こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。
今回は、相続放棄する場合の注意点について説明します。
父と母、子2人の家族構成であったとします。
父の両親や祖父母はすでに他界しており、父には弟がいます。
父が亡くなったため、子2人は、今後の母の生活を守るために、父の遺産はすべて母に相続させたいと考えました。
そして、子は2人とも家庭裁判所で相続放棄の手続きをしたとします。
この相続放棄により、父の相続人が母ひとりになると考えるなら、それはとんでもない勘違いということになります。
子2人が相続放棄したことにより、子は初めから相続人ではなかったことになり、このケースでは、母以外に、父の弟が新たに相続人として登場することになります。
そのため、母が父の遺産をすべて相続するためには、母は、父の弟との間で遺産分割協議をしなければなりません。
父の弟の人間性が良くて、子2人の「母にすべてを相続させたい」との思いを理解してくれる人であれば問題はありません。
しかし、弟が相続権を主張してきた場合には、弟の法定相続分である4分の1は弟に譲らざるを得なくなります。
子2人は、母の生活を心配して相続放棄したのに、せっかくの子どもたちの願いは叶えられないことになります。
この例のように、相続人のうちの一人に単独相続させようとして、他の相続人が相続放棄をすると、思いも寄らない人物が相続人として登場してくることがあります。
もし、父に弟がいなかったのであれば、子2人が相続放棄することにより、母に全遺産を相続させることができます。
しかし、この事例の場合は、子2人は相続放棄すべきではなく、母と子の3人で遺産分割協議を行ない、母がすべての遺産を相続する旨の遺産分割をしなければなりません。
自分が相続放棄をすることによって、思いも寄らぬ人が新たに相続人として登場することにならないか、十分に注意する必要があります。
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