・若者を見殺しにする国
この著者の赤木氏は前から知っていたが、WEBの対談を見て読んでみようと思った。2007年発行の本だ。
新聞が「若者は不幸である」と報じない理由
若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か
アマゾンのカスタマーレビューを見ると悪く言っている物が多い。一部に冷静な分析もあるけどね。
なので、悪いけど図書館で借りて読んだ。
内容は意外にまともで、書いた目的は世の中の人から関心を持って欲しいという事だ。つっこまれるのは大歓迎だ。
興味のある人は読んでもいいけど、文章自体はお世辞にもうまくないし350ページ程度の大作なので忍耐が必要だ。
そのまま突っ込んでも面白くないので読んでいて単に思った事を並べてみた。
(アニメとかゲームを知らないと理解できない事も含まれている)
・赤木氏と私の共通点
この赤木氏は現在フリーターをしているらしい。特殊な人かと言えばそうでは無さそうだ。私との共通点も幾つかある。
1.小学校時代は問題児だった。
2.中学校時代はおとなしくしていた。(優等生か?)
3.高校時代は学校になじめず、あまり勉強しなかった。
4.東京に住む事を希望していた。
5.ゲームやアニメに興味がある。
こう書くと俺もそうだったと思う人も多いかもしれない。変な奴では無くて割と普通だと思われる。
ただし、1に関しては彼は小学生から授業中にサボって出歩いていたらしいが、私は多少トラブルが多かった程度だ。
子供なりに授業をサボるのはまずいと思っていたのでしなかったが、その辺の意識は違うようだ。
相違点はもちろんあって
6.彼は専門学校に進学したが、私は大学に進学した。
7.卒業時の就職環境の厳しさの違い。
6が違う。
高校時代に勉強しなかったというのが致命傷のようだが、今から言われても彼はどうしようも無いけどね。
私も余り言えないが周りから大学を出ていないと後から大変だぞと脅されていたので行かなければならないと思っていた。
周りの環境に違いがありそうだ。
7が彼の主張のメインだがこれは確かにありそうだ。厳しいのは経験していないので詳しくは分らないが。
しかし、どこの大学を出ているかとか学部はどこかで有利不利はあるのでこれも6が響いている。
・北斗の拳
北斗の拳は核戦争後の世界での戦いを描いた不朽の名作アニメだ。私が戦争と聞いて思い浮かべるのはこれだ。
彼はアニメに興味があるみたいなので当然知っているだろう。
戦争による「流動化」を期待しているようだが本当に望んでいるのは「下剋上」ではないだろうか。
流動化では弱者の立場が劇的に変わる事は無いと思われるからだ。ちょっと変わる程度だろう。
私が突っ込むとすると戦争が起こると「北斗の拳」みたいになるぞと言うけど何と答えるのだろう。
このまま死ぬのは嫌だと言っているが、経済的に殺されるのと無法者に殺されるのとどちらがましかというと似たような物だと思う。
これで解決は無理だろう。世の中の多くの人を道づれに出来るのは確かだけどね。
・リキッドスネーク
ゲームの名作で「メタルギアソリッド」というのがある。彼はこれも当然知っているだろうね。
その登場人物に「リキッドスネーク」というのがいる。
赤木氏に似ていて核戦争を起こそうとする人物だ。
本を読んでいて思い出したのがこのキャラクターだ。さらに似ているのが強烈な劣等感を持っている事だ。
兵士としては攻撃ヘリでF16を撃墜する程の優れた能力の持ち主なのだがなぜだかそうなのだ。
赤木氏も繰り返し屈辱感とか劣等感と書いているが、余りに強い思い込みは能力を発揮できない原因になると思う。
本を発行できるのだからそれなりの能力とか行動力はあると思われるのだが。
・信長の野望
超有名ゲームの名称だ。これも彼は知っているだろう。
普通の会社員が本を出すのはなかなか難しいと思う。
自費出版という手もあるがまともな出版社から出すのは普通では不可能だろう。
それを望んでいるとするとそれは「野望」だ。
野望を辞書で引くと
分不相応な望み。身の程を知らない大それた野心。
と書いてある。分不相応というのは分りにくいが普通はとてもじゃないが、かなわない望みだ。
驚くべき事に赤木氏は既にそれは達成している。
赤木氏は安定した収入を得られる職業につくのを「希望」しているがさらに稼ぐ事も可能かもしれない。
それも達成されるのかは注目して見ていきたいね。戦争を起こさずに、かなったとしたらそれはいい事だ。
私もさっさと稼いで引退するという「野望?」を持っているが達成できるかは不明だ。
しかし、簡単じゃないけどそういうのを持ってないと世の中面白くないよね。
・公務員になるしかないのでは?
赤木氏は本の中で繰り返し、批判するなら解決策も言ってくれと言っている。
野望を達成できない場合は、残念ながら簡単な解決策はありそうも無い。
やはり公的機関のサポートが必要だ。民間企業では厳しい。
ある程度採用枠とかを作って採用して経験を積んでもらうしか無い。
ただし、政府は(表向き)財政が厳しいという事なのであまり金はかけられない。
公務員の人件費を多少削るしかないだろう。不満は出るかもしれないが一般市民に奉仕するのも仕事だ。
理由は不明だが、赤木は公務員の批判はしてないんだよね。
私が嫌だなと思っているのは秋葉原事件のカトウも似たような経歴だと思われる事だ。
高校時代につまづいて就職に失敗している。彼の場合は家族の問題もありそうだが。
就職に失敗した人が全てそうなる訳ではないけど、このまま「努力不足」で放置するとまた誰かがやる可能性はあると思う。
まあ、たまに起こるのは止むを得ないと開き直るのもあるかもしれないが、それでいいのかやや疑問だ。
色々と書いたが簡単には解決策はありそうもない。
「流動化」では解決は無理だろう。「下剋上」を望むならやはりなんらかの実力をつけるしか無さそうだ。
大体、成果主義で年収に大差をつけようとしている連中が流動化で普通の人間の待遇をアップする訳が無い。
極一部を除いて全員の人件費を減らして終わりだ。それだけは確かだね。
最後に赤木氏とちきりん先生が好きそうな会社を取材したコラムを見つけたのでリンクを張っておきます。
ダマされてはいけない……“対等な労使関係”と言う社長に