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司法書士が書くペット信託ブログ

ウサギの医療事故裁判

こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。

 

ペットの医療事故裁判で、2024年3月26日、京都地裁において画期的ともいえる判決が下されました。

 

訴状によると、ペットのウサギは3歳のネザーランド・ドワーフホトで、名前は「しろ」とのことです。

 

2021年、しろがエサを食べられなくなったことなどから、飼主夫妻は小動物専門の診療科がある動物病院を訪れ、しろに点滴治療をしてもらいます。

しかし、後日、獣医師から「腸に異物が見つかった」として、手術を受けるよう強硬に説得を受けます。

 

その手術中に しろ は心肺停止になり、術後、夫妻が再会した時には死亡していました。

 

その後、他の動物病院に夫妻が相談したところ、「点滴治療で治る」と言われたほか、獣医師にはこの手術の経験が一切なかったことなどが判明したことから、訴訟に踏み切ったようです。

 

2024年3月26日、京都地裁の中山裕貴裁判官は、「主治医は外科的治療の危険性を十分に説明し、原告らの真摯な同意を得たうえで行うべき注意義務があったのにもかかわらず、これを怠った過失がある」として、手術のリスクに関する病院側の説明が不十分だったと認定し、「手術をしていなければ、しろが死ぬことはなかったと認められる」と指摘。

 

さらに「原告らにとって しろ はかけがえのない家族の一員であり、今でも深い悲しみを背負い続けている。家族同然のウサギを失った夫婦の絶望感は察するに余りある」などとして、1人当たり33万円、2人合わせて66万円の慰謝料等を支払うよう病院側に命じました。

 

日本の法律では動物は「物」と規定されているため、裁判の世界ではペットはモノ扱い、つまり「物損扱い」で、その時の市場価格で評価されるのが通例です。

ネザーランド・ドワーフホトの子ウサギの市場価格は3万~8万円ほどですが、3歳の大人ともなれば市場価格はほぼゼロと評価されます。

 

京都地裁の中山裁判官は、物損額としてはほぼゼロと評価しつつ、ウサギを死亡させられたことによる慰謝料等として66万円の支払いを命じたものと思われます。

 

近年、ペット死亡による慰謝料は高額化する傾向にはありますが、それでも1人当たり10万円ほどの慰謝料しか認められないのが通例です。

有名な「ティファニー裁判」という裁判がありましたが、その判決でも、一人当たり10万円の慰謝料しか認められませんでした。

 

しろを巡る裁判で、一人当たり33万円の慰謝料等が認められたのは、画期的な判決であったと感じます。

 

おそらく、中山裁判官はペットを飼った経験があり、飼主の気持ちが痛いほど分かる人物なのでしょう。

 

弁護士や司法書士の世界では「裁判官の当たり外れ」という言葉がありますが、ペットを巡る裁判においては、ペットを飼った経験がある裁判官が裁判を担当するよう、裁判所内の規則で定められないものかと感じます。

 

 

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