ところで屏風作品ですが、
そもそも どの屏風も3つの視点から絵を楽しめるのを
ご存じでしたか?
こちらが今回の屏風絵です。正面から撮影された写真で、
絵もまっすぐ横にのばして、平らにしてあります。
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現代の私たちは、
絵は真っ平らなもの、四角い形のものだと思いがちなのですが、
それは絵の歴史からみると、
結構、最近のブームかもしれません。
特に、屏風の作品は、
立てて飾って使用します。
使う時は、「くの字」に折り曲げて立てます。
そうしますと、3方向からの絵画作品ができるわけですね。
例ですと、こちらは教室で使用しているお手本ですが、
正面からみた図です。
三つの個所で折れ曲がっています。4つの面に分かれています。
どの4つの面も、見えていますね。
(正面)6種類の雑木図。濃淡のコントラストがはっきりしている。
次に、左側からみた同じお手本作品です。よく見える面と、まったく見えなくなる面がでてきます。
一番左がわ、手前にきた面は見えていると思います。
この様に、左側からみるときは、
【一番手前、その次、…ひとつの面を飛ばして、…その次の面】
と途中の面を抜かした絵を観覧します。
(左側から)6種類の異なる木の葉の形状がみえる。右に行くほど小さく、上に上がって奥行きがある。雲間に消えそう。
(右側から)6種類の異なる木の幹だけが見える。下から上へ、雲を突いている。
すこし、画像が鮮明ではないため、分かりにくい所もあるかもしれません。
このようにして、屏風絵は
正面から、左側から、右側からの3種類の絵が楽しめるようになっています。
そして、正面からはもちろんですが、
左側からは別の絵が、別の構図で現れてきて、
右からも同じように別の絵になります。
構図についても、正面から見ても、
左右のどちらからみても良いように、考えられて作られます。
絵のテーマは3つとも同じではなく、
正面から見て伝わってくるテーマに基づいて、
左右ではまた違った視点から、
その同一のテーマをなぞります。
この時に、作者の日頃の思想が垣間見えるので、
左右から見た方が、面白いんです。
とてもマニアックな屏風の楽しみ方のご紹介でした。
しかし、絵の評価は、正面から見える作品になります。
その正面に謳ってあるものが、その屏風絵の評価になります。
でも、それって、どうなんでしょうか。
日本は平面の四角い絵画作品ばかりではありませんので、
屏風作品についても、立ててみて、
正面と左右からみた写真をこそ紹介するというのが
本来のあり方ではないのかなと思います。
さて、この方法で「夏秋渓流図屏風」がどのような作品に見えるのか、
検証してみましょう。
では、次のブログに続きます。