3月20日午後3時より、合掌の郷・春彼岸先祖供養の合同法要が行われました。
それに先立ち、午後1時半からは風月庵主・丸山劫外法尼さまをお招きし、「いぶし銀のように自分を生きる」という題で法話をいただきました。
多くの参拝者の方々が、しきりにうなずいたりメモを取ったりしながら、お話を伺っていました。
今回は住職のメモから、丸山法尼さまの春彼岸の法話の内容を掲載させていただきます。
なお、当日に頒布させていただきました、丸山法尼さまの本「雲と風と月と」は、好評につき20冊完売いたしました。
追加で10冊取り寄せましたので、ご希望の方は管理事務所でお求めください。
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いぶし銀のように自分を生きる
①目立たないけれど魅力のある人、底力のある人
「輝いて生きる」→表面的な華やかさ
「いぶし銀」 →華やかさはないが実力がある
②中国禅の祖師方に「いぶし銀」の生きかたをみる
→多くの祖師たちは、山あいの、または山奥の人の住まないような所でひたすらに坐禅をした。
大梅(だいばい)禅師:蓮の葉っぱの服、木の実の食事
「隋流去(ずいるこ)」の話
しゅ杖(僧侶の使う杖)になる木を探しに山に入り、山中で道に迷った僧侶に、大梅禅師が、谷川の流れに従って下山すれば、里に出られると教える。
→何かを追い求め続けて道を見失っているが、自然の道理、摂理に従ってゆけば、道に出られる。
③奇跡のりんご・・完全無農薬のりんご栽培
絶対不可能といわれた無農薬でのりんご栽培の常識を覆した農家・木村秋則さんの記録
農薬の散布後いつも奥さんが寝込んでしまうのをきっかけに、不可能と言われた無農薬によるりんご作りに挑戦。
8年間、りんごが出来ないどん底の時代を経験する。絶望から死に場所を探して、岩木山に登った。
さまよい歩くうちに、山中の木は農薬を散布しないのに、虫が付いたり、病気になったりしていないことに気づく。下の土を掘ると、ふかふかとやわらかい。ハッと気づいて山を駆け下り、改めて土作りから始める。
8年目の春、リンゴの木に7輪の白い花が咲き、その年2個だけではあるが、リンゴの実が実った。
貧乏のどん底を味わった家族7人で、この2個のリンゴを分けて食べたそうだが、この上もないおいしさであったという。
そして翌年からは多くの実がなり、今では本当にこんなおいしいリンゴはどこにもないだろうというほどのリンゴができるようになっているとのこと。
農薬を散布して花や実を消毒することだけを考え、見えないところへの配慮を怠っていた。自然を離れて自分はない、自分も自然の中の一風景であることを悟った。
→他人の評価に左右されず、コツコツとなすべき事をして自分の道を貫いている木村さんの生き方こそ「いぶし銀」の生きかたではなかろうか。
④良寛さまの生き方
庄屋の長男→出家
岡山、玉島の円通寺・国仙和尚について修行・・・国仙和尚遷化(死去)の年まで(良寛33歳)
耕雲流水、修行の後、父親の死去に伴って出雲崎に戻る。
40歳から、国上山(くがみやま)の五合庵に住まいし、村の人や子供と交わりながらの生活。
書や詩歌に秀でる。
人の世の愁い、悲しみに心を砕きながら、誰に見られるでもないが、修行を怠らずに、自然のなかで頭を垂れながら生きられた「いぶし銀」の生き方。
⑤「いぶし銀」のように生きられる、道しるべのような漢詩を紹介します。
「半夜」
首(こうべ)を回(めぐ)らせば五十有余年
人間(じんかん)の是非 一夢の中(うち)
山房五月 黄梅の雨
半夜蕭蕭(しょうしょう)として虚窗(きょそう)に灑(そそ)ぐ
半夜 (はんや・・夜中のこと)
ふりかえれば、はや50年余の人生
その間に味わったこの世のいろんな事柄、是も非も、まるで一夜の夢の中の出来事のよう。
国上山中、真夜中の五合庵。開け放たれた窓から梅雨時の雨がしとしとと降り注いでいる。
⑥まとめ
「いぶし銀のように生きる」その生き方は、なかなか味わいがあります。自分のなすべきことをじっくりとつとめる。ただひたすらにつとめる。そして他人の評価に振り回されないこと。
私の本師・余語翠巌(よご すいがん)老師も常々「何が善いか悪いかわからんぞ」とおっしゃっていましたが、価値判断に振り回されずに生きることが「いぶし銀」の生き方ではないでしょうか。
また、誰も自分の代わりに生きることも死ぬこともできません。迷ったとき、つらいとき、自分自身が自分自身に安らぎを与えてください。それには真の信仰を自分自身が持つことでしょう。
特に私たちは仏教のご縁を頂いているのですから、仏教を通して安らぎを得ましょう。「南無釈迦牟尼仏」と唱えつつ生きましょう。自らが唱えつつ生きましょう。
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今日のおまけ
彼岸会の準備等でお寺にこもっているうちに、境内や緑地ではいろんな花が咲き始めました。
紫花菜(むらさきはなな) 柔らかな紫色が心を和ませてくれます。
アンズの花も満開です。昨晩の風雨(3・22)で、ダメになっていなければ良いのですが。
一重の花弁とえんじ色の萼が可愛らしい花です。
鳳倫閣前の辛夷も咲きました。
緑色の蘂と萼を持つ桜(だとおもいます)。桜は種類が多いので、名前はわからないですね・・
一株だけの白い水仙は、個人のお宅の墓地に咲いていました。
なにか想いを込めて植えられたのでしょう。
緑の葉のすがすがしさも、春の暖かさを感じさせてくれます。
ひなたぼっこしているような、さんぜの仏様。
緑地のユキヤナギはもう満開になりました。
いつもは桜と同じ時期に咲くのですが、今年は早いようです。
今日はここまで。