■美濃部達吉の「天皇機関説」はユダヤ人が吹き込んだ
さて、日本の天皇制打倒のための最大の攻勢はゲオルグ・イエリネックによって始められたのである。彼はワイマール時代ドイツの法学界を牛耳っていたユダヤ人である。
マルクスの時代は、国家の破壊は階級闘争という虚構論理によるものを主力としていた。しかし今世紀に入ってからは、マルクス式にいえば、上部構造よりの破壊を考えついたのである。つまり、法理論により国家機能を弱体化させることである。特に君主制を骨抜きにする作戦である。このために利用されたのが美濃部達吉である。イエリネックは美濃部達吉に巧妙に天皇制破壊、弱体化の戦術を授けたのである。
その前に、イエリネックの学説の真髄をご紹介しておこう。これは戦後の占領改革で行なわれた「国家」という言葉を「社会」という言葉に変えられたことについての日本人の疑問に答を与えるものでもある。
■何故「国家」が「社会」にかえられたのか
イエリネックは超観念論的思考の所産として、国家の存在を否定しようと試みる。国家は感覚的に認識するをあたわず、その制度や活動においてのみ認識できるものであるとする。そして国家の最終的客観的要素は作用となって現われる人間の間の一定の社会関係の総和であり、より精確にいえば、人と人の関係に現われる一定の作用の同時または継時の存在であり、これのみが国家の証明できる最終の事実であるとする。
イエリネックの狙いとするところは、「国家」という観念を去勢し、それに代わって「社会」という観念を導入するにある。
戦後日本では、しばしばこの「国家」という観念が「社会」という観念に代えられたということが議論されている。そのへんの疑問に答を与えるのが、このイエリネックである。
イエリネックは、したがって先輩のオットー・フォン・ギールケのいう有機体説も否定しようとする。つまりギールケにあっては、国家は実際に存在するものであるから「有機体」を考えるべきであると主張するのであるが、イエリネックは「有機体」が人間の認識の如何にかかわらず存在すると考えるのは実証的研究の地盤を去ることを意味し、真理に代えるに詩をもってするようなものと極論している。これはまごう方なき観念論であり、マルクスの国家否定論と対照的である。しかし、同じユダヤ人であるマルクスとイエリネックの国家否定論は軌を一にするものであり、ユダヤ民族の大目的に奉仕する論理であることを認識する必要があろう。
イエリネックの役割は「上部構造」より国家の解体へ向かうことであった。つまり、法理論を活用することである。この目的のために利用されたのが、美濃部達吉である。例の「天皇機関説」がそれである。
ところが、イエリネックの深遠な狙いはその協力者、美濃部達吉の無知により、かなりあいまいなものにされてしまった。それというのは、この「天皇機関説」の受け取り方がイエリネックの当初の思惑をかなりズレてしまったのである。美濃部は、イエリネックの Organ というドイツ語を単純に「機関」と訳してしまった。日本語の「機関」という言葉は、マルクス主義者の受け取り方を除いては、イエリネックの当初の狙いを十分反映できない言葉である。
一般には、天皇即国家であったのを、天皇は国家の一機関にすぎないというふうに天皇を格下げしたものであると考えられるようになった。これは、日本語のもつ「機関」という意味からすれば、むしろ当然かも知れない。
ドイツのユダヤ人の間ではドイツ語の Organ は、抑圧、搾取のための「道具」、「手段」を意味する。しかし、普通の日本語訳からすれば「機関」ということになろう。ただ「機関」となると、Organ のユダヤ的意味を完全に伝達しないきらいがあるということである。もし美濃部がもう少しユダヤ的思考に通じていたら、ノーベル賞(ユダヤ機関が設置運営している)でももらったかもしれない。イエリネックは、さぞ不満であったことだろう。彼の狙いは、あくまで天皇を抑圧、搾取するものと形容したかったのである。
ユダヤ人のいう Organ は具体的にいうと、支配階級が被支配階級を抑圧、搾取する手段、道具という意味である。美濃部が「機関」と短絡思考でやってしまったお蔭で、かなり意味あいの異なるものとなってしまった。天皇は国民を抑圧する手段であるとする宣伝は、かなりぼかされた。
君民共治は、日本の天皇と国民の間にのみ存する理想的政治形態である。これがある限り、日本の共産主義化は困難と判断したユダヤ勢力は、「天皇制」を絶対悪として宣伝し始めたのである。戦前はコミンテルンを通じて大々的に「天皇制」打倒のキャンペーンをした。コミンテルンの日本出張所として誕生した日本共産党に「天皇制」打倒を至上命令として実践させた。今日に至るも日本共産党が「天皇制」打倒、「天皇制」絶対悪論を振り回しているのは、そのためなのである。
以上のように我々は戦前天皇制の打倒を至高目的としていたのであるが、戦後天皇制が類例のない偉大なものであることを初めて知るに及んで、天皇制の存続を図ったわけである。この時には天皇制廃止論者が周りに多く、大変苦労したものである。
ここでの我々の努力を評価して頂ければ光栄である。戦後史の解説書などでしばしばいわれている天皇制存続の理由、「占領政策のため利用する目的で存続させた」といったことが如何に認識不足かということをお分かり頂けると信ずる。
日本共産党はいまだに天皇制を絶対悪と信じている。国会の開会式に天皇が臨席される時に共産党議員が欠席するのは、その現われといってよいだろう。
■日本共産党は誤れるユダヤ思想のエピゴーネン
日本共産党は、コミンテルンの日本出張所として誕生したものである。コミンテルンの目的の一つには日本の天皇制打倒があった。コミンテルンはスターリンの独裁が強化されるまでは、国際的なユダヤ勢力により動かされていたものである。日本共産党はユダヤ勢力が「残置謀者」として残したものであり、完全なるエピゴーネン(亜流、継承者)である。
このエピゴーネンは、すでにユダヤ人の意志とは全くかけはなれた思考により行動しており、我々としては全く邪魔な存在なのである。もともと共産主義というものは、ユダヤ人が創った虚構論理である。したがって、今日でも日本共産党が日本の社会で害毒を流していることに対して我々ユダヤ人は心を痛めている。さらに、日本共産党の誕生に我々が責任あるというだけでなく、戦前、日本の支配勢力により行動を抑止されていた日本共産党を戦後陽のあたる場所へ出すのを助け、さらに赤だるまが火を吹く如く大躍進させたのもニューディール派、すなわち、ユダヤ勢力である。
■八紘一宇の大思想──称賛された満州の近代化
戦前の日本には、八紘一宇という大精神があった。これは神道のこれまた類い稀な偉大な思想に基づくものである。西洋の宗教の如き排他性をもたない、傑出した思想であるといえよう。
この点を証拠づけるものは、西洋列強の東洋侵略と日本の満州国建設のコントラストであろう。西洋列強の東洋諸国支配は搾取、収奪、奴隷化に他ならなかった。英国が印度支配のため最初に打った手は、既存の教育関係を絶滅し、諸民族を相争わせ、言語の複雑化を計ることであった。オランダのインドネシア支配も同様であった。そこには何ら建設的なものはなく、ただ自己のための搾取があるのみであった。
しかるに、日本の満州国建設大事業はこれとは対照的であった。五族協和を唱い諸民族平等の関係を育て、その投資は建設的なものであった。当時欧米でも識者は、人口3000万の満州国は十年後には人口1億を有する大近代工業国家として極東の一角にその勇姿を現わすであろうと、称賛と期待をもって見守っていたものであった。
他のアジア諸国で、欧米列強によって近代的工業国家に育てあげられた国が一国でもあっただろうか。満州の近代化の成果は、現代に至るも中国の工業の心臓部である点をみても分かることである。これを可能にしたのは、八紘一宇の大思想のしからしむるものである。
■すばらしかった戦前の家族制度
さて次に、我々ユダヤ人の理想のお手本となるべきものに日本が戦前誇った家族制度があった。
面白い話を一つ紹介しよう。
かつて「国際連盟」の労働部長であったユダヤ人、アルベール・トーマが日本の労働事情調査のため来日した。「国際連盟」といっても、教科書的歴史観しか教えられていない日本人にはその本質を知る人は少ないようだが、これはユダヤの世界政府ともいうべきものである。第一次大戦の結果、金融支配力に自信をつけたユダヤ人は政治面へも進出をはかり、その結果つくられたものが「国際連盟」なのである。この連盟の指導者は、日本人の杉村陽太郎氏を除いて他は皆ユダヤ人だったのである。
この他、「国際労働局」というのがやはりジュネーブにあったが、これは「国際連盟」の一局の如く考えられるふしがあるが、さにあらず、全然独立した機関で実際の規模は「国際連盟」よりはるかに大きいものであった。私もここで極東問題を担当していたのであるが、これも勿論、ユダヤ人の機関であった。
