さんぜ通信

合掌の郷・倫勝寺のブログです。行事の案内やお寺の折々の風光をつづっていきます。 

平成20年 春期ペット合同供養

2008-03-25 08:27:54 | 倫勝寺の行事報告

彼岸明けの23日(日曜日)、ペットメモリアルガーデンで春季合同供養が行われました。
この数回ずっと雨に降られ続けてきたペット合同法要ですが、今回は穏やかな天気に恵まれ、
おまいりの方々もゆったりした気持ちