このルポは、日本航空(JAL)に雇い止めされた原告のAさんに、様々な困難の中で雇止め撤回を求める裁判を提訴した理由をインタビューしたときの話をまとめたものです。
Aさんは、契約社員として2年間CA(キャビンアテンダント)の仕事を務めていましたが、入社の半年後から、上司からの度重なる退職強要を受けていました。乗務後ほぼ毎回面談を組まれて、「懲戒免職になった方がいいんですか?」「存在が業務妨害です」などのパワハラ発言を受けたり、犯してもいないミスを理由に「職を辞する」文言を入れた反省文を執拗に求め続けられたそうです。
その後Aさんは管理職と癒着している第二組合を抜けて、第一組合に加入することで面談はなくなりました。しかし、他の人は社内テストで再チェックを受けられるのに、上司は、「いや、あなた一度落ちているから、何度もやるものではない」と言ってAさんに受けさせなかったり、雇止めの前の半年には辞めさせる資料を作っていたりと、Aさんに対する差別・嫌がらせは続きました。そしてその延長線上に、Aさんは雇止めを宣告されたのです。JAL側は「企業秘密を漏洩するようなことをしない限りは、みんな正社員になれる」と説明していたにもかかわらず、です。
そこで、Aさんは様々な困難がある中で、こうした不当な雇止めに対して争う決意をします。私が印象に残ったのは、この決意を支えた両親の言葉です。「たしかに新人だし仕事はできない」と、パワハラ発言されても仕方ないと思っていたAさんは、「これは酷い。あなたを辞めさせようとしている退職強要だよ」という両親の言葉を受けて、「やっぱりそうだよね」と自信をもって上司の方がおかしいと思えるようになったと言います。
このルポを読むと、こうした両親や組合の人たちの支えがなければ、心を病んだり、パワハラで辞めさせられてしまうんだなと、改めて感じさせられます。「正社員になれるんだから我慢して頑張ろう」と子どもに声をかけてしまいがちな親世代の方にも、是非一度読んでもらいたいルポです。
詳細はこちらからも。
雇い止めCAを空にもどす会
http://www.soranimodosukai.net/
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