何故ユダヤ人が労働問題にかくも力を入れるのかということは、マルクス主義の階級闘争史観をご存知の方はお分かりいただけると思うが、かつてユダヤ人は非ユダヤ人の協力者を集めるためマルクス主義の階級闘争史観を宣伝したのであり、その結果エピゴーネン(亜流、継承者)としての各国共産党を生んだのである。
一方、ユダヤ人自身としてもユダヤ民族の解放を非ユダヤ人の協力者にのみ任しておくわけにはいかないのは勿論である。当然、ユダヤ人自身でも自己の解放運動を進めていた。国際連盟はその機関の一つとご理解願いたい。したがって、「国際労働局」の方がむしろ規模が大きいという点も納得されることと思う。
話がちょっととんだが、面白い話というのは、アルベール・トーマが来日し、日本へ階級闘争の激化工作をしようとしたとき、その前に立ちはだかったのが、日本の強固な家族制度だったのだ。
アルベール・トーマは、「日本では家族制度が強固なため階級闘争、つまり労働運動の激化を仕掛けることは非常に困難である。何故ならば、労働者は失業しても労働運動などする必要はない。家族が暖かく迎え入れてくれるからである。この家族制度をなんとかしない限り、日本へ階級闘争を持ち込むことは難しい」といっているのである。
アインシュタインもまた来日した時、日光の金谷ホテルからドイツのユダヤ機関へ手紙を書いているが、その中に日本の家族制度の立派さを書いているのである。
かくの如く、日本の家族制度はこれまた類い稀な存在であったのだ。戦前の日本の家族制度にはとても及ばないが、現在世界中で一番この家族制度というものを強固に有しているのは我々ユダヤ人社会であろうと思う。この点、我々は常にそれを誇りとしている。
ここでまた日本人にお詫びしなければならないのであるが、この日本のすばらしい家族制度を破壊したのは我々ユダヤ人なのである。具体的には、占領改革の時ニューディール派が行なったものである。
前述のアルベール・トーマの件でもお分かりと思うが、ユダヤ人がマルクス主義的変革を実行するためには、家族制度は国内の君主制といわれる如く邪魔な存在だったのだ。家族制度が「小さな君主制」としてユダヤ民族のマルクス主義的変革事業の邪魔になるということは、なにも今日昨日の問題ではなかったのである。
(中略)
さて現在のユダヤ人社会では、戦前の日本にあったようなすばらしいものではないにせよ、家族制度というものは固持されている。恐らく世界一のものではなかろうか。
親と子は、多くの場合同居している。これは決して住宅難のせいではないのである。子は、年老いた親の面倒をよくみるのである。特に親孝行という言葉はもっていないが、将来できるかも知れない。また、親類づきあいも密である。安息日にはたいてい、どこかの親類と家庭で交わるのを普通とする。我々は戦前の日本の家族制度を見習いたいのである。
ユダヤ人は、福祉ということはあまり考えない。これは家族制度のアンチテーゼだからである。福祉とはただ食わせるだけといえるかも知れない。老人ホームに例をとると、そこでの老人に保証されているのは餓死しないということだけである。生き甲斐というものは何も保証されていない。然るに家族制度の枠内の老人は子の成長、孫の成長を楽しむという生き甲斐をもつことができる。どちらがいいかは、議論の外であろう。
日本では戦後、ニューディール派の改革で姦通罪というものが外されてしまった。これも家庭の不和を増長させる重大な要素であると考えられ、家族制度の破壊を狙ったのものであると私は考える。ユダヤ人の社会では、現在でも姦通ということはまずあり得ないのである。十戒において厳に禁ぜられているからである。
外国の例を見ると、やはりロシア革命後の婦人国有化政策を上げねばなるまい。レーニンは「家庭は利己主義の砦である」といって、婦人を全部社会へ出してしまった。現在のソ連で依然として女性が男性と同じ肉体労働までしているのは、その名残なのである。別章で説明するが、日本人の皆様には驚きかも知れないが、レーニンはユダヤ人なのである。
女性の社会への進出というとなにか進んだ制度の如く感じるかも知れないが、家族制度という観点から見た場合、これもやはり崩壊へ導く要因であるようである。このへんのところは日本国憲法の内容と密接な関係があるので、そちらでまた述べることにする。
次回は
■義理人情は世界に類なき美徳
●「日本人に謝りたい」あるユダヤ長老の懺悔
1979年 日新報道(刊)
モルデカイ・モーゼ (著), 久保田 政男 (翻訳) より
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