ブナの中庭で

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中国内モンゴル自治区の沙漠化(1)

2008年10月09日 | 環境問題
7年前まで、中国内モンゴル自治区包頭(バオトウ)地域の沙漠化問題にかかわっていました。
現地へ調査に何度か訪れ土壌や地下水サンプルを採取し、沙漠化の原因を探りました。また、各種実験をして土地の環境修復の方法を中国の方々と考えました。
ささやかな国際協力と研究は自分では楽しかったのですが、中国現地の状況は本当に悲惨でした。

今日はその時に私が撮影した写真を紹介します。

内モンゴル自治区は乾燥気候のため、自然の状態では地表は草原に覆われています。
ここで過放牧や無理な農地開発を行なうと、草原の下で留まっていた砂がむき出しとなり移動を始めます。時には砂嵐となって海を超え日本にもやって来る事は、ご存知のとおり。
写真は動き出した砂丘。


画面右側の土壁は、「本来の姿」の万里の長城。北京近郊にあり観光化されたものとは全く異なります。
かつては異民族の侵入を止めた万里の長城が、現在は飛砂を止めています。


ここはかつて森林に覆われていました、信じられませんが‥‥。
無計画に伐採したため、表土が流出し岩肌がむき出しになっています。こうなると植林は極めて困難です。


ここはかつて美しい草原に覆われていたそうです。
しかし農地として開墾し灌漑用水路を引きました。乾燥気候のため蒸発が著しく、水中の塩が吹き出てきました。つまり塩害です。(写真でも白く見えます。)
こうなればもはや環境修復は極めて困難、二度と使えない土地になっていまいました。

実はこの農地、日本向け野菜畑として開墾されたそうです。
世界各地から農産物を輸入し豊かな食卓を楽しんでいる私たち日本人。
その一方で、現地ではこのような環境破壊が起こっている例も多いのです。
「輸入農産物の影」を感じざるをえません‥‥。

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