年05月17日 | Weblog
こんばんは。

なんか大分厚くなってきましたなあ!
福岡の昼間はもう初夏です。
半袖、短パンが良い感じですが、
仕事なので長袖とスラックスでがんばっています。

さてちょっと前の新潟日報のコラムです。
すこしほっとする話だったので載せていただきます。

 <日報抄>
 佐渡出身の宮田亮平さんが学長を務める東京芸術大学の大学院に
 文化財保存学という専攻が設けられている。
 先日、仏像修復に関する研究報告会を聴講する機会があった

 ▼修復対象となる仏像は傷みが激しい。木彫なら材質を鑑定する。
 発表者は「もとの素材はカヤです。損傷を埋めるにはヒノキを使いました」と説明した。
 なぜ同じカヤではいけないのか、理由を尋ねた
 ▼「何百年かたって、後世の人がまた修復する時に、過去の補修歴が分かるように、
 あえてヒノキにするのです」。カヤとヒノキは外見も性質もよく似ている。
 補修部分の表面にはもとに近い色を塗るので、外観上は問題ないという
 ▼このような後世への配慮が、仏像や寺院建築など千数百年以上に及ぶ
 日本の木の文化を支えてきたのだろう。奈良・薬師寺の西塔再建で活躍した
 宮大工の西岡常一(つねかず)さんは、東塔より30センチほど高く西塔を完成させた。
 500年ほどで東塔と同じ高さに落ち着くと確信してのことだ
 ▼そこには、分秒刻みの時間に追われる現代人が失いかけている大切な精神が、
 脈々と受け継がれている。今だけ良ければという発想はない。
 後々のことを考えて、今なすべきことを決める思想だ
 ▼原発ゼロのままでは今夏の電力不足が心配だ、地元経済にも影響が大きいなどとして、
 再稼働を迫る動きがある。ここは長い時間のものさしで考えたい。
 高レベル放射性廃棄物の処分・管理など未解決の問題は多い。
 後世に伝えるものが、修復不能の巨大技術の遺産では孫子の代に顔向けできない。

 新潟日報2012年5月14日


2012-05-17