サブタイトル「レジ袋をやめれば大丈夫と思っていませんか?」
***
昨年6月に発行され、読まなくちゃと思い続けていた本書。ようやく読むことができました。
気になった部分を書き出してみます。
【1】「マイクロプラスチック」(5mm以下の微細なもの)の主要な発生原因7つ
1.合成繊維(衣類の洗濯時に発生)
2.タイヤ(道路との摩擦で発生)
3.道路の路面標示(車線や交通標識などがすり減って)
4.船舶用塗料
5.パーソナルケア製品(洗顔料や歯磨きの中のスクラブ類、紙おむつや生理用ナプキンの高吸収性樹脂)
6.プラスチックペレット(多くのプラスチック製品の原料)
7.都市部のちり(人工芝、建物の塗料、靴底など)
【2】レジ袋とペットボトル
・日本で配布されるレジ袋は毎年450億枚、うち3割はコンビニ
・世界では年間5300憶本のペットボトルが生産され、リサイクル用に回収されるものは半分以下
・日本で出荷されるペットボトルは、年間1人あたり190本
・世界の海岸線に打ち上げられるプラスチックごみの中で最も多いのがペットボトル
【3】海洋プラスチック汚染の現状
・2050年までに海洋中に存在するプラスチックは魚の量を超える
・海洋プラスチックの約6割は海面を漂い、海流に乗って漂流する
・「亜熱帯還流」に乗ると渦に巻き込まれごみがたまり続ける。「太平洋ごみベルト(渦)」が有名
・海洋に入ったプラスチックごみの94%は最終的に海底に蓄積し、現在1km2あたり70kgが存在する
・「幽霊漁具」捨てられた漁網やロープが海洋生物に被害を与えることで、毎年64万トンが捨てられている
PHOTOGRAPH BY JOHN JOHNSON / ONEBREATHPHOTO.COM
【4】海洋プラスチックの汚染を減らすために
・「G7海洋プラスチック憲章」では、2030年までに全てのプラスチックをリユース可能、リサイクル可能なものにすると定められた
・しかし日本は米国と共に署名せず、大きな批判を浴びている
・「EUプラスチック戦略」でも、2030年までに全てのプラスチック容器包装を、リユース・リサイクル可能とすると決定した。
【5】各国の具体的取組例
・英国:プラスチック製ストローや綿棒を禁止。使い捨てレジ袋には5ポンド(650円!)を課金
・フランス:使い捨てのプラスチック製タンブラー、コップ、皿は禁止
・イタリア、韓国、英国、台湾、カナダ他:スクラブ材(マイクロプラスチック製)入りの化粧品や歯磨き剤の製造と販売を禁止
・コスタリカ:ペットボトルやレジ袋など使い捨てプラスチック製品を再生可能かつ180日以内に水中で分解可能な製品に置き換え
・ルワンダ:2008年よりレジ袋やビニール袋の製造・輸入・販売・使用が全面禁止
*日本ではまだ一般に売られているスクラブ入り製品だが、世界では禁止の流れ。
【6】日本の課題
・プラスチックのごみ対策は「容器包装リサイクル法」が担っており、その対象品は家庭から一般廃棄物として排出される容器包装品のみ。例えば穴の開いたプラスチックバケツやビニール傘、不要になったCD-ROMなどは対象外
・マイクロプラスチックについては「海洋漂着物処理推進法」で、罰金など制裁のない努力義務でしか記載がない
・そもそもプラスチックごみの対策を正面から取り扱う法律がない
・漁網が海洋プラスチック汚染の主要原因の一つであるが、日本ではほとんど取り組みがされていない
87ページと薄いブックレットですが、プラスチック問題の深刻な現状と世界の動きがわかって、非常に興味深い内容でした。
「プラスチック汚染とは何か」(岩波ブックレットNo.1003)
著者:枝廣 淳子、2019年6月発行、620円+税
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昨年6月に発行され、読まなくちゃと思い続けていた本書。ようやく読むことができました。
気になった部分を書き出してみます。
【1】「マイクロプラスチック」(5mm以下の微細なもの)の主要な発生原因7つ
1.合成繊維(衣類の洗濯時に発生)
2.タイヤ(道路との摩擦で発生)
3.道路の路面標示(車線や交通標識などがすり減って)
4.船舶用塗料
5.パーソナルケア製品(洗顔料や歯磨きの中のスクラブ類、紙おむつや生理用ナプキンの高吸収性樹脂)
6.プラスチックペレット(多くのプラスチック製品の原料)
7.都市部のちり(人工芝、建物の塗料、靴底など)
【2】レジ袋とペットボトル
・日本で配布されるレジ袋は毎年450億枚、うち3割はコンビニ
・世界では年間5300憶本のペットボトルが生産され、リサイクル用に回収されるものは半分以下
・日本で出荷されるペットボトルは、年間1人あたり190本
・世界の海岸線に打ち上げられるプラスチックごみの中で最も多いのがペットボトル
【3】海洋プラスチック汚染の現状
・2050年までに海洋中に存在するプラスチックは魚の量を超える
・海洋プラスチックの約6割は海面を漂い、海流に乗って漂流する
・「亜熱帯還流」に乗ると渦に巻き込まれごみがたまり続ける。「太平洋ごみベルト(渦)」が有名
・海洋に入ったプラスチックごみの94%は最終的に海底に蓄積し、現在1km2あたり70kgが存在する
・「幽霊漁具」捨てられた漁網やロープが海洋生物に被害を与えることで、毎年64万トンが捨てられている
PHOTOGRAPH BY JOHN JOHNSON / ONEBREATHPHOTO.COM
【4】海洋プラスチックの汚染を減らすために
・「G7海洋プラスチック憲章」では、2030年までに全てのプラスチックをリユース可能、リサイクル可能なものにすると定められた
・しかし日本は米国と共に署名せず、大きな批判を浴びている
・「EUプラスチック戦略」でも、2030年までに全てのプラスチック容器包装を、リユース・リサイクル可能とすると決定した。
【5】各国の具体的取組例
・英国:プラスチック製ストローや綿棒を禁止。使い捨てレジ袋には5ポンド(650円!)を課金
・フランス:使い捨てのプラスチック製タンブラー、コップ、皿は禁止
・イタリア、韓国、英国、台湾、カナダ他:スクラブ材(マイクロプラスチック製)入りの化粧品や歯磨き剤の製造と販売を禁止
・コスタリカ:ペットボトルやレジ袋など使い捨てプラスチック製品を再生可能かつ180日以内に水中で分解可能な製品に置き換え
・ルワンダ:2008年よりレジ袋やビニール袋の製造・輸入・販売・使用が全面禁止
*日本ではまだ一般に売られているスクラブ入り製品だが、世界では禁止の流れ。
【6】日本の課題
・プラスチックのごみ対策は「容器包装リサイクル法」が担っており、その対象品は家庭から一般廃棄物として排出される容器包装品のみ。例えば穴の開いたプラスチックバケツやビニール傘、不要になったCD-ROMなどは対象外
・マイクロプラスチックについては「海洋漂着物処理推進法」で、罰金など制裁のない努力義務でしか記載がない
・そもそもプラスチックごみの対策を正面から取り扱う法律がない
・漁網が海洋プラスチック汚染の主要原因の一つであるが、日本ではほとんど取り組みがされていない
87ページと薄いブックレットですが、プラスチック問題の深刻な現状と世界の動きがわかって、非常に興味深い内容でした。
「プラスチック汚染とは何か」(岩波ブックレットNo.1003)
著者:枝廣 淳子、2019年6月発行、620円+税