画像枚数が多いため、分割して紹介した。
相模原市の無量光寺から藤沢市の遊行寺まで歩いた。直線距離にして約22.7kmとなる。
制作のデッサンは地図上に二つの寺を結ぶ直線を引き、その線上に近いルートを検討した。そして条件として、幹線道路は出来るだけ避けるようにした。あとは実際に歩けばアドリブが入り、興味深い所があれば脱線していく。
一遍上人が存命だった時代と現在では道路事情も異なるし、造成などで地形も変化しているだろう。だが、歩いてみると古寺もあれば古道の痕跡も見つけられた。古くから藤沢から相模川の段丘地形に沿った往来はあり、そのルートは八王子を超えて行ったようだった。
現在を見ながら古をイメージする歩行となったが、コンセプトは先に書いた通り「地図上に二つの寺を結ぶ直線を引き、その線上に近いルートを歩く」だけ。あとは出来るだけフリーに触発されるものや瞬間を撮影していった。その為に集まった画像が多いだけではなく、複数のテーマ性がそこからは分類出来た。
通常、そこから得られたテーマを限定して編集していけば、それなりの写真集的なまとまりは出てくるだろう。しかし、そうした編集によるまとめ方をしないことにした。ここでやろうとしていることは、雑誌的な仕事ではない。
一遍は捨聖と言われた。生きながら捨てていった。
ならば私も、撮って捨てていく、歩いて捨てていく方法を試してみようと思った。それは既に「高度視差散歩(以下リンク先参照)」と題して発表済みの作品でも行った行為に近いのだが、それは大磯(神奈川県)の山の上から海岸まで下りながら撮影する。しかも35mmの36枚撮モノクロフィルム1本で完結し、一枚も無駄なカットを撮影しないという方針の作品だった。
http://tokiart.life.coocan.jp/2008/080111.html
最終形としては、無量光寺から遊行寺まで歩いて、撮影した画像でカットするのは数枚程度。ほぼ全て採用の未編集に近いまとめ方を目指す。そういう制作目標が思い浮かんだ。言い換えると、撮影しながら編集していることになるような制作だ。(更に、ピンホールカメラを使って撮影する構想も出てきた。それはまだまだ先のことだが実行することになる。)
2011年10月、「藤沢今昔まちなかアートめぐり」に参加。展示空間は「蔵まえギャラリー(以下リンク先の場所)」となった。
蔵まえギャラリーでの展示風景。完成作品展示というよりも、これからの制作方針発表となった。画像枚数が多いので、小さなモニターを置いて見せる方法とした。3つの額装作品は、歩きながらまとまってきた制作方針を提示する参考作品。ピンホールカメラでの作品と、この無量光寺から遊行寺までの歩行が「真徳寺」に生けられた花(下画像)に向かっての歩行だと気づいたことによる作品である。