久しぶりの碁です。
一力九段(当時)が井山棋聖から棋聖位を奪取して以来ですかね。
今回は大好きな芝野九段が立場が入れ変わって井山名人への挑戦となります。2年前、当時芝野名人(三冠)が井山棋聖(三冠)の挑戦に防衛できずに失冠、以後十段、王座と次々失い現在は無冠。
一力遼棋聖、許家元(きょかげん)十段と並び令和三羽烏と称され、10代で最年少の名人位記録を樹立するなどAIの申し子として藤井五冠と共にネットでも盛り上がったんですが、結局は七大タイトルは4でストップしてしまいました。
まだ来月23歳になる若手の筆頭株で、今期も昇給したばかりの棋聖戦Sリーグで井山名人を抑えての1位を決定するなど活躍していますが、ことタイトルに限ればあと一歩及ばずで、その大半が井山大魔王という高く聳える壁。
本因坊戦では挑戦者に2年連続なりながらの敗退、それも2年目は3勝1敗とカド番に追い込みながらまさかの3連敗を喰らっての逆転負け。しかも同じ年に2-3で王座を奪われ無冠となるなどまさに井山名人は宿敵のラスボスです。
今回は初戦には敗れたものの2,3局と連勝。しかも派手な立ち回りではなく、明るい形成判断のもとに常に細かいながらも優位を保ち最後は名人が足らずとみての投了で堂々の勝利です。
特に封じ手のツケから5子を捨て中央を囲う作戦が見事に決まりました。
黒83が封じ手です。以下黒91とハネ、白92のキリに、
93とノビ、3目を捨て石にして以下101までものの見事に中央を囲います。
ただアチコチに穴があり簡単に値切られそうですが、
再び黒83,85の2目も捨て石にして中央の大模様が完成しました。
以下、下辺黒171と白石一子を抜いた下図が終局場面です。
最後まで打てば盤面8目くらいで、コミを引くと黒番芝野九段の1目半勝ちは堅そうです。さすがにここまでくれば逆転もなく、井山名人無念の投了となりました。
次回は10月6,7日で藤井竜王のタイトル戦第一局7,8日と被るのですが、どちらも応援するのはもちろん若手の方です。
両者ともAIに精通しており、囲碁・将棋の世界に新しい風を吹き込んだことはご存じの通りです。囲碁・将棋界ともAIが研究に欠かせぬものとなり、これまでの常識といわれた数々の悪手と呼ばれる手法が、若手中心にドンドン取り入れられるようになってきました。これから新たな定石(定跡)と呼ばれるものが数多くみられるはずで、その最先端を担うのが二人の棋士。
ただ・・・芝野はん、いや芝野センセー、今度は期待裏切らんとってや。でないと寂しいがな。また、碁を忘れて将棋ばっかりになってしまうで~。