アンジェリーナ・ジョリー主演の方じゃない方の「チェンジリング」です。
1980年くらいのホラーかな?幽霊屋敷モノです。
タイトルの「チェンジリング」とは、ヨーロッパの古い伝承で、「取り替え子」て意味らしいです。
何故このタイトルなのかはラストに近付くにつれて判明します。(今回もネタバレありです。)
有名な作曲家のジョンは、突然の交通事故で妻子を亡くします。
家族の思い出の詰まった家を引き払い、親友の紹介でとある大学(多分音大かな)の臨時教授を勤める為に引っ越します。
親友の奥さんが「うちに一緒に住みませんか?」と申し出るのですが、
「一晩中ピアノを叩ける所が良い」と断ります。
「それなら」と、奥さんの知り合いに歴史保存なんたら協会に知り合いがいて、そこで不動産もやってるから紹介するわ、と。
どんだけ良い人なんだよ、奥さん。
そこで紹介されたお姉さんに、すんげー豪邸を紹介されます。
特に派手な演出はないのですが、ヒタヒタ迫る空気感が素晴らしい。
まず最初は謎の音が家中にし始めます。
この音が
ドォウン…ドォウン…ドォウン…
って感じの鈍く重い音。
その音は上から聞こえるような?
ジョンが出掛けようと外に出た時に窓ガラスが割れて破片が飛んできて
見たら知らん部屋があるわけですよ。
調べる為に2階に上がったジョンは隠された屋根裏部屋があるのに気付きます。
埃と蜘蛛の巣まみれのその部屋には車椅子が。そしてオルゴール。
その後も続く怪音。
夜、階段を覗いたジョンのところにあるモノが落ちてきます。
亡き娘愛用のボールです。
ジョンはボールを川に捨てますが
案の定、ボールは戻ってきます。
他にも勝手に蛇口が開きまくったり、謎の音は毎日するし~で、
豪邸を紹介してくれた歴史保存なんたらの女の人のもとへ行きます。
そこにいたおばはんがジョンに
「あの家は人を拒む家です」
とだけ言うて、あとはなんも教えてくれへんねん。
過去になんかあったんやな⁈と気付いたジョンと歴史保存なんたらのお姉さんは独自に調査開始。
この辺がただの幽霊屋敷モノとは違うところよね。
恐怖感がないのよ。謎の音も、ボールも、誰かが何かを訴えてる感じ。
霊媒師読んで録音しつつ降霊会したら理由判明。
その昔(50年前くらい?)そこに住んでたある家族。
足の悪い息子がおりましたが、母親が亡くなった後、入り婿の父親は息子を屋根裏部屋に閉じ込めます。
母親の父はめっちゃ金持ちなんだけど、娘婿が気に入らんかったらしく、巨額の財産を孫に相続する手続きをします。
もし万が一孫が亡くなった場合は慈善事業に全額寄付。と。
巨金に目が眩んだ父親は息子を風呂に沈めて殺し(ドォウン…て音はこの時苦しみもがく少年が浴槽を叩く音なんだよ!これわかった時ぞわ~ってした!)、その後孤児院から同い年くらいの男の子をもらい受け、「足の治療の為」と遠方に住まいを変えます。
そこから帰ってきたら足治ってましたー!
しかも10年も20年も経ってたら顔も変わっててもおかしくないから、周りは皆気付かない、と。
「取り替え子」のタイトルはここからきてる訳ですね。
替え玉息子はその後立派な議員さんになります。
降霊会のテープに殺された少年の声が入っていたのに従い、ジョンと歴史保存なんたらのお姉さんは少年が埋められた場所を探し当て、掘り返します。
出たー!
警察来たりで大変な騒ぎに。
ジョンはやれることは皆やりました。
しかし殺された少年はまだ不満なようで。
今やすっかり爺さんになった議員さんは、ジョンが探り入れてんのを知って揉み消そうと画策しますが、
派遣した刑事が謎の交通事故でお亡くなりに。
ジョンは議員のもとへ行き、真実を話しますが、じいさんな議員は聞く耳持ちませんの。
もういいじゃん、ジョン。君は頑張ったよ。
打ちひしがれ豪邸に戻るジョン。
その頃、ジョンを訪ねてきた歴史保存なんたらのお姉さんは豪邸に入って車椅子に襲われます。
そこにジョン帰宅。
確かめに屋根裏部屋に向かおうとするジョンですが、謎の強風に阻まれ、1階に落とされてしまいます。
血だらけで動けないでいると、急に階段から火が!
そしてそこにはいないはずの爺さん議員が現れ、ふらふら階段を上って行きます。
勢いを増す火の手。
こりゃあの爺さんに議員になんかあったんじゃ⁈
と、2人で爺さん議員の住む場所に駆け付けた時には時既に遅し。
爺さん議員は突然の心臓発作で死亡した後でござんした。
その頃豪邸は炎上。
一晩中燃え続け、焼け跡には何故か燃え残った車椅子とオルゴール。
オルゴールの蓋がひとりでに開き、曲を奏でてTHE END。
ヒューマンドラマ寄りのサスペンス・ホラーでしたな。
なんだか哀しいお話でございました。
なかなかの傑作と思いますよ。
怖がらせるだけ怖がらせるホラーが今は多いけど、こういうのもたまには良いんじゃないのかな。