こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。
神奈川県横須賀市の特別養護老人ホーム【さくらの里山科】には、入居者の死期を察知して最期まで寄り添う犬「文福」がいます。
「看取り犬」として、これまで多くのメディアに紹介されてきましたので、ご存知の方も多いと思います。
文福の看取り活動は、通常、3段階を踏むそうです。
第1段階として、入居者が逝去される1~3日前に、その方の居室の扉の前に座ってうなだれます。
第2段階では、その方の居室に入り、ベッドの脇に座って控え、入居者のことを見つめます。
最後に、その方が寝ているベッドに上がって寄り添って看取るといいます。
これまで文福が看取ってきた入居者は20名以上に上るとのことです。
文福は、殺処分される寸前だったところを、動物保護団体に保護された犬です。
2011年秋、文福は保健所(動物愛護センター)にいました。
朝になると、犬たちが収容されている部屋の壁が動き、隣の部屋へと強制的に追い込まれます。
そして、次の日には更に隣の部屋へと移動させられ、最後に追い込まれる部屋はガス室になっています。二酸化炭素で窒息死させる殺処分部屋です。
文福はそのガス室の一つ手前の部屋にまで追い込まれていたところを保護されたとのことです。
【さくらの里山科】の施設長である若山 三千彦さんは次のように語っています(以下、引用)。
「文福は保護犬です。
保健所の最終部屋にいました。隣はガス室です。
壁の向こうからは、命を奪われる犬達の悲痛な叫び声が聞こえてきます。
文福はそんな思いをしてきたのです。
だから、文福は「命の重み」を知っている。
一人ぼっちで死を待っていた絶望の体験があるから、
自分の家族であるご入居者様が一人ぼっちで亡くならないよう、
寄り添って看取っている。
こう考えるのがあまりにファンタジー的であるのは分かっていますが、
そうとしか思えないのです。」(引用終了)
さらに、【さくらの里山科】のスタッフが仕事で失敗して落ち込んでいたところ、文福が寄り添ってきた、という体験をしているスタッフが何人もいるとのことです。
若山さんが語っているとおり、文福は絶望的な体験を経てきているため、他者に対する共感性が高く、弱っている人を放っておけないのでしょう。
【さくらの里山科】は、ペットと一緒に入所できる日本初の特別養護老人ホームとして、若山さんが設立した施設です。
文福は【さくらの里山科】で今日も活躍しています。