今日はちょっと趣向を変えてっていうわけでもないんだけどね。
オイラが今まで生きてきた中で、一度でも家族としていた子たちを残そうかなと。
大昔のこともあるもので、記憶が曖昧だけども覚えてる限りは書き出そう。
オイラが小さい頃、写真で見たのは4匹のシャム猫。
どこからやってきて、どうなったのかはわからない。
小学校入学前、またネコが来た。
たぶんだけど、オイラが拾ってきたんじゃないかな。
名前はチャン。女の子
ホワッツマイケルのあのネコと同じ。
何年一緒に暮らしたのかは覚えてないけど最後は、よそのネコと喧嘩して致命傷を負い出血死した。
しばらく大泣きした記憶もある。
そしてチャンの子供たちもいた。
ケンちゃんとショウちゃん。
やんちゃな時期にショウちゃんが事故に遭い亡くなり、ケンちゃんは失踪。
そのあと、父が犬を連れてきた。
まだコロコロした子犬。
柴犬のヨタロウ。後にヨタ。
父が家族に相談も無しに勝手に連れてきて、世話をするのはオイラと弟2人。
毎朝と夕方のお散歩も3人で交代制で行ってた。
そして、ヨタは数年後に父の知り合いに渡った。
程なくして来たのが、ヤギのメー子とアヒル。
何かもう1種類いたような記憶もあるけど曖昧で覚えてない。
結局メー子とアヒルの世話も、オイラたち子供に押し付け、父は何もせず。
アヒルたちは病死。
メー子は知人に渡った後、加工されたことが後で分かった。
そして程なくしてやってきたのがチビ。
これまたホワッツマイケルのようなネコだった。
オスだけど、温厚なチビは滅多にケンカもしなかった。
チビとは家族みんなで出かけるときも連れていったりしていた。
オイラが中学生の頃、チビは病死。
オイラと両親で獣医さんに行った帰りの車内で、オイラの腕の中で息を引き取った。
可愛がってたこともあり、その事のショックは相当で
硬くなったチビのそばを離れることができず、母から叱られた記憶もある。
ずっと泣いてたら、チビがいつまでも旅立てないからと。
そしてオイラが高校生になり、チビがいなくなってから何も飼わずにいた。
ある日オイラの友達が捨て猫を拾ったと連絡があった。
まだ小さい子猫でダンボールに入れられて公園に置かれていたと。
チビが旅立って寂しさもあり、オイラはすぐ飼うことを決めた。
来たのは、ドロドロに汚れた白猫。
ただその子は、生まれてから母ネコが育児放棄したらしく、目の膜が取られていなかった。
その状態でいたため目の見えない子になったらしい。
うちに来て綺麗に洗ってあげると、全身真っ白なネコだった。
名前は雪。目が見えないせいか、よく扉や冷蔵庫に突撃することも多かった。
そしてしばらくして、雪が子供を2匹産んだ。
雪の遺伝が強かったのか、2匹とも真っ白だった。
1匹はオイラの名前の頭文字を取り「M エム」オス。目が茶色で、物怖じしない番長タイプ。
もう1匹は、弟が何を思ってつけたのか「ガッツ」メス。目がブルーで中々の美人。
3人は3匹を可愛がって育てた。
真っ白なネコ3匹が、当時のブラウン管のテレビ上に横たわる姿は、圧巻だった。
雪を真ん中にしてエムとガッツ。
それぞれの最期は、雪はおばあちゃんになって一生を終え、ガッツは病死。エムもおじいちゃんになり一生を終えた。
オイラが高校生のとき父は単身赴任で県外へ行っていた。
そして久々に帰宅するときがあって、そのとき連れてきたのが甲斐犬のクロ。
このクロの件に関しては、法律が許すならば殺してしまいたい人が2人。
父と父が転職した先の社長。
クロがうちにやってきて、毎度の事ながら世話はうちら3人。
クロも大きくなったある日、弟2人がクロを苛めていた。
クロは怖がって威嚇しつつも小屋の中で丸まっていた。
苛めという表現を使ったのは、クロが悪いことをして怒られたとかじゃなく、弟たちが面白がって苛めていたから。
小屋の奥で小さくなってるクロに、弟たちは鉄の棒を突っ込み激しく突いていた。
牙を剥き反撃体勢に入るも弟たちの苛めの前になす術もなく、されるがまま。
オイラが大声で怒鳴り止めさせて、苛めはおさまった。
そのあと、クロの小屋の傍で暗くなるまで、クロの名前を呼び続けた。
恐る恐る出てきたクロの体を撫でた。
そのまたある日、今度は父が棒を持ち、クロを追い回していた。
弟たちがしたように、父も棒でクロを突き、クロはまた小屋へ逃げた。
そのときばかりは、オイラの怒鳴り声で母が家から飛び出し、2人でクロをかばいオイラと母は声を荒げながら父に怒鳴り続けた。
何をそんなに叩きたいのか!クロが何をしたっていうのか!
