たびたび、海外から水墨画の体験レッスンを
受講しにおいでいただいているのですが、
直ぐに水墨画をせずに、最初はゆっくりとお茶を飲んで
お話の方を沢山している回もございます。
今日は、体験レッスンに来られたゲストの皆さんが語る、
日本人、日本社会、日本文化について、書かせていただきます。
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オーストラリアからいらした、80歳代女性
「日本に来たのは、何度目かですけれど、私が英語しか喋れず、
こうして日本の皆さんと日本語で会話もできない事を、恥に思っています。」と着くなり言われ、
「あなたのような西欧社会の方からその様に言われるとは、それは、
私の父親の世代(80歳代)では、想像もできない事でしょう。」と、率直にお答えしてみたところ、
「その事は、大変承知しています。私達は、随分変わりました。
私達が、おお威張りしていた時代は、遥かかなただ、という気持ちでいます。」
急に粛々としたご様子で、教室に入ってこられた。
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アメリカからいらした、 母子
「日本には、初めてきましたが、
この国は「成功している国だ」という印象を、ただただ受けて驚きましたね。」
「成功している国、とは何ですか。」
「まず、街がきれいですね。人はモラルが高く、 驚くほど、大多数の人が、落ち着いていて、気分が安定しています。教育がいいのがわかります。
国際的にも高い評価を得ていて、経済も活性化していて。街を歩いていても、よどんだ雰囲気がないのですよ。これには、驚きました。若い人も元気ですね。アメリカの学生の学力は、低下する一方です。
われわれ、アメリカ人は、日本からたくさん学ばないといけません。今や、日本こそが手本です。」
「その言葉に、私の方が驚きました。戦後、我々がどれ程、「アメリカではこうしている。」「アメリカ人はこう行動する。」と言い続け、アメリカを模範にして来たことか、これはもう病的なくらいでしたが。
(...と、私が返答する間に、その親子は眉をしかめて首を横に振っている。)
それが、今アメリカの方からそのように言っていただくとは!」
(...その親子は、今度は首を縦に振るので、同情で濡れた眼のひかりが残像で残って、
お2人の顔面のまえで十字架のような形になって見えたほどだった。)
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オーストラリアからいらした、 カップル
「日本はおもしろい!まず、オーストラリアにはないものばかりだ。」
「ないもの、は何ですか。そんなに違いますか。」
「東京はすべてが揃っていますよ。観光しようと計画していた場所がだめでも、
すぐその隣に、もっと目新しいものがある。6日間で国内を回ろうと思っていたが、
東京だけにしようと思う。知らない食べ物だらけだ。」
「日本の伝統文化についてどう思いましたか。」
「日本人が、伝統文化を非常に大切にして、遺していることは有名なことです。私達はよく知っています。
別に外国人むけに騙そうとしているとか、そんな印象は今まで一度もない。」
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どこへ食事に行っても、駅で道を聞いても、公園でベンチに座っていても!
皆、英語で話せますね。 もっと、日本語しか通じない国だと思って、覚悟していましたから、
アメリカからいらした女性
「政府が、学校で教える歴史を、勝手に書き換えてしまうという事は、非常に嘆かわしいことです。
(日本は韓国と長く友好関係にあったのに、日本ではそれを教えていない。という話題から)
最近のアメリカの子どもたちは、奴隷制度について正しく教わりません。
メイフラワー号に乗って、黒人も白人も仲良くやって来て、そして、みんなで仲良く建国しました。
という風に教わるのです。あの虐殺についても、奴隷制度自体についても、まったく教わらない。」
「ちょっと、黒人の方に申し訳ないですね。」
「何もできない、危機感を持たない子供が育てられるのですよ。親も家庭教育を投げ出して、学校に任せます。そして、学校も家庭に任せて。まったく!」
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アメリカ人 4人の親子
「日本のホテルにはうんざりしてる。
なんで、あんなに高いんだ。ひとつひとつの細かいサービスが、いちいち吹っかけてきて、高い。ああやって、外国人を騙して、お金を取ろうとしているんだ。
魂胆がみえみえだ。もてなしは一切感じない。」
(竹の葉を描いていて、急になにか思い出したのか、怒りはじめた。)
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今、ざっと思い出せるのがこれ位ですが、意外すぎる外国人旅行客の本音に、
驚かされることも度々あります。
出会った、誰彼ともお話がはずむ訳ではないのですが、
水墨画だけではなく、水墨画を通して出会う、という事が
やはり一番すばらしいことかな、と思っております。
琳派墨絵クラブ