こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。
高齢者がペットと一緒に暮らすことで、犬の散歩などを通して社会とのつながりができたり、心の安らぎを得られるといった効用があります。
更には、犬を飼っている高齢者は、飼っていない高齢者に比べて「認知症を発症するリスクが 40%低い」ことが明らかになった、との最近の調査結果もあります。
しかし、高齢者がペットを飼うことを安易には推奨できないのが現実です。
【NPO法人 人と動物の共生センター】理事長 奥田順之氏らが保健所など50施設にアンケートした結果をまとめた報告があります。
その報告「犬の飼育放棄問題に関する調査から考察した飼育放棄の背景と対策」によると、保健所等に収容された犬のうち73.7%は公園や山里などで見つかった飼主不明の犬で、26.3%は飼主によって所有権放棄(飼育放棄)された犬とのことです。
飼育放棄の理由は、「飼主の死亡・病気・入院」が26.3%、「犬の問題行動」20.8%、「飼主の引っ越し」15.4%、「犬の病気・痴呆・高齢」14.4%となっています。
特に「飼主の死亡・病気・入院」による飼育放棄は増加傾向にあり、放棄する人の年代は、60代が31.5%、70代が24.8%で、60代以上が56.3%を占めています。
以上のとおり、高齢者がペットの飼育を放棄するケースが多いという現実から、通常の動物保護団体は、高齢者がペットの譲渡を希望しても原則として応じてくれません。
動物保護団体からペットを譲渡してもらえなかった高齢者の中には、ペットショップで子犬や子猫を買う人がいます。
ペットを飼うことがどういうことなのかを深く考えず、安易にペットを購入するわけです。
ところが、ペットをしつけることができず、結局は飼育放棄をするという悪循環が生じています。
子犬や子猫をしつけるにはエネルギーが必要で、高齢者には負担になるためです。
その飼育放棄の最大の受け皿が、現在では動物保護団体になっているのが現実です。
前回のブログでも紹介しましたが、【一般社団法人 動物共生推進事業】のように、「飼育保証制度」という制度を設け、譲渡時の条件として年齢制限を設けていない動物保護団体も存在します。
また、ペットのための生命保険信託を利用した「ラブポチ信託」という仕組みもあります。
高齢者がどうしてもペットを飼いたい場合は、上記のような制度・仕組みを利用することも考え、無責任にペットを飼うことは慎む必要があります。
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