時折詰碁などお土産をだしていますが、なにしろブログは気分次第の不定期便。自慢じゃないが、天邪鬼で責任感のまるでない、いい加減な人間です。答えがいつまでもホッタラカシなんて日常茶飯事。別に誰が読むわけでもないし、どうでもいいことなんですが、根っからの気分屋のため、思いついたが最後、今回は答えと詰碁のあれこれを少々書き綴ることにしました。
まあ、はっきり言って暇なんですよ。休日とはいえ、一人娘には構ってもらえないし、女房には鼻から相手にされません。仕方ないからブログでも書くか、と(笑)
お土産のほとんどが玄玄碁経(げんげんごきょう)と官子譜(かんずふ)です。
昔から詰碁の二大名著として知られていますが、玄玄碁経の方が遥かに古く、南宋(1200~300年)の頃といわれています。それ以前に千年を超える歴史のある碁の中から伝えられた詰碁の秀作を、晏天章、巌徳甫が共同で編集されたものです。7~800年も昔に発見されたヨセや手筋が現代とほぼ変わらないのですから、この頃すでに部分では究められていたのでしょうね。だからヨセは古碁(江戸時代のお城碁)を学ぶのが一番だともいわれているくらいです。(但し、当時はコミがありません。その辺りが現代とは基本的に違います)
官子譜は明の時代の過 百齢(か ひゃくれい) によって著され、陶 式玉(とう しきぎょく)の編纂のもと1694年に完成しています。ですから玄玄碁経と同じものもありますが、手筋を体系づけたという点においては遥かに官子譜の方がまさっています。
ついでに言えば最も難解な詰碁は1713(正徳3)年に出版された井上因碩3世著「囲碁発陽論」だといわれています。ここにも玄玄碁経や官子譜と同じものもありますが、大半は因碩や当時の棋士たちのオリジナルです。特に本筋に入るまでが難しく、幾重ものルートを見極めないと解答にたどり着けません。たったの1問解くのに数時間どころか何日もかかるくらいですが、プロを目指すならぜひどうぞ。因みに原本には解答はありませんので、挑戦されるならプロ棋士の解説付きの方がいいですよ。その場合は単行本でないと、値打ちがないと思います。
そんなわけで、今回はなるべく実践に即したものからです。
まずは忘れないうちに前回の解答から。いずれも黒先です。
白2を3と懐を広げるのは、黒2、白5の一路下、黒5は上辺2目の押さえ、で3目ナカデ。
いずれも黒1の急所がすべてです。
黒1は8のところ
以下9,11が決め手でこれが有名な狸の腹づつみです。どうやっても2手以上には伸びません。
因みに白4で7のデは2の一路下に黒5とアテ、以下グルグル回しになります。
さて今回は実践によくあらわれる手筋です。簡単なものばかりですが、これを知るだけで有段者にかなり近くなる?かもしれません。すべて玄玄碁経からのものですが、まずはどんな本にも載っているこの形です。言い忘れましたが、原図では白黒入れ替わっているものも少なくありませんが、基本はすべて黒先の形をとっているからです。
黒先:結果は?
因みにこの形は小ケイマジマリによく見られます。
これも白黒逆になっていますが、同じ意味です。
この形は無条件活きですが、殺しに来るとすれば
白4は一の1
白4と放り込み、黒7と取らせてから白8のオシツブシで活きるのですが、上記の問題図はここに余計な石がくっついています。得だからとデとオサエを交換したために、白8のオシツブシの手がダメづまりで打てなくなっているのです。で結局は
までのコウになります。
碁では何でもかんでもダメを詰めるのは良くない、とされているのはこういうことなんですね。
そういえば初代名人の本因坊算砂、元和9年(1623年)弟子の中村道碩に後継者の算悦の後見を託して死去したのですが、時世の句が
碁なりせば 劫なと打ちて生くべきに 死ぬるばかりは手もなかりけり
まあ、コウでも手があるだけ、無条件死よりもましだともいえますかね。
因みに算砂の墓は京都の寂光寺(左京区)で、通称本因坊の寺ともいわれ、歴代の本因坊の墓があります。
続いてこの活き方は?
形の急所ですが、1手だけで活きます。
置き碁によくみられる形で、手順は以下の通りです。
あ、19までが一段落なのでつい答えを先にいってしまいました(苦笑)が、19の並びが形の急所です。
一路右のカケツギが一見形の急所のようですが、問題図では、17の下にツケ一発。死ぬるばかりは手もなかりけり、となります。
続いてよく似た問題を3問。かなり良く知られた詰碁で、ご自分でご研究ください。
俗に言うハネ殺しというやつです。
左辺が一路フトコロが広くなっているのですが、右辺には黒のサガリがあります。
さて結果は?
手順が大切です。同じつもりで前後すると、結果は全く違ってきます。黒先、白活って詰碁?
ついでに右辺ももう一路広くなっていますが、白のカケツギはありません。
結果は?
上記の問題が分かれば簡単です。実践では良くできる形ですが、このサガリが利いていることが存外大切になってきます。星から大ゲイマの時にも同様の手筋が生まれるのですが、それはまた別の機会に、ということにしましょう。覚えているかどうかは極めて怪しいですけどね(爆笑)
女房が食事の合図を送ってきたので、本日はここまでということで、長らくのお付き合いありがとうございました。