クロはたぶん、自分を苛めた人間のことは忘れない。
いつか復讐してやろうと思ってたはず。
この数日後、その復讐は実行された。
数日の間に、弟2人が噛まれ、それから少しして父も噛まれた。
父を噛んだ時、クロは離さなかったという。
それでも、オイラと母には牙を剥くこともなく、いつもの可愛いクロだった。
その復讐劇から少し経ったある日、クロは父の知人に渡った。
オイラと母は猛抗議した。
クロが悪いんじゃない!お前らが悪いんだ!と。
それでもダメだった。
数ヶ月が経過したころ、母から「クロがまた人を噛んだ」と聞かされた。
クロは人間不信になってしまったのか、もしかしたらクロがまた何かされたのか。
真相は分からなかったけど、また別の人のところに移すらしいと。
父に頼み込んだ。「うちに戻して欲しい」と。
だけど、父が言ったのは父が働く建設会社の事務所の番犬として連れて行くとのことだった。
クロが事務所の番犬になってからは、家から近いということもあり時々資材置き場から様子を見ていた。
この頃はオイラも社会人になり、中々クロに行けずにいた頃、資材置き場の真後ろがオイラのおばあちゃんの家だったことから
事情を知っていたおばあちゃんは、ほぼ毎日のようにクロの様子を見たり、パンをあげたりしていたことが分かった。
その時の話の中で、おばあちゃんが言ってたのは「クロ・・・満足にご飯貰ってないんじゃないかな」と。
詳しく聞くと、既にガリガリに痩せており、前の可愛かったクロの面影はなくなっていたという。
その夜、父を問いただしてみた。
すると、「しらねーよ。事務所にいるんだから事務所の人間が世話してんだろ」と言い放った。
それからオイラはおばあちゃんに頼んで、クロに食べ物をあげるように言った。
数日後、母から聞かされたのは
「おばあから電話あって、食べ物あげると社長に怒られるんだって。人んちの犬に勝手に物やるな!って・・・
あの社長だから(元ヤクザ)おばあも怖がって、行きたくても行けないんだって」
人んちって・・・元はうちで飼ってた犬だろうが!ちゃんとご飯あげればこんなことにはならない!
そう・・・ちゃんとご飯さえあげてれば。
おばあちゃんの話だと、ご飯は愚か、水さえもほとんどもらってないらしい。
クロだってご飯がほしいし水もほしい。だから吠える。そうすると社長に棒で殴られる。
おばあちゃんがやめてくれって頼んでも、暴言を吐くだけでやめてくれない。
おばあちゃんが言ってた。
申し訳ないと・・・クロを助けたいけど助けてあげれない。
かわいそうでかわいそうで、毎日クロの悲鳴が聞こえてくるけど、何もしてやれない。
社長に頼んだところで、俺んちの犬だから何しようが勝手だろ!と言われる。
それを聞いたオイラは頭がおかしくなりそうだった。
ボロボロと泣くおばあちゃんの横で歯を食いしばり泣きながら社長を恨んだ。
そしてクロの最期が近くなったある日、クロが事務所の庭で飼ってる鳩を2羽食べたと連絡がきた。
オイラは驚きもしなかった。
当然だろうと、ご飯も水も与えられず極限の状態まで追い込まれていたクロ。
クロだって生きたいしご飯も水も普通にある幸せな一生を過ごしたいに違いない。
それでも現実は非情で、何ももらえない、撫ででもくれない。
たぶんこの時も死ぬほど暴力を受けたんだろうと思う。
それからすぐ、オイラは仕事が休みで、朝目が覚めるとすぐ、物凄く外が気になり、何かあると思いながら玄関の戸を開けた。
門の方向が気になって、その方向を見つめること数秒。
門からクロが入ってきた。
これにはさすがに驚いて固まってしまったけど、すぐにクロ!と呼んでみた。
クロはオイラに向かって走る。オイラもクロへ走り寄る。
数ヶ月ぶりにクロに抱きついた。
クロは大人しくオイラの頭、顔、体の匂いを確かめているようだった。
オイラは泣きながら「もうどこへも行かせない」と言い、クロの体を撫でた。
数ヶ月ぶりにクロの体を撫でると、もう骨と皮だけになってて、それでも撫でられると穏やかな表情でオイラを見てきた。
ごめんと何度も謝りながらクロを車庫に連れて行った。
クロが前使ってた小屋は、クロが連れて行かれてからすぐに父が壊して捨てた。
首輪もしてなければチェーンもリードもない。
またうちで一緒に暮らそうと思った。もう弟たちや父の苛めに遭わないように守ろうと思った。
お昼になり、母が休憩時間に帰宅した。
オイラは車庫から出て行き、母を連れて車庫へ行った。
扉を開けると、クロがお座りをしてこちらを見ていた。
クロの姿を見た母は、何も言わず駆け寄り、クロを撫でながら「よく逃げてきた。辛かっただろうに。」と涙をこぼしながら抱きしめていた。
そして母は「またうちで一緒に過ごそう。クロの首輪も紐(リード)も全部買ってくるから、もうどこも連れて行かせないようにしよう」と。
そしてその日の夜、オイラと母で父を説得して、うちで飼う事を決めた。
もうクロには触るなと。自分たちでやるから何もしなくていいと。
それから少しの間は穏やかに暮らせていた。
だけど、オイラが仕事休みのある日、また何か外が気になって、朝起きるとすぐに外へ出てみた。
すると・・・クロがいない・・・
物凄い嫌な予感がした。不安にもなった。
母に聞いてみた。
クロは?
「う、うん・・・」言葉を濁す母。
どこ行った?
「・・・」何も言わなくなった。
オイラが感じた予感や不安が的中したと直感で思った。
クロは!!どこ行った!!
大声で問いただすと母は泣きながらこう言った
「クロ、また連れて行かれた・・・」
誰に!?社長か!?
「・・・」何も言わない。
どこだよ!
まくし立てるように問い詰めると
「クロはもう戻らない・・・」と言い「あんたには言うなって黙っておけって言われたんだけど・・・」と続けた。
また連れてくればいいだけの話だろうが!また事務所か?電話してくる!
電話口に向かったオイラに母が言ったのは
「違う!事務所じゃなくて!!・・・」
気付いた・・・気付いてしまった。
恐る恐る聞いてみた。
もしかして保健所・・・?
声も出さずに頷く母。
その直後の記憶はない・・・だけど、残ってるのは、「電話しろ!!やめさせろ!!」そう叫んでたこと。
母が最後に言ったのは「社長が保健所に連れていって、朝一番でやってもらうからって、お父さんと外で話してるのが聞こえた・・・」
クロが何をした!!クロは悪くない!!
たしか保健所の近くまで車をぶっ飛ばしたような記憶もある。
この日の記憶はここまで。もうそれ以降の記憶は残ってない。
ただはっきりしているのは、父と父が当時働いていた会社の社長は、今でも殺してやりたいほど憎い。
(オイラが20歳のとき両親は離婚しました。)
そして年月が流れ、レオと出会った。
最近思うことは、今まで一緒に過ごしてきた子たちは、実際実家にいたときに親の力もありながら育ててきた。
でも今は違う。
自分たちで生活をしてる中でレオがいて、レオを見て育てていくのはオイラと相方しかいないわけで。
レオも頼るのはオイラと相方で。
昔一緒に過ごした子たちは、自分の生涯に満足していない子もいただろう。
事故で命を落とした子に、なんでもっと気付いてあげれなかったのか
病気で亡くなった子に、なんでもっと手をかけてあげれなかったのか
老衰で一生を終えた子に、うちに来て幸せだった?とか
クロは・・・未だに悔しくて涙が溢れるけど、もっと自分にもできることはあったんじゃなかったのか
人間の手で、人間の勝手な行動で・・・
今まで一緒に過ごしてきたのに、なんで救えなかったのか。
自分と一緒に過ごしたのに、なんで気付いてやれなかったのか。
力の足りなかった自分を責めるしかないけど、だからレオとオイラとを考える。
この先、今までみたいなことを繰り返さない、そんなつもりもないけど、全身全霊でレオを守っていこう。
今まで一緒に過ごしてきた子たちの生涯を思うと、後悔とか自責とか色々あるけど
正直に言えば、レオほど対等に密度の濃い子は初めて。
だから本音はレオが最期を迎えたとき、どうなるのか全く予想もつかない。
レオが好きなこと、レオが楽しいと思えるようなことたくさんして
レオが生涯を閉じる時、楽しかったなって思って旅立ってくれるように。
オイラが今まで生きてきた中で、一度でも家族としていた子たちを残そうかなと。
大昔のこともあるもので、記憶が曖昧だけども覚えてる限りは書き出そう。
オイラが小さい頃、写真で見たのは4匹のシャム猫。
どこからやってきて、どうなったのかはわからない。
小学校入学前、またネコが来た。
たぶんだけど、オイラが拾ってきたんじゃないかな。
名前はチャン。女の子
ホワッツマイケルのあのネコと同じ。
何年一緒に暮らしたのかは覚えてないけど最後は、よそのネコと喧嘩して致命傷を負い出血死した。
しばらく大泣きした記憶もある。
そしてチャンの子供たちもいた。
ケンちゃんとショウちゃん。
やんちゃな時期にショウちゃんが事故に遭い亡くなり、ケンちゃんは失踪。
そのあと、父が犬を連れてきた。
まだコロコロした子犬。
柴犬のヨタロウ。後にヨタ。
父が家族に相談も無しに勝手に連れてきて、世話をするのはオイラと弟2人。
毎朝と夕方のお散歩も3人で交代制で行ってた。
そして、ヨタは数年後に父の知り合いに渡った。
程なくして来たのが、ヤギのメー子とアヒル。
何かもう1種類いたような記憶もあるけど曖昧で覚えてない。
結局メー子とアヒルの世話も、オイラたち子供に押し付け、父は何もせず。
アヒルたちは病死。
メー子は知人に渡った後、加工されたことが後で分かった。
そして程なくしてやってきたのがチビ。
これまたホワッツマイケルのようなネコだった。
オスだけど、温厚なチビは滅多にケンカもしなかった。
チビとは家族みんなで出かけるときも連れていったりしていた。
オイラが中学生の頃、チビは病死。
オイラと両親で獣医さんに行った帰りの車内で、オイラの腕の中で息を引き取った。
可愛がってたこともあり、その事のショックは相当で
硬くなったチビのそばを離れることができず、母から叱られた記憶もある。
ずっと泣いてたら、チビがいつまでも旅立てないからと。
そしてオイラが高校生になり、チビがいなくなってから何も飼わずにいた。
ある日オイラの友達が捨て猫を拾ったと連絡があった。
まだ小さい子猫でダンボールに入れられて公園に置かれていたと。
チビが旅立って寂しさもあり、オイラはすぐ飼うことを決めた。
来たのは、ドロドロに汚れた白猫。
ただその子は、生まれてから母ネコが育児放棄したらしく、目の膜が取られていなかった。
その状態でいたため目の見えない子になったらしい。
うちに来て綺麗に洗ってあげると、全身真っ白なネコだった。
名前は雪。目が見えないせいか、よく扉や冷蔵庫に突撃することも多かった。
そしてしばらくして、雪が子供を2匹産んだ。
雪の遺伝が強かったのか、2匹とも真っ白だった。
1匹はオイラの名前の頭文字を取り「M エム」オス。目が茶色で、物怖じしない番長タイプ。
もう1匹は、弟が何を思ってつけたのか「ガッツ」メス。目がブルーで中々の美人。
3人は3匹を可愛がって育てた。
真っ白なネコ3匹が、当時のブラウン管のテレビ上に横たわる姿は、圧巻だった。
雪を真ん中にしてエムとガッツ。
それぞれの最期は、雪はおばあちゃんになって一生を終え、ガッツは病死。エムもおじいちゃんになり一生を終えた。
オイラが高校生のとき父は単身赴任で県外へ行っていた。
そして久々に帰宅するときがあって、そのとき連れてきたのが甲斐犬のクロ。
このクロの件に関しては、法律が許すならば殺してしまいたい人が2人。
父と父が転職した先の社長。
クロがうちにやってきて、毎度の事ながら世話はうちら3人。
クロも大きくなったある日、弟2人がクロを苛めていた。
クロは怖がって威嚇しつつも小屋の中で丸まっていた。
苛めという表現を使ったのは、クロが悪いことをして怒られたとかじゃなく、弟たちが面白がって苛めていたから。
小屋の奥で小さくなってるクロに、弟たちは鉄の棒を突っ込み激しく突いていた。
牙を剥き反撃体勢に入るも弟たちの苛めの前になす術もなく、されるがまま。
オイラが大声で怒鳴り止めさせて、苛めはおさまった。
そのあと、クロの小屋の傍で暗くなるまで、クロの名前を呼び続けた。
恐る恐る出てきたクロの体を撫でた。
そのまたある日、今度は父が棒を持ち、クロを追い回していた。
弟たちがしたように、父も棒でクロを突き、クロはまた小屋へ逃げた。
そのときばかりは、オイラの怒鳴り声で母が家から飛び出し、2人でクロをかばいオイラと母は声を荒げながら父に怒鳴り続けた。
何をそんなに叩きたいのか!クロが何をしたっていうのか!
クロはたぶん、自分を苛めた人間のことは忘れない。
いつか復讐してやろうと思ってたはず。
この数日後、その復讐は実行された。
数日の間に、弟2人が噛まれ、それから少しして父も噛まれた。
父を噛んだ時、クロは離さなかったという。
それでも、オイラと母には牙を剥くこともなく、いつもの可愛いクロだった。
その復讐劇から少し経ったある日、クロは父の知人に渡った。
オイラと母は猛抗議した。
クロが悪いんじゃない!お前らが悪いんだ!と。
それでもダメだった。
数ヶ月が経過したころ、母から「クロがまた人を噛んだ」と聞かされた。
クロは人間不信になってしまったのか、もしかしたらクロがまた何かされたのか。
真相は分からなかったけど、また別の人のところに移すらしいと。
父に頼み込んだ。「うちに戻して欲しい」と。
だけど、父が言ったのは父が働く建設会社の事務所の番犬として連れて行くとのことだった。
クロが事務所の番犬になってからは、家から近いということもあり時々資材置き場から様子を見ていた。
この頃はオイラも社会人になり、中々クロに行けずにいた頃、資材置き場の真後ろがオイラのおばあちゃんの家だったことから
事情を知っていたおばあちゃんは、ほぼ毎日のようにクロの様子を見たり、パンをあげたりしていたことが分かった。
その時の話の中で、おばあちゃんが言ってたのは「クロ・・・満足にご飯貰ってないんじゃないかな」と。
詳しく聞くと、既にガリガリに痩せており、前の可愛かったクロの面影はなくなっていたという。
その夜、父を問いただしてみた。
すると、「しらねーよ。事務所にいるんだから事務所の人間が世話してんだろ」と言い放った。
それからオイラはおばあちゃんに頼んで、クロに食べ物をあげるように言った。
数日後、母から聞かされたのは
「おばあから電話あって、食べ物あげると社長に怒られるんだって。人んちの犬に勝手に物やるな!って・・・
あの社長だから(元ヤクザ)おばあも怖がって、行きたくても行けないんだって」
人んちって・・・元はうちで飼ってた犬だろうが!ちゃんとご飯あげればこんなことにはならない!
そう・・・ちゃんとご飯さえあげてれば。
おばあちゃんの話だと、ご飯は愚か、水さえもほとんどもらってないらしい。
クロだってご飯がほしいし水もほしい。だから吠える。そうすると社長に棒で殴られる。
おばあちゃんがやめてくれって頼んでも、暴言を吐くだけでやめてくれない。
おばあちゃんが言ってた。
申し訳ないと・・・クロを助けたいけど助けてあげれない。
かわいそうでかわいそうで、毎日クロの悲鳴が聞こえてくるけど、何もしてやれない。
社長に頼んだところで、俺んちの犬だから何しようが勝手だろ!と言われる。
それを聞いたオイラは頭がおかしくなりそうだった。
ボロボロと泣くおばあちゃんの横で歯を食いしばり泣きながら社長を恨んだ。
そしてクロの最期が近くなったある日、クロが事務所の庭で飼ってる鳩を2羽食べたと連絡がきた。
オイラは驚きもしなかった。
当然だろうと、ご飯も水も与えられず極限の状態まで追い込まれていたクロ。
クロだって生きたいしご飯も水も普通にある幸せな一生を過ごしたいに違いない。
それでも現実は非情で、何ももらえない、撫ででもくれない。
たぶんこの時も死ぬほど暴力を受けたんだろうと思う。
それからすぐ、オイラは仕事が休みで、朝目が覚めるとすぐ、物凄く外が気になり、何かあると思いながら玄関の戸を開けた。
門の方向が気になって、その方向を見つめること数秒。
門からクロが入ってきた。
これにはさすがに驚いて固まってしまったけど、すぐにクロ!と呼んでみた。
クロはオイラに向かって走る。オイラもクロへ走り寄る。
数ヶ月ぶりにクロに抱きついた。
クロは大人しくオイラの頭、顔、体の匂いを確かめているようだった。
オイラは泣きながら「もうどこへも行かせない」と言い、クロの体を撫でた。
数ヶ月ぶりにクロの体を撫でると、もう骨と皮だけになってて、それでも撫でられると穏やかな表情でオイラを見てきた。
ごめんと何度も謝りながらクロを車庫に連れて行った。
クロが前使ってた小屋は、クロが連れて行かれてからすぐに父が壊して捨てた。
首輪もしてなければチェーンもリードもない。
またうちで一緒に暮らそうと思った。もう弟たちや父の苛めに遭わないように守ろうと思った。
お昼になり、母が休憩時間に帰宅した。
オイラは車庫から出て行き、母を連れて車庫へ行った。
扉を開けると、クロがお座りをしてこちらを見ていた。
クロの姿を見た母は、何も言わず駆け寄り、クロを撫でながら「よく逃げてきた。辛かっただろうに。」と涙をこぼしながら抱きしめていた。
そして母は「またうちで一緒に過ごそう。クロの首輪も紐(リード)も全部買ってくるから、もうどこも連れて行かせないようにしよう」と。
そしてその日の夜、オイラと母で父を説得して、うちで飼う事を決めた。
もうクロには触るなと。自分たちでやるから何もしなくていいと。
それから少しの間は穏やかに暮らせていた。
だけど、オイラが仕事休みのある日、また何か外が気になって、朝起きるとすぐに外へ出てみた。
すると・・・クロがいない・・・
物凄い嫌な予感がした。不安にもなった。
母に聞いてみた。
クロは?
「う、うん・・・」言葉を濁す母。
どこ行った?
「・・・」何も言わなくなった。
オイラが感じた予感や不安が的中したと直感で思った。
クロは!!どこ行った!!
大声で問いただすと母は泣きながらこう言った
「クロ、また連れて行かれた・・・」
誰に!?社長か!?
「・・・」何も言わない。
どこだよ!
まくし立てるように問い詰めると
「クロはもう戻らない・・・」と言い「あんたには言うなって黙っておけって言われたんだけど・・・」と続けた。
また連れてくればいいだけの話だろうが!また事務所か?電話してくる!
電話口に向かったオイラに母が言ったのは
「違う!事務所じゃなくて!!・・・」
気付いた・・・気付いてしまった。
恐る恐る聞いてみた。
もしかして保健所・・・?
声も出さずに頷く母。
その直後の記憶はない・・・だけど、残ってるのは、「電話しろ!!やめさせろ!!」そう叫んでたこと。
母が最後に言ったのは「社長が保健所に連れていって、朝一番でやってもらうからって、お父さんと外で話してるのが聞こえた・・・」
クロが何をした!!クロは悪くない!!
