今から15年ほど前、ゴッドハンドの先生の元で勤めて居た時のことです。
ロシア人の美女が紹介で治療院にやってきました。多発性硬化症という神経難病を患っていました。突然神経に炎症が起きて、その神経が灼熱の痛みに包まれたり、神経の炎症部位によっては目が見えなくなったりするのです。彼女は激痛に苦しんで来院しました。
鍼で刺激すると神経の炎症が悪化してしまうので、灸を用いてケアし続けました。しかも灸のあとはつけないでほしいといわれました。
肌にやけどを作ると商品価値が下がるから、と。
彼女はロシアで貧困のなかで暮らし、来日して日本の外国人専門風俗店で働いて家族を養うお母さんでした。
そのうち、お灸部隊の私と大変仲良くなります。マトリョーシカをプレゼントしてくれたり、お手紙をくれたり、家族の写真を見せてくれたり、ロシア風のお寿司の写真を見せてくれたり。
私はロシア語を勉強し、簡単なロシア語の挨拶ができるようになりました。
いつかファッションブランドを作りたいんだという夢を語ってくれました。
でも、ロシアは賃金がとても安くて家族を養えないから、今は日本で頑張って働いてお金を送り続けているんだ。そういってました。
彼女は20代半ばほどに見えましたが30台後半でした。
現在でも一般的なロシア人庶民の月収は4万円台だそうです。
その後、彼女は太りすぎてしまったので風俗店での商品価値がないと判断されてロシアに帰りました。
母国に帰って良い仕事があるのだろうか。
風俗から足を洗って、正業について家族を養ってあげてほしい。そのよう願いました。
ロシア人だろうがウクライナ人だろうが、一人一人は家族を思う心優しい人ばかりと思います。
どうか世界中の人たちが家族と幸せに暮らせるよう、戦争もなく貧困撲滅の暖かい世界になるように、今は小さな力しかありませんが私はできることをやっていこうと思っています。