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やんちゃ坊主Na(ナトリウム)

2008年08月23日 | サイエンス
Naナトリウム、原子番号11番の元素。
食塩は塩化ナトリウムNaClですから、身近で名前も良く聞く元素です。

塩化ナトリウムが水に溶けてできるナトリウムイオンなら、体内にも海水中にもごくごく普遍的に存在しているもの。
しかし、ひとたび単体のNaとなると表情と性質はガラリ豹変。
外見は銀白色の金属でナイフ切れる程度の硬度。


さて米粒サイズ(ここが重要)に切った単体ナトリウムを水に入れてみましょう~
キャー、ビックリ 水と激しく反応してます!
オマケに水素ガスが激しく発生、これは可燃性爆発性のガスだよ。
(サイズが大きすぎると発火して爆発します、コワ~


反応後の残った水にフェノールフタレイン溶液を落としてみると‥‥

濃ピンク色、これは強アルカリ性を示しています(皮膚に付くと溶けるよ‥
このようにナトリウムは水と出会うと大変なので、灯油の中で保存します。

さて福井県敦賀市にある高速増殖炉もんじゅでは、このナトリウムが冷却材として使われています。


(写真:日本原子力研究開発機構)

ナトリウムに温度をかけて液体にし、反応炉の周囲を循環させて冷却するというもの。
しかし1995年12月、ナトリウム漏洩事故を起こしました。
(参考:「もんじゅ」のこれまでの経緯

そして先日、日本原子力研究開発機構はもんじゅの運転再開を断念し、延期する旨、発表しました。
現在原子炉や付帯設備の安全性を調べるプラント確認試験をしていますが、今年3月にナトリウム漏えい警報の通報遅れや漏えい検出器の施工ミスなどの不手際が相次ぎ、国が検出器約1300個の全数点検を指示していました。
更に5月、一連の不手際に対し国が特別な保安検査をし、この対応で今月末に終了予定だった確認試験が大幅に遅れていたということです。

それりゃそうでしょう。米粒サイズのNaでもあんなに激しく危険な化学反応を起こすのだから、大量のNaを「安全に使用する」なんて不可能と思うわ。
現にEUでナトリウムを使った高速増殖炉開発は技術的に問題が大きいということで、撤退が相次いでいます。

世界でただ一国、このナトリウムに手を出そうとしている日本。
私は試験管の中の反応を見た素朴な感覚からだけど、Noと言います。

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