日本刀の妖しい魅力にとり憑かれて40年、ようやく現物を購入するだけの経済的な余裕が生まれてきた。普通だったら残された家族の苦労を思いコレクションを処分し始める年頃になって刃物を買い漁るなんてなんと言う爺なんだ?しかし前述にように日本刀というのは何とも魅力的な製品である、なかでも「誉れ傷」という相手の攻撃をくい止めるときに出来る峯の傷を眺めると「どのような男が使ったのだろう?無事生き延びたのか?」等と思いを巡らせていると夜のふけるのも忘れてしまう。
わが家に日本刀が3振ある。自分の身体に合せて入手した大刀2振りと脇差1振りだ。
① 脇差 無銘の平造り1尺4寸5分 伝古宇多
② 刀 無銘の鎬造り磨り上げ2尺1寸2分 伝古三原
③ 刀 無銘の鎬造り磨り上げ2尺0寸5分3厘 伝古月山
大正の終わりころまでは我が家のような貧乏士族でも刀箪笥にはいつも10振り以上の刀がごろごろしていたと亡父が言っていました。亡父は曾祖父が使った新々刀「水心子正秀」を持っていましたが引揚げのどさくさで亡くしたと言っていました。私は身長が低いのでほぼ定寸(2尺3寸5分)かそれより少し短い物が取り扱い易いのですが、亡父は身長が175cmあったので刀の寸法は2尺7寸位必要だったのでしょう。子供の頃父が手入れしていた水心子はとても長い刀だったのを覚えています。江戸時代中期から幕末には長い刀が流行したらしいです。私の好みは脇ものの丸鍛えの古刀で地金に鍛え傷がある位の実戦向きの安物の刀です、粗末に扱われた刀を見ると悲しくなります。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます