望郷の念、ということばがありますね。
望郷の念に駆られる、というふうに使いますが「故郷を望み見る」ということから「故郷を懐かしく思う気持ちのこと」であります。
望郷の念・・・・・・・ねぇ・・・・よくわかります・・・・・老老介護の家族のことは、いっときたりとも心から離れたことはありません。
望郷の念・・・ただ懐かしいだけではない、いろんな複雑な想いがそのことばにはあります。
私の場合は、ときどき「望郷」ならぬ「望蕎の念」にかられます。
故郷の蕎麦を、懐かしく思うのでありますな。
ほそぅい、つうるつるの蕎麦ではなく、モクモク噛まなければいけないようなふとおーイそばや肉そばが、突然食べたくなるんであります。
望郷の念症候群のひとつでしょうね(*_*)
「手打ち・山形の蕎麦」なんて看板が出ていたら、法衣のままでも店に入って行ってしまいます。わたしはそんなバカな住職です。
八街で葬儀があった時、帰りの道でそんな看板を見てついつい立ち寄ってしまったことがありました。上山のご夫婦がやってる店でしたが、けっこうおいしかったですね。
蕎麦が売り切れたからといって、あらたに打ってくれたのには感動しました。ごちそうさまでした。
さて、せんだって鎌倉の「ふくや」さんで「つったえにくそば」を食べて「望蕎」の念さらに強まってしまった拙僧、いってきました神田の「河北や」。
河北、なんて屋号がついていれば、かほくちょうみん、行かねばなるまい!であります。
松戸の五香霊園に塔婆を納めに行った本日の帰り道、意を決してというか、
誘蛾灯(今はこんな言葉使わないか)に惹かれる蛾のように、ふらふらと「河北や」へ。
まず看板で泣けるというか、テンションあがります。「山形河北町」の文字もさることながら、このゆるゆる感。
「つったえ蕎麦でも食て、ゆっくりやすんでんがっしゃえ
(冷たい肉そばでも食べて、ゆっくりやすんでいきなさい)」
と、看板が老母のように私を招いてくれている・・・・・ああ、わたしにはそう見える。
旭日旗のような上の看板はさておき、「山形肉そば」の大きな文字が誇らしげに通りに面して踊っております。
赤ちょうちんにも目がいきますが、夜は居酒屋になるようですね。
暖簾の左上に「立喰い」と書いてありますが、イス席もあります。
で、店内には「昭和59年に河北町で食べた肉そばの感動が忘れられず・・・云々」の額。
食べたのは「一寸亭」か「いろは」か「定助」かはたまた「葵食堂」か「といや」か・・・・河北町には他にもたくさん蕎麦屋さんがあるので、何処で食べたかはわかりません。
葵食堂の畏友・相沢くんが、以前、福島(?)のひとが肉そばを教えてくれって言うから、何ヶ月もかけて教えてあげたことがあるって言ってましたね。
まあ、その人ではないと思うけど。
そうか、そんなに感動してくれたのか・・うう・・なだこぼれる(涙こぼれる) (T_T)
食券を買ってまつことしばし。
わくわく感丸出しで蕎麦を待つ50半ばのぼうず頭の客を、店員さんはなんとみたか・・・・聞いてみたい。
見ればカウンターの片隅に「河北冷たい肉そば研究会」の旗が誇らしげに翻っているではないか。
ああ。なだこぼれる・・・。
なんとすばらしい、今が旬の河北特産「秘伝豆」まであるではないか。
芋煮、たまこん、あら玉に出羽桜、ダシ豆腐・・・・在京山形県民にとって癒しの店であることは疑いようがない。
(黒板の「旨いハムカツ」も気になる)
待つことさらにしばし、というかあっという間に「おまちどうさま」のおばちゃんの声。
あえてお店の雰囲気を出すために縦撮りしてみたが・・・・・・肉蕎麦の姿がスタンダードであることは、充分お分かりいただけるかと。
小ぶりの丼での提供(ネギの大きさからその量はお解りいただけるかと思います)です。400円。
飲んだ後での〆にはいいだろうなあ。
実食
ん、旨いどれ~!(う、美味いじゃないか~!)
いいじゃん、ふつーに実家の近くのお店で食ってる感じ。すこーし甘めの汁の味も河北そのもの。肉の味もしっかりしてるし、ああ、いい店だわ。
欲を言えば、蕎麦をもすこしなんとかできないかな・・・・ちょっともそっとした感じがあるので・・・西川町の月山蕎麦あたりでもいいんだけど。
量が少ないので、冷たい中華と、
河北スタイルのカツ丼(ソースカツ・・河北ではネギがのってないけど、これは大いにアリかも)も食べました。
三つ食べて、お腹いっぱい、って感じですかね。
美味いです。東京に行ったらここに来よう。そんな気持ちになります。おばちゃんたちの接客も気持ちいいし。
いやあ~~~~いいわ、里帰りした気分(^o^)/
癒されるねえ(^^♪
今度は夜に来よう・・・・・今日はここまで。