ボブ・ディランが米フォーク界の寵児となってから、『エレクトリック』・ディランに舵を切るまでを描いた伝記的な作品。1960年から65年に当たる。
洋楽を聞き始めたのが1972年頃なので、知ったかぶりをするつもりはない。とはいえ、後追いで、ディランの「70年代まで」の有名どころの曲は、ひととおりは知っている。
ただ、あのクセのある声や歌唱に、難解な詩が相まって正直苦手だった。既にレジェンド扱いだったので、敬して遠ざける、みたいな存在だった。
同時代的なシンパシィで聞いてきたコアなファン(現時点では70歳以上だろう)はともかく、日本国内で(大衆的な)認知度が高まったのは、初来日した78年以後ではなかったろうか。(『武道館』とタイトルされたライブ盤も出ている。)
ともあれ、この映画、ボブ・ディラン(ティモシー・シャラメ)とジョーン・バエズ(モニカ・バルバロ)の二人の歌唱シーンが、両者の関係性も透かして見せて見事だ。
二人の役者とも音楽とはあまり縁がなかったようだが、さすがのハリウッドスターの力量。もちろん楽曲自体の魅力があるんだろうけど、、。
また、ティモシー・シャラメの演技は、天賦の才を持った詩人のヒリヒリした感覚とじわりと寄せてくる孤独感を実に上手く表現していて素晴らしい。
ラストシーンの65年ニューポートフェスの覚悟を決めた『エレクトリック・ディラン』の疾走感は、掛け値無しにイカしてる。思わず、♪How does it feel?♪と小さく口ずさんでしまった。
「栄光がもたらす孤独弦を切る度に屹立したるか詩人(新作)』
不尽
ついで書き、、、この辺りのディランの楽曲でマイフェイバリットは、『My back pages 』。
ザ・バーズのエレクトリックなフォーク・ロック版。(歌詞が難解すぎるが、、)。
キース・ジャレットも名盤で演ってるので、なおさらだ。