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NPO法人POSSE(ポッセ) blog

ブラック企業に加担する人々(『POSSE vol.19』)

今回は、『POSSE vol.19』の中から、POSSE代表今野の論文、「ブラック企業に加担する人々」を紹介します。今野は11月に『ブラック企業ビジネス』(朝日新書)を出版しましたが、その原型とも言える内容です。

19号の特集、「ブラック企業の共犯者たち」では、ブラック企業を支えるアクターとして、「ブラック士業」という違法行為を指南するような弁護士や社労士、さらには親や教師も挙げられています。

日本型雇用の労使関係が崩壊している状況下で現れたブラック企業は、長期雇用や企業内教育によって築きあげられてきた企業に対する信頼を逆手に取り、これまで日本型雇用を支えてきた教育や家庭をもその「成長」のために悪用していると今野はいいます。

日本型労働組合が後景に退いたため、労働問題の解決は裁判所での審理が中心になってしまっています。労使関係が個別化することでむき出しになった、使用者と労働者の間にある力関係の大きな非対称性を利用しているのがブラック士業なのです。彼らは労働法のルールさえ無視して争うので、社会の混乱を深化させます。

労使関係不在の隙間を食いぶちにするようなアクターさえも現れてきている今、本来の集団的労使関係を再構築することによってのみ、この状況に対抗し、安定した労使関係を形成することができると、今野は述べます。

従来のような企業社会がいまだ存在しているという幻想は恐ろしいものです。実際、POSSEに寄せられる相談の中でも、過労死ラインを超えるような働き方をしているのに、それでも親や親戚など、信頼を置くまわりの人から「正社員になったのだから、頑張りなさい」と言われて逃げられなくなる。実際に多くの若者がうつになり、最悪の場合死に至るようなケースもある以上、知らないでは済まされません。

本論文を見てわかるように、結局のところ労使関係は使用者と労働者の間だけの問題ではなく、そのまわりのすべてを巻き込むような大きな構造であり、その中にいるすべての人がどう動くかによって決定されます。一人一人がブラック企業を、実際に被害を受けている人だけの問題ととらえるか、それとも自分の生活している社会全体の問題ととらえるかによって、その未来は変わってくるのです。

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