「おいあくま」
「おいあくま」といっても、誰かの悪口を言っているわけではない。これは自分自身への戒めの言葉。
「おいあくま」の「お」は、怒るな、の「お」。
怒鳴り散らしてばかりでは、どんなに正しいことであっても相手には伝わらない。
北風と太陽ではないけれど、本当に心から伝えなければならないことは、相手に解るように、粘り強く穏やかな心で話さなければいけない。
「おいあくま」の「い」は、威張るな、の「い」。
ちょっとうまく行ったり成功したりすると、すぐに威張りだす人間がいる。どうだって顔して、天狗になって。
でもそんなふうにばかりしていると、今度は自分の足元が見えなくなってしまう。ちいさな石ころや穴に足を取られて、転んでしまう。
大失敗の原因にだってなりかねない。
「実るほど頭の垂れる稲穂かな」という言葉があるように、上手くいったら、成功したら、今度は謙虚さを身に付けなければいけない。
「おいあくま」の「あ」は、焦るな、の「あ」。
焦って物事をすると失敗するのはよくあること。急がば回れ、ひとつひとつしっかり積み上げて行くのが一番の近道だ。
それに、焦って仕事をしていると悪魔のささやきが聞こえることがある。
「そんなところ、誰も判らないから手を抜いちゃいなよ」「見た目がよければ、誰もわかんないよ」
そんな声に乗せられて手を抜こうものなら、後になってとんでもない大事件や大事故が起きるのはわかりきったところだ。
「おいあくま」の「く」は、くさるな、の「く」。
どうやったって上手くいかない、おれには運が無い、なんて簡単にあきらめてはいけない。くさってはいけない。
右肩上がりで成長するばかりの人生なんか、ありはしない。震災や経済の低迷、こんな時期だってある。
バネはギュッと圧されて小さくなっている時が、一番力が溜まっているとき。
上から圧されて小さくなっているけど今は力をためている時だ、って前向きに考えていくことが大事。
「おいあくま」の「ま」は、負けるな、の「ま」。
他人と競争して勝った、負けたではない。
自分の中の弱い部分。怒ったり、威張ったり、焦ったり、くさったりするような、そんなに弱い心に負けてはいけない。
お こるな
い ばるな
あ せるな
く さるな
ま けるな
それぞれ一番上のことばだけを横並びにすれば、「おいあくま」。
毎朝、御仏壇に向かって御本尊様、ご先祖様にお参りする。
お参りの最後に、御先祖様から言ってもらっているような気持で、自分自身に向かってつぶやいてみる。
「怒るな」「威張るな」「焦るな」「くさるな」「負けるな」
おいあくま、だぞって。
今日はここまで。
でも、そうありたい、と願いながら生きていくことは大事ですね。