さんぜ通信

合掌の郷・倫勝寺のブログです。行事の案内やお寺の折々の風光をつづっていきます。 

肉そば二題

2012-02-27 22:18:55 | 山形の味

 

 

拙僧の出身地、山形県河北町の名物「つったえにくそば(冷たい肉そば)」。
以前もブログに載せたことがありますが、それこそ、山形名物、河北町名物であります。
B級グルメ全国3位の実績もあるその名物「つったえにくそば」の、実は「缶詰」があるのです。

昨年の暮れに山形・佛性寺の本寺様から御歳暮に肉そばの缶詰セットをいただきました。
河北町出身者の心を鷲掴みにするお歳暮・・・包装紙を開けた瞬間、嬉しさのあまり目眩がしたほどです。

おお、これが噂の缶詰かァ・・・・なになに、きっちんべにばな・・?木村エンジニアリング・・・?
河北町西里・・・なんだうちの実家の近所じゃないの!本寺さんの隣っぽいなあ。
早く食べよう、年越し蕎麦はこれで決まりィ~!

ところが「生麺のお蕎麦もらったじゃないの、これは乾麺だし缶詰だもの、何時でも食べられるじゃない」という家族の一言で(泣く)そのまま手をつけることなく年を越してしまいました。

雌伏三か月、一昨日、無性に「つったえにくそば」が食べたくなり、家長の権限を発動して食べることとしました。

「だれなにゆたたて、おら、つったえにぐそばば、くうじぇ!
       (誰が何と言おうと、私は、冷たい肉そばを食べるのだ!)」


ひとり御本尊様に向かって宣言し、猛然と台所に向かってダッシュ。そしてお湯を沸かすワタシ。

ひさしく山形に帰っていないので、とうとう禁断少女、もとい、禁断症状が出たようです。

しかし、何ということでしょう・・・その日はちょっと肌寒い日でしたので、ウチの奥さまの「あったかいおそばにしましょう」の一言で(大泣き)お蕎麦はあえなく「あたかえにくそば(温かい肉そば)」になってしまったのでした。

家長の風格、まるでなし。

さて、セットになっているのはお肉入りの希釈用つゆの缶詰と、280グラム一束の乾麺。

乾麺はどうも今田製麺の「奴そば」のようですね‥間違ってたらごめんなさい。
中太で腰が強めの、基本的な山形そば。8分ほどで茹であがります。
そばらしい香りもあって、なかなかおいしいそば。

缶詰を開けて鍋に注ぎ、記載してある分量よりもすこし少なめに水を足します。
スライスされた親鳥の肉もけっこう多めに入っています。見た感じではしっかりと味付けしてあるようです。

お汁の味の方は、うんうん、これこれ、この味だよお~!
つったぐない(冷たくない)ことに大泣きしそうだったことも忘れて、心はすでに山形へ、身体はもはや西里人。

汁にちょっと酸味が感じられるので、ネギは刻みではなく斜め切りにして、汁と一緒に温めます。
これでネギの甘みが汁に移って、ちょうどいい感じになりました。

蕎麦も汁も、普通盛り三人前、大盛りなら二人前、と書いてありますが、馬場家では普通盛り二人前の量。

実食、です。

旨い。

肉そばの禁断症状がでたときに緊急避難的に食べるには十分かな、と思って食べたのですが、
どうしてどうして、かなり美味しいです。

さきにも書きましたが、御蕎麦が美味しい。コシといい香りといい、山形をほうふつとさせる味。
お汁もイケます。醤油はマルセイでしょうか、それとも谷地のツルヤでしょうか。
キッコーマンなどのナショナルブランド醤油では、この風味は出せません。

いずれにせよ、地元の醤油を使っている感じがします(これもまちがっていたらごめんなさい)。

ただ、ちょっと残念だったのは、親鳥のお肉がちょっと甘めの味付けになっていること。
コリコリ感は申し分ないのですが、もう少しあっさり薄味にしてあればよいのですが。
缶詰だから、しょうがないかなあ・・・・・

今度は絶対!「つったえにくそば」にして、喰うぞお!

 

 

で、昨晩のこと。

「ららぽーと横浜」に、山形の天童温泉「湯坊いちらく」さんがお蕎麦屋さんを出店していることが判明。
しかも「板蕎麦」があるらしい。

ウチの奥さまが、ちょっと行ってみない?ということで、行ってきました「ららぽーと横浜」。
彼女はお買いものが目当て。拙僧はいちらくさんの「板蕎麦」に惹かれて。

ららぽーと横浜。
広い広い、めちゃめちゃに広い。

この前いった辻堂のテラスモールも広かったけど、こっちも、もの凄い広さ。

西へ東へ、上へ下へとひとしきり歩いてもまだまだ廻りきれないほどの広さ。
すごいです、人間の物欲、煩悩を刺激する物が山ほど並んでいます。

電力消費量も凄いだろうなあ、少し照明消せよ、もったいない・・・・
ここにはこんなにモノが溢れているのに、無いところには無いんだもんなあ・・不条理だなあ・・・

いろんなことを考えながら歩いていると、おお、あったあった、ありました「湯坊いちらく」さんのお店。
そこには、私の食欲煩悩を刺激して余りある「板そば」も。

どんなお蕎麦を出すんだろうなあ、とおもってメニューを見ると、そこにはなんと

「山形名物 冷たい鶏そば 900円」

なるものが!あるではないですか!!!

メニューの写真を見ると、間違いなくこれは肉そば、しかも、つったえにくそば。

家族を置き去りにして(置き去りにされて?)、食べました「つったえにくそば」。

間違いなく「つったえにくそば」です。
汁につかった醤油はきっとマルセイ(だと思う)。
大ぶりに切ってあるお肉も間違いなく親鳥(でしょう、きっと)。噛むほどにじんわり味わいの出てくる、ちょっと硬めのお肉。
お蕎麦も程良い太さと腰があって、満足、です。

ネギが繊維に沿って切ってあるのが、きっと「いちらく」風、なのでしょうが、しかし、
あえて一言申し上げれば、普通に刻み葱の方がよろしいと思います。
冷たい汁そばで白髪ねぎ風に切ったのでは、ネギの苦みや辛みだけが出て、汁や蕎麦の美味しさを殺してしまいます。
また、ネギの量も多かったので、家人にネギ臭いといわれてしまいました。

とはいえ、横浜でこんなに本格的な「つったえにくそば」が食べられるとは思いませんでした。
たった一杯の肉そばが、ふるさとの風景や家族、友人の顔を鮮やかに浮かび上がらせてくれるのですから、
これ以上いったい何を望みましょうや(うれし泣き)。

心が疲れたら、ららぽーとに肉そばを食べに来よう、とひそかに誓った住職でした。

 

でもなあ、やっぱり山形帰って美味しいのを食べたいよなあ・・・誰か用事を作って私を呼んでくれ。

 

今日はここまで。



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