35期竜王戦第6局藤井竜王が先手番にて113手で勝ち初防衛を果たしました。これでタイトル戦11連勝です。
とまあ、藤井竜王オッカケとしてはつい大声で叫んでしまいそうですが、今回はチョットばかり思いついたことを書くことにします。どうせ棋譜なんて至る所にアップされるので、今回は無視します(笑)
第5局は残念でしたが、すぐその後に対局した棋王戦の敗者復活戦で伊藤匠五段との勝負で初めて見せた入玉にビックリです。今回も同じようにこれまでのような華麗な詰みではなく、全てを見切っての確実なヨセ、読みぬけが一つでもあるとアウトというプロのトップ棋士でさえ二の足を踏むような逆転負けと紙一重ながら、決して詰まされないとのヨミに裏付けされた横綱相撲。
碁なら芸が広がったと表現するのがピッタリなんですが、あいにく将棋での表現の仕方はわかりません。明らかにレベルアップしていることは確かなんですけどねえ。
今回のABEMAの解説者である長岡六段、初めて拝見したんですがいいですね。研究者といいますか、偉ぶらず、純粋に解析されるだけでなく、当方のようなヘボにも分かる解説は素晴らしく、たちまちファンになってしまいました。お陰で今回と同じ戦型だった対豊島戦での奇妙な玉の動きにも深い理由があったことが良く分かりました。
それを踏襲した広瀬八段が指したのが38手目の△7二金。
その手に藤井竜王はすかさず▲4五桂と仕掛けたのも、同じ意味だったんですね。この間の取り方を教えてもらえただけで今回はABEMAを観た甲斐がありましたよ。
最近の解説者は、聞き手の女流棋士がわざわざ「藤井竜王」とフォローしているにもかかわらず平然と「藤井さん」と呼ぶばかりか、とある局面での違う手を指した時の応手を藤井さんに聞いてもらいたいとか、ウンザリさせられることが多いですからね。今回は読売の竜王戦の方でも現地での大盤解説の中継もありましたし。
以下お互いに一歩も引けない激しい戦いに突入します。飛車を攻めにきた広瀬八段に対して、藤井竜王の飛車を捨てから▲2六角打ちが妙手のようで、これでどうやら竜王が優位に立ったようです。
AI評価でも竜王の方に6-4から7-3へと形勢が傾いた瞬間にいきなり81手▲3一銀から△5二玉に▲3三角成と角を切り、
さらに広瀬八段の玉を追い詰めて▲7二金まで一気に進みます。
ただこの局面は必至ではなく、一手隙の次に詰めろという局面です。
長岡六段はこんな手は怖くて指せないとのこと。
もう一人の解説者である中川八段も同様で、一発逆転を狙っての立場ならできるが、形勢が明らかに有利であるのにわざわざ危険を冒すなんて、と暗に否定的な立場でした。
ただ同じ故米長永世棋聖門下の兄弟弟子とはいえ長岡六段は中川八段と基本的に違うようです。ここまでの局面は読めてもそれ以上はわからないと正直におっしゃられてました。さらに藤井竜王はこれだけの時間を余しながらここまで読み切っているなんて信じられないことで、自分にはまる1日かけても到底できないとも。さすがにご謙遜だと思いますが、こんな強い人の棋譜を観られるだけで満足だとの言葉はとても好ましくて心打たれました。
さて広瀬八段の持ち駒は飛車、角、金、香2、歩2。これで詰めろをかければ広瀬八段の勝ちになるのですが・・・
解説者の検討では、結局広瀬八段から詰めろをかけることは難しいようだが、まだわからないと大盤で一つ一つ方法を確かめたところ、どうやら有効な手段はないのかもしれない、という結論に落ち着いたようです。
さて次回は羽生九段との前哨戦、ここで勝って弾みをつけてあの天彦九段に2連勝、さらには・・・
六冠を期待しています。
ついでに谷川さんの名人位最年少記録も破っちゃってくださいな。