水源の森を釣る

ちょっと前の話。

１２：００。仕事が一段落つき、上司から「帰ってよろしい」と言われた。
はいはい、帰ります。帰りますとも。
だって今日は夏季休暇だったのに仕事してたんだから。


灼熱の太陽がジリジリとアスファルトを焼き付ける中、とぼとぼ駐車場まで歩く。
何しようか。
メシ喰って、家帰ってごろごろしてれば、あっという間に時間は過ぎていく。
かといって、この時間から秋川行っても、果たして釣りになるか？
いや、たぶんダメだ…。


ん？　そうか、昼間からでも釣りになる所へ行けばいいのか…。



以前から一度行ってみたいと思っていた沢が頭に浮かんだ。
流程１３８ｋｍの川が生まれる、その最初の一滴が流れてくる沢だ。
あそこなら標高は高いし、昼間でも釣りになるかも。
職場から車で３時間以上かかるが、いっときでも竿が振れる気持ちよさを優先させよう。
善は急げ、である。



うつくしい白樺林を通って、涼しい風が吹いてくる。
これだけでも来た甲斐があるってもんだ。


初めての沢は入渓点がわからず、それで時間がすぎてしまう。
適当なところに車を置いて、なんとなく残っている踏み跡を探して沢に降りた。

透明に輝く水は森の緑を映してすべっていく。
ちょっと苔むした岩も自分好みだ。

一投目から魚の反応があり、ほどなくしてこの沢の祈念すべき一尾目と対面。

きれいな谷ヤマメだ。体高もある。


続いてイワナ。
無邪気にルアーへ絡みついてきた。
大きな尾びれが美しい。

じっとしていなくて、写真がぶれてしまった。


とにかく緑が濃い。
この豊かさは、さすが水源の森と言われるだけのことはある。



こんなのも釣れた。

これがいわゆる「落合ヤマメ」といわれる個体だろう。
実物を見たのは初めてである。


わずか２時間だったが、３００～４００ｍほど進んだか。
数は数えていなかったが、真っ昼間にしては十分釣った。
だが、この沢のポテンシャルは、まだまだこんなものではないだろう。

思い切って来てみてよかった。
真夏の午後を有意義に過ごすことができた。


さて、このブログを覗いてくださる賢明な諸氏なら、もうこの沢がどこかおわかりでしょう。ふふふ。