帰ってきた“いつまでかけるか”

マイペースに日常を暮らす。

SF小説「正しい時計」その4

2012-10-07 15:14:18 | 小説
その後の彼女のことは、おれも知らない。知りたくないという方が正解だ。
噂で“目”にしたが・・・。
それで、おれも大体のことが分かった。

そして、その後の3ヶ月した頃おれは、そんな彼女のことを
忘れようと新しい彼女を作った。
が、おれの中かどこかに罪の意識があったのかもしれない。
今度は、おれの方が15分間“新しい彼女”を待たせて
“時間法”を破ってしまった。
そして、おれも“時計”にされる時、ひとつの
提案をした。
「すみません、彼女の横に並べて置いてくれませんか?」
すると“担当の者"は言った。
「“新しい”のと“古い”のと、どっちだ?」
おれは答えられなかった。


完。

SF小説「正しい時計」その3

2012-10-07 14:34:19 | 小説
その瞬間、ヤツは自分のケータイを手にして、何やらいじっていたが
しばらくすると立ち去った。
変なヤツ、と思って、歩いていると突然“警察”のような制服を
着た屈強な男たちが3人つらってやってきた。そして
「君、今、通報があったんだが
君の彼女は“時間法”を15分オーバーしていたね。
で、その彼女の連絡先、教えてくれる!?」
その瞬間、男たちは、おれのケータイを無理やり取って
なにやら、いや彼女の連絡先を見やがった。
そして、
「彼女は、“時間法”の違反で“逮捕”する
ことにした。」
何ィ?と思ったが、“時間法”なるもの
おれも新聞のはしの方でしか見たことがないようなものを!
いつの間にか“法案”を作っていやがったのか!

SF小説「正しい時計」その2

2012-10-07 13:58:27 | 小説
そして約束の時間を30分を過ぎて、やっとおれが
ケータイを手にして、電話をかけた。
それから10分後、ようやく彼女が来てくれた。
結局、正味40分間は待ったが、その甲斐が
あって彼女との時間は楽しく過ごせた。
その時食べたケーキの味は一生忘れないだろう。
問題は、その後だった。
おれがデートを終えて、ケータイをいじっていると
“ある男”に声をかけられた。
「ちょっと君、さっきの娘とのデートに何分待ってた?」
そんなこと詮索するヤツもいるのかと、半ば呆れ顔で
その男の顔を見たのがいけなかったのか。

SF小説「正しい時計」その1

2012-10-07 13:33:11 | 小説
こんな世の中間違っている。と思った瞬間にでも
“時計”にされちまう。そういう世の中だ、この世の中・・・。


おれは、とある会社でサラリーマンをしていた。ごくごく
ありふれた人生だったといえよう。が、それはそれで、平凡ではあったが、
幸せな人生だったのかもしれない。
しかし、しかしだ。
それは、彼女とのデートの約束の日だったろうか。
その日は雨が降ったりやんだりの天気だったので、傘をコンビニで
買って、約束の場所へと向かった。
この“彼女”とは初めて行くデートであった。他の女性とは
だって?この際それは脱線するので、また今度。
おれは、その傘が必要ないなと思い、傘をたたみ待ち合わせした
ところでしばらくの間、待っていた。
が、約束の時間を10分、15分と過ぎても彼女が
やってこない。ケータイにメールすらない。不審におもったが
化粧にでも時間をかけているのだろうと、おれはその時には
そう判断をした。