５.２６ 震災・貧困WT会議報告

　先月２６日に行われた震災・貧困WTの会議の様子を紹介します。震災・貧困WTでは、貧困、生活上の困窮に対して多岐にわたる取り組みを行っており、生活保護申請支援や奨学金に関する相談の受付、学習会やセミナーを通じた相談スキルの養成、3.11後は被災地仙台へのボランティアの送り出し等を行っています。隔週で行われるこの会議においては、主に相談事例の検討・共有や学習会、情勢報告などを行っています。
　今回は、折しも有名芸能人の親族による生活保護受給がメディアで話題となっており、生活保護受給者に対して厳しい疑いの眼差しや非難が投げかけられ、政界からも生活保護支給水準の引き下げの動きが強まるなど、まさしく「バックラッシュ」と言えるような状況が形成されつつあったこともあり、会議の多くの内容は生活保護に関連するものでした。
　最初に、この5月に京都と東京でPOSSEが開催した生活保護相談ホットラインに寄せられた相談事例の報告がありましたが、制度上のこみいったポイントを含む事案だったため、あわせて生活保護制度の概要や申請手続きに関する学習会と、生活保護制度上の論点の解説も担当者から行われました。
　生活保護は生活に困窮したあらゆる人に、憲法に規定された生存権に基づいて、「健康で文化的な最低限度の生活」を困窮の理由や背景を問わずに保障するための制度ですが、現在全国の受給者は約210万世帯、生活保護費の総額は今年度約3兆7千億円にのぼっています(*１)。このため行政側は増大した社会保障費の削減を図り、結果として生活保護申請の受け取りが拒まれるという「水際作戦」が横行し問題になっているほか、上述した受給者へのバッシングや、「ケースワーカー」という福祉事務所の職員によるパワーハラスメント(*２)など、生活保護受給者や受給希望者を取り巻く問題は重大です。
　この日はPOSSEの会議に初めて参加したというメンバーも何人かいたのですが、そうした人たちからも活発に質問や意見が飛び出し、生活保護をはじめとする日本のセーフティーネットに対する高い問題意識が垣間見えました。さらに、こうした問題に関する相談への対応強化を図って上述の生活保護相談ホットラインを月１回のペースで定例化することが決まり、さらに問題解決へ力を入れていくことになりました。
　後半は、POSSEのHP上で、・生活相談の受付窓口がわかりにくい、・活動内容の紹介でも、労働相談に比べて生活相談に関する部分が少ないといった問題を改善するため、HP改訂作業の話し合いがもたれました。今まで受けてきた生活相談事例の解決までの具体的な流れや、相談内容のテーマ別フローチャートを作成するなどして、相談者と生活相談ボランティア双方にとってわかりやすいページにしていく予定です。お楽しみに！
　今回は生活保護の話がメインでしたが、この制度１つとりあげるだけでも、この場でとても書ききれないほど様々な論点や問題点があります。生活保護申請への同行など実際に相談を受ける場合には、制度に関する正確で実用的な知識が欠かせません。それを改めて認識することができました。最後に、震災・貧困WTでは、生活相談に携わってくれるボランティアを募集しています。興味をお持ちの方は、ぜひ一度会議やセミナーにいらしてください。
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*１　中国新聞2012年5月13日付　
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201205130061.html(2012年5月31日取得)
*２　詳しくは川久保尭弘論文「生活保護受給者の就労支援を妨げるケースワーカーのパワハラ問題」(雑誌『POSSE』14号所収)や京都POSSEスタッフ日誌関連記事(「宇治市の生活保護誓約書事件にみるケースワーカーのパワハラ問題」、「宇治市の生活保護誓約書の全文公開」、「宇治市職員２人も生活保護申請世帯に誓約強要＆京都・中京区　生活保護受給者に「誓約書」」)をご覧ください]
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(大学4年生、ボランティア参加1年目)

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ＮＰＯ法人ＰＯＳＳＥ（ポッセ）は、社会人や学生のボランティアが集まり、年間４００件以上の労働相談を受け、解決のアドバイスをしているＮＰＯ法人です。また、そうした相談 から見えてきた問題について、例年５００人・３０００人規模の調査を実施しています。こうした活動を通じて、若者自身が社会のあり方にコミットすることを 目指します。

なお、ＮＰＯ法人ＰＯＳＳＥ（ポッセ）では、調査活動や労働相談、セミナーの企画・運営など、キャンペーンを共に推進していくボランティアスタッフを募集しています。自分の興 味に合わせて能力を発揮できます。また、東日本大震災における被災地支援・復興支援ボランティアも募集致します。今回の震災復興に関心を持ち、取り組んで くださる方のご応募をお待ちしています。少しでも興味のある方は、下記の連絡先までご一報下さい。
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