琳派墨絵保存倶楽部・部誌 「なてし子」

江戸琳派の祖、酒井抱一家に伝来する本格的な琳派の画法を継承している「琳派墨絵保存倶楽部」の活動日誌ブログです。

⑨屏風絵のたのしみ「夏秋渓流図屏風」 左右から見える光景

2021年12月15日 | 琳派、日本画、酒井抱一

 

こちらが、右側からこの屏風をみた時の、

幹ばかりの光景です。

重々しい感じがしますね。

地形もなだらかです。

点苔も、静的。

 

そして、こちらが、左側からこの屏風をみた時の光景です。

こちらの画像ではどうしても黄色になってしまい、

金色でさえ表せないのですが、

実際の作品は、本当に迫力があるものなんですよ。

美しい平和や、愛が、

燦めいて、輝くように伝わってきます。

点苔は、螺旋を描いて動的なかんじです。

遮るもののいない、金色の広い空がひろがっています。

 

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並べてみましょう。

この百合の花の大きさですが、

このサイズ感が必要だったと思います。

   

この屏風は、こうして拝見しますと、

2つの世界を描きたかったのではないかな~と

思えてくるのです。

 

その二つの世界が、それぞれ何であるのかは、

鑑賞する側のひとり一人に委ねられているでしょう。

 

しかし、当時の作家達が、個人の思想を反映した作品を

作る機会がどれ程あったでしょうか。

其一の個性というものが、改めて考えてさせられます。

また、其一をとりまく人々、

つまり支援する人、反目する人、といった環境についても、

多分に思いを馳せる理由がある作品だと思います。

 

では、最後にあらためて、正面からです。

一見、異様なようでいて、時代を超越した、人間世界の有り様を

伝えてくれる屏風絵だと思います。

 

この偉大な作品に

敬意を表さずにはいられません。

 

2020年、重要文化財に指定されたそうです。

 

 

次回のブログでは、屏風・豆知識です。

 



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