以下のチャートはヤフー・ファイナンスから拝借したドル/円のチャートです。
そして投資家達は、アメリカドルを売り、ユーロを買ってリスクヘッジをかけたのですが、そのユーロ市場にもリーマンショックの危機が起こって、ギリシア、スペイン、イタリアなどの国々が、ディフォルト危機を起こしてしまい、ユーロの信用も落ち出してきました。
さて1月25日にスイスのダボスで世界主要各国の政財界、メディア、宗教、非政府組織(NGO)などの2000以上のリーダー達が集まった、「世界経済フォーラム:WEF」のテーマである「大いなる変革と新たなモデルの構築」の内容を理解する事が、円の行方に関して非常に重要なのことなのです。
このダボス会議には、G20蔵相会議のシャドー会議といわれ、200以上の議題を各分野に分けて討議する形式を取って、先進国の金利、為替など、世界経済・社会の現状の改善などを煮詰めたりして、各国の経済の向上を話し合うのです。
またその時に、蔵相達は2月に行われるG20会議に備えるための秘密会議をします。
今回の秘密会議で話された1つのテーマは、「新しい通貨制度」を作ることだったのですが、各国の足並みがまちまちで成果を上げられなかったようです。
こように世界のリーダー達が、どのような展望を打ち出してくるのかを読み取る事で、将来の為替の動向の参考とする事が出来ます。
ダボスの会議の関しては、ユーチューブに録画画面がありますので参考にしてください
http://www.youtube.com/playlist?list=PL269F8D342C2900F0&feature=plcp
私が特に注目したのはジョージ・ソロスの発言で、「世界が直面している危機はこれまでとまったく異なる。金融市場の崩壊は予想できなかったし、問題の大きさは(世界恐慌後の)1930年代よりひどい」と語ったことです。
更に注目したのはモルガン・スタンレーのスティーブン・ローチ氏で、「世界経済が抱える試練を過小評価してはならない」と発言、そしてニューズ・コーポ レーションのルパート・マードック会長も同様「危機は悪化しつつあり、米国などの景気刺激策が効くかは分からない」と懸念を示したのです。
そのために、各国の首脳は世界的な景気後退を避けるための努力をするでしょう。
さて、ドルを維持している国家や投資家達は、ドル安が続くことで、金利の高い商品に乗り移ることを当然考えるでしょう。またユーロ圏の経済も更に悪化することで、ユーロの信用度が下がり、資金がユーロから逃げて、円買いに向けられる可能性が高いのですが、日本の景気回復もあまりよくないので、資金は石油、金などの商品に向けられます。
アメリカ、ユーロ圏は経済回復を狙った金融緩和策を実行しますが、その結果、先進国の通貨が溢れてしまい、通貨の価値を下げていくでしょう。
そしてその影響は、アジア通貨を上昇させる事となるでしょう。
また、円キャリー・トレードが多かった2006~2007年には円安となっていますが、今回は、ドルキャリー・トレードが行われているためにドル安に繋がってしまいました。
因みにキャリー・トレードとは、金利の低い国の通貨で資金を調達して、それを他の通貨に変えてから、株式市場などで運用していく取引のことですが、キャリー・トレードが多くなると外国為替市場で、その国の通貨の下落が進行していきます。
歴史的に見てもドル安が起こった場合、海外からの投資資金がアメリカに入ってくるのですが(プラザ合意後の日本からの投資など)、今回のドル安に関しては、中国からの投資資金は米国債券が中心となってしまい、民間への投資資金が入ってこないため、景気回復が起こらず、ドル安が続いているわけです。さらにアメリカの借金のふくらみによって信用度が落ち、ドル安は続くでしょう。
私が推測する円の行方は、急激な動きは無いと思いますが、ドルが国内エネルギーの開発によって再度花を咲さすことが出てきています。そのためにドル高になる可能性があると思いますが、バナーキン議長の20年で33%のドル安を目標とする発表のことがあり、そんなにドルが強くなることは無いでしょう。
しかし、急速なインフレの気配が出てきた場合、話は変わってきます。
アメリカは石油の高騰によって米国内にある資源を再度見直し、オイルシェールとオイサンドから取れる石油の開発が行われ、プロジェクトが施工されている州の収入が増加し始めてきています。
米国は石油を海外から依存していたのですが、石油の値段が1バレル当り100ドルとなれば、これらのエネルギー開発は採算が取れ、多数の雇用を作り、国内経済を回復させる力ができるのです。
また日本の景気回復が意外と延びない事が円安に繋がりますので、円の行方は80円台に向かって動くと思います。
もう1つ今年は注意しなくてはならないのは11月にアメリカの大統領選挙があることです。民主党のオバマ大統領は、雇用の増大をさせ経済回復に対して全力を出してくることで、ドル高に進む可能性もありますので、この動向に注目する必要があるでしょう。
以下のチャートはhttp://forecasts.org/yen.htm から拝借しています。
彼等の推測では、円は2月の前半から弱くなり5月には80円台と予測しています。この予測はテクニカルから出した推測です。