今回のアップが200回目です。
そこで、200回記念に短編小説をアップします。
・・・・・・・・・太陽の使者・・・・・・・・・
太陽がきらきら輝いているのに、のんちゃんは肩を落とし
とぼとぼと歩いていました。
のんちゃんの目には涙があふれて、小さな胸は張り裂けそうでした。
だんだんのんちゃんの足は前に進まなくなって、
のんちゃんは道端にしゃがみこんでしまいました。
そして涙がぽろぽろこぼれ、道端に水溜りが出来てしまいました。
「のんちゃのんちゃん」
呼ぶ声に周りを見るけど、誰もいません。
「誰なの」
すると急に目の前がオレンジ色になり、
白い影がゆらゆらと、のんちゃんのほうに近づいてきました。
オレンジ色の空間に、穏やかな笑みの美しい女が現れ、
暖かいまなざしで、のんちゃんに声をかけてきました。
のんちゃんは驚きで倒れてしまいそうになりました。
「私は太陽の使者よ、のんちゃんがとても哀しそうなので、
太陽が私をのんちゃんの所に、使わして下さったのよ。
どうしてそんなに哀しいの?」
のんちゃんは使者の声に驚きはするものの、
死にたいとまで思った気持ちが、溶けていくような気持ちになりました。
太陽の使者は、暖かい手でのんちゃんの背中をさすりました。
そして、ふわふわした胸でのんちゃんをやさしく抱きしめてくれました。
そのやさしさに、のんちゃんはぼそぼそと話し始めました。
学校で友達と喧嘩したこと。
喧嘩の途中で取っ組み合いになったこと。
その時、のんちゃんの歯が友達の顔にぶつかり、顔を傷つけたこと。
友達がのんちゃんのことを、「狂犬だー」と騒いだこと。
先生に怒られて、親を呼びに、家に戻るくように言われたこと。
学校を出る時同級生に、「狂犬病だー」とはやし立てられたこと。
「それで今家に戻り、親を呼びに行くところだったの・・・
でも、親になんて話したらいいか、怖くて怖くて、
とても家に帰れないの。」
「大変だったわねー、さー思いっきり泣いてごらん。」
太陽の使者は、ふわふわのひざにのんちゃんをのせ、
のんちゃんの気が済むまで泣かせてくれました。
しばらくすると、優しい風が吹き始め、
のんちゃんの涙をさらってくれました。
「のんちゃん、泣いてばかりでは何も解決しないのよ、
涙の後は、きちんと親に話しましょうね。
そして、きちんとお友達に謝りましょうね。
逃げたら駄目よ、苦しくても、辛くてもきちんとのんちゃんの
思いを正直に話さなければいけないのよ。
判ってもらうまで、とことん話すのよ。」
「それでも誰もわかってくれなかったらどうしよう・・・」
「のんちゃんにはいいところもいっぱいあるのよ、
きちんと話して誤ったらきっと判ってくれますよ。
それに、のんちゃんは一人ではないのよ。ほら見てごらんなさい。」
のんちゃんは涙を拭い、辺りを見ると
八百屋のおばさんが、自転車屋のおじさんが、
日向で話してるおじいさんやおばあさんが、
そして、赤い花が、小さな虫が、
空のには鳥さんが、草の陰からかえるさんが
皆、のんちゃんに手を振っているではないですか。
「負けちゃだめよー」と声をかけてくれました。
のんちゃんは勇気をもらって、歩き始めました。
「逃げたらだめ、逃げたらだめ」と歌うように・・・・・・
そしてのんちゃんは苦しい道だけど、胸を張ってを歩み始めました。
空にはきらきら輝く太陽が、
のんちゃんのほほに優しい光をたっぷり注いでいました。
早春の寒さが残る朝、郵便受けに一通の手紙がことり
《年賀をいただきありがとうございました。
残念ながら昨年母は病気を患い、療養の甲斐も無く帰らぬ人となりました》
恩師が亡くなったしらせでした。
その知らせに、のんちゃんは又涙を沢山流しました。
のんちゃんはあれからいくつも時を過ぎたのでした。
あの時、やさしくのんちゃんを、ひざに乗せてくれた人が逝ってしまったのです。
悪い子のレッテルを貼られたのんちゃんは、
しばらく苦しんだのですが、いつものんちゃんを励ましてくれた恩師。
恩師はのんちゃんに手芸を教えてくれたり、
思ったことをノートに書くことをすすめてくれ、
書いた思いを読んでくれていました。
そして、元気すぎるのんちゃんを「良い子ね。」と頭をなでてくれました。
明るいのんちゃんが好きよと、いつも背中を押してくれました。
あれから、のんちゃんは恩師と年賀の交流を続けていました。
のんちゃんの進む道に光を与えてくれていたのです。
恩師は太陽の使者だったのです。
そして恩師はついに太陽のところに帰っていったのです。
太陽の光が、のんちゃんに語りかけてきました。
「のんちゃんのんちゃん
今度はのんちゃんが太陽の使者になるんですよ~」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・終わり
お知らせ
8月9日~17日まで、オズ美容室は休業いたします。
日ごろご利用いただいてます皆様には、
大変ご迷惑をおかけすることを、お許し下さい。
又ブログもお休みしますが、もし良かったら前記事でも
ご覧になっていただけると、うれしいのですが。
訪問してくださってる方々、一週間後にお会いしましょう。