半導体復活なるか?ラピダス始動 官民連携、会長と千歳市長に聞く
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トヨタ自動車など国内大手8社が出資し、自動運転や人工知能(AI)などに使う次世代半導体の量産を目指す新会社Rapidus(ラピダス、東京)が、開発・生産を行う工場建設に向けて動き始めた。
新工場は北海道千歳市に建設し、新たな産業の拠点として政府や自治体とともに環境整備を進めていく計画。経済安全保障上の重要性が高まる先端半導体の確保に向け、官民がどう連携していくのか。
ラピダスは昨年11月に設立を発表。
千歳市に新工場を建設し、2027年を目処に回路の幅が2ナノメートル(ナノは10億分の1)単位の最先端品の量産技術を獲得し、ファウンドリー(半導体受託製造)事業を開始する計画だ。
官民一体となり、経済安全保障上の戦略物資としても重要性が増す最先端半導体の供給網確立を目指す。
日本の半導体産業の課題は、競争力が非常に弱いと同時に、基盤となる先端半導体の生産拠点がない。
日本でいざ何かを作ろうとしても、先端半導体を生産する台湾の受託製造企業の主要顧客はアメリカのIT大手で、日本メーカーの優先度は低く、将来を考えると極めてリスクが高い。
デジタル社会の基礎になる半導体を日本で作り、競争力や産業の基盤を構築したい。
ラピダスは昨年12月、ベルギーの研究開発機関「imec(アイメック)」と、次世代半導体の開発で協力する覚書を交わした。
アイメックは、回路線幅の微細化に必要なEUV(極端紫外線)露光技術に強みを持ち、ラピダスは技術協力を受け、次世代半導体の量産技術確立に役立てる。
それは、半導体を作る装置で日本が最先端を走り続けているのも強みなのです。
半導体の製造装置については、今なおトップの位置を維持していますから、現状維持とこれからも世界のトップに居続ける為には官民学一体の開発が必要でしょう。
かつて、パソコンの心臓部にある1チップMPU(Intel 4004)を発案し設計開発と製作したのは、日本人の嶋正利氏だと言うことを忘れないことです。
国内の半導体製造企業では、何故か相手にされず当時小さなベンチャー企業であった、半導体製造会社(Intel社)が承諾し要望で渡米して、自ら設計開発の製作に携わり完成させました。
しかし、当時ワンチップMPUが将来に重要な存在になるとは、国内の半導体製造会社を始めIntel社も誰も思わなかった様です。
日本の政府と産業界は危機感を抱き募らせています
日本が先端半導体産業へ本腰を入れ始めたのは、世界的な先端半導体不足と中国政府による台湾侵攻による有事と、台湾海峡封鎖の脅威・恐怖による可能性の高まりが背景にあります。
つまり、日本が位置する東アジアには北朝鮮問題(朝鮮半島情勢)や台湾問題(中共台湾情勢)など、万が一にも暴発した場合に著しいカオスを齎す可能性を秘めた、地政学的なテール・リスクの火種が燻っているとも言えます。
かつて、米国より沖縄を日本に返還された時に、在沖縄米軍基地の維持を望んだのは平和ボケの日本よりも、韓国と台湾だったと言われています。
中国が台湾に軍事侵攻する台湾有事が懸念されて、台湾は東アジアの火薬庫かと危惧されて、日本は防衛力の強化を急ぐ有様です。
米中覇権争いの最前線に位置する台湾海峡は、東アジアの火薬庫に成り得る可能性を含んでいます。
もしも、その影響で半導体製造が停止するなら、世界経済に影響が「甚大」と予想されます。
他にも、中国政府の不当な影響下にある半導体製造企業では、密かに諜報スパイツールを忍ばせる可能性があり国家機密情報は元より、ハイテク企業の機密情報など経済安全保障上の重要性が損なわれると、危惧される恐れと脅威が背景にあります。
つまり、我国で製作した高精度な技術の粋を集めた複雑な金型とか、製作が難しい心臓部の精巧な部品など機密で高度で優秀な設計図などを、ネット上に漏洩させて盗み取られる可能性があるのです。
それは、中国共産党が日本の国民監視として公的機関や学術機関を始め、警視庁と警察庁と地方警察の関係者・自衛隊の関係者・裁判官、外交関係者を始め、他国侵略行為に関して共産党の利権のために潜入・浸透工作として、巧妙に利用できるからです。
更に、何時迄も、他国の受託製造企業に頼っていては最先端半導体の供給網が不安定であり、自ら基盤となる先端半導体の生産拠点を国内に創り上げて競争力を高めて戦略物資とし、デジタル社会の到来を見据えて次世代半導体の量産技術を確立して供給網を確保し、リスクを抑えることにあります。
かつては、技術立国と呼ばれて貿易加工で高度成長した日本は過去の存在となりました。
それは得意とする職人技の心意気で細やかな気配りで、機転を利かせ使い勝手を良くする創意工夫をして、難易度と利便性で付加価値や使用頻度の高い物造りをして来ました。
しかし、米国の貿易摩擦の障壁とも言うべき、最先端半導体については日本からの輸入規制が発動されて、日本は苦肉の策として他国へ製造を移転するしか方法は有りませんでした。
更に、国内企業は、政府主導の政策で労働改革により労働者の賃金を上げず、雇用制度を根底から破壊し正規雇用労働者を激減させ、勤労者の約4割を非正規雇用の派遣社員に切り替えてしまった結果、肝心な「モノ作り」の基本的な能力・匠の技である、職人気質としての意欲・情熱は失われたと言われます。
一方、日本の大企業は国力を担う若者たち次世代を育て、斬新で優れた商品を作るという王道を完全に捨てて、災禍の備えと称して国家予算の数年分に及ぶ莫大な社内留保を、ため込むことだけに執着するようになりました。
戦後、世界一優れて強いと言われた日本の産業と経済イノベーションは消えました。
5/18に日米首脳会談で、岸田総理とアメリカのバイデン大統領は、「グローバル・スタートアップ・キャンパス構想」を推進していくことで一致し、「東京都心に創設するべく、アメリカのリーディング大学の一つマサチューセッツ工科大学と共同で、検討を開始している」と表明しました。
それは、AIを含む、最先端技術の研究を行う大学を日本に誘致し、人材育成にあたるプロジェクトです。
日本の科学技術振興という点では大きな前進が期待できます。
本当の意味でイノベーションを齎す可能性が高くなります。
革新的な技術が有っても司法の横槍で活用できないでは困り物です
近頃はChatGPTの登場で何かと話題が有りますから、AIを活用する上からも新たな研究の拠点が必要になります。
しかし、我国では2002年に発表され爆発的に普及した、ファイル共有ソフト(Winny)の違法性について取締が厳しくなり、開発(改良)者は2004年に逮捕・起訴されて、日本の社会は彼の資質を活かすことが出来ず、世界的な潮流であったこの方面のネットワークビジネス分野に於いて、大きく遅れを取り損失を被りました。
IT技術だとか、将来のモノのインターネット(IoT=Internet of Things インターネット・オブ・シングス)社会を支える基盤技術と目指されて、技術(知的所有権)立国を阻む司法の過剰反応と勘違いだと言われ、惜しい対応で悔やまれる意見もありました。
当時は、日本の政治家や官僚・官憲には工業社会の仕様しか認識がなく、無形のビジネスモデルなど理解できなかったのが原因です。
その影響により、国内のソフトウエア開発の自由全体を萎縮させる事態になり、事件がなければ日本からより多くのテクノロジーサービス(ビジネスモデル)が、登場していたかも知れません。
Winnyはクラウド・コンピューティングの先駆でしたが、その後にやっと、ネットワークビジネスの重要性と価値に気付きました。
今は、文明の利器に対する取り扱い方の問題が投げ掛けています。
これには、ブログ2020/9/16「科学や研究の目的を誤るな 便利さは何のための便利さなのか」が参考になります。