司法書士が書くペット信託ブログ

ウサギを蹴り殺した男の罪とは

こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。

 

先日、約500匹もの野生のウサギが生息する「ウサギの島」として知られる広島県の【大久野島(おおくのしま)】で、70匹以上ものウサギを蹴り殺した容疑で男が現行犯逮捕されています。

 

逮捕されたのは、滋賀県大津市の会社員、堀田 陸という男で、逮捕された容疑は【動物愛護法】違反とのことです。

 

仮に堀田容疑者が【動物愛護法】違反で起訴されたのであれば、「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する」という法令が適用され、最高で5年の懲役が科されることも有り得ます。

 

しかし、動物愛護法44条において、「愛護動物」とは「牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる」あるいは、「人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの」と定められています。

 

「人が占有している」とは、端的にいえば「人が管理・支配している」ことを指しますので、完全な野生のウサギなどは動物愛護法の「愛護動物」ではないことになります。

 

大久野島のウサギは人が管理しているウサギではなく、野生のウサギのはずですので、堀田容疑者を動物愛護法違反で起訴するのは極めて難しいであろうと思います。

 

では、今回の事例のように、野生のウサギを蹴り殺して動物殺傷行為をしたような場合には、どういう罪に問えるのでしょうか。

このケースでは、【鳥獣保護法】違反に問えることが考えられます。


鳥獣保護法でいう「鳥獣」とは、「鳥類又は哺乳類に属する野生動物」で、動物愛護法の「愛護動物」でない野生のウサギ等も含まれ、動物愛護法違反とならない動物殺傷行為でも、鳥獣保護法違反となる可能性があります。

もし堀田容疑者が【鳥獣保護法】違反で起訴された場合、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処される可能性があります。

 

ウサギ70匹以上も蹴り殺した男に対する法定刑が、最高で1年以下の懲役ということになりますから、余りにも軽い罰ということになります。

 

日本は悲しいことに動物愛護後進国です。

動物愛護法と鳥獣保護法の早急な改正が望まれるところです。

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