たしか保健所の近くまで車をぶっ飛ばしたような記憶もある。
この日の記憶はここまで。もうそれ以降の記憶は残ってない。
ただはっきりしているのは、父と父が当時働いていた会社の社長は、今でも殺してやりたいほど憎い。
(オイラが20歳のとき両親は離婚しました。)
そして年月が流れ、レオと出会った。
最近思うことは、今まで一緒に過ごしてきた子たちは、実際実家にいたときに親の力もありながら育ててきた。
でも今は違う。
自分たちで生活をしてる中でレオがいて、レオを見て育てていくのはオイラと相方しかいないわけで。
レオも頼るのはオイラと相方で。
昔一緒に過ごした子たちは、自分の生涯に満足していない子もいただろう。
事故で命を落とした子に、なんでもっと気付いてあげれなかったのか
病気で亡くなった子に、なんでもっと手をかけてあげれなかったのか
老衰で一生を終えた子に、うちに来て幸せだった?とか
クロは・・・未だに悔しくて涙が溢れるけど、もっと自分にもできることはあったんじゃなかったのか
人間の手で、人間の勝手な行動で・・・
今まで一緒に過ごしてきたのに、なんで救えなかったのか。
自分と一緒に過ごしたのに、なんで気付いてやれなかったのか。
力の足りなかった自分を責めるしかないけど、だからレオとオイラとを考える。
この先、今までみたいなことを繰り返さない、そんなつもりもないけど、全身全霊でレオを守っていこう。
今まで一緒に過ごしてきた子たちの生涯を思うと、後悔とか自責とか色々あるけど
正直に言えば、レオほど対等に密度の濃い子は初めて。
だから本音はレオが最期を迎えたとき、どうなるのか全く予想もつかない。
レオが好きなこと、レオが楽しいと思えるようなことたくさんして
レオが生涯を閉じる時、楽しかったなって思って旅立ってくれるように。
という、扱いの人間が多かったと思います。
しつけと言っても、虐待に近いことばかりで。
日本人という人種が…未熟だったということなのかも知れないけれど。
いま、子供を虐待したりする事件が多い事を思うと、
根本の人間の質は変わっていないのかな…と思う時があります。
相手が畜生だから…ではなく、言葉をかけて暮らせば、
言語こそ違えど通じ合えますよね。
相手の心情を汲み、思いやり、愛情をそそそぐ姿に、
人も犬も猫も…etc、境界線なんてないんだって解ります。
辛い想い出は、みいさまが子供だったから。
大人に対して力が足りなかった事は、仕方のない事だと思うのです。
今、みいさまが大人になって…同じ憎い汚い大人にならずに、
誰かを守れる様になったその手で、
近くに在る愛しい存在を守れること、守って居ること。
きっとクロさんは見ているのではないかなぁ。
いや、ひょっとしたら、魂は巡って…レオさんの中に居るかも知れないよ!
そんな風に思う時、出逢った命、ひとつ1つに嘘はつけなくて、心から愛おしいと思います。
人も動物も限りある命の中で出逢ったのだもの!
長文ごめんなさいm(__)m
…とここまで書いてて…あれ?…と。
映画で剣心も似た事言ってた…カモ…(^^ゞ ←おいおい!
動物って、人間が思う以上に人間の事を観察してて、たぶん人間が思ってる以上に色々感じてるんだろうなって思います。
ただ、それが伝わらない、伝わりにくいのもあって、思わぬことに発展したり・・・。
今までオイラと一緒に過ごした子たち、今のレオみたいに愛せていたか?と聞かれれば、正直そこまでの愛情はなかったと思います。
でも大人になるにつれて段々と動物に対する意識が変わってきて、クロの一件で大きな変化があったと思ってます。
小さな体だけど、守らなきゃいけないんだ、動物を飼うってこういうことだなと痛感させられた一件でもありました。
確かに、あの2人のしたことは、クロを畜生としか思ってない扱いです。昔のこととは言え、未だに悔しくてたまりません。クロを虐待し死なせた2人と、何もできなかった自分と。たぶん、これは一生消えることはないと思います。
今レオと一緒にすごして改めて感じます。
動物は裏切らない。人間が愛情をもって接していけば。
たまにそっぽ向かれることもありますが・・・(笑)
でも、レオも何かの縁でうちに来た子。
今じゃレオなしでは生きていけないくらいの存在感の大きさ。
今までの子の事を思えばこそ、レオを大事に育てていこうと思います。
ママさんの言う通り、犬にも人にもネコにも境界線はないんですよ。境を作ってるのは一部の人間なんですよね。
言葉が分からないから・・・考えが伝わらないから・・・じゃなくて、少しでも理解してあげようって気持ちが大事ですよね。そうすれば、言葉なんかなくても、お互い目を見れば、行動を見れば伝わる事ができるし理解もできる。
ママさんの中で剣心の影響力は絶大ですね(笑)
映画館で見たセリフを覚えてるなんてすごい(*´∀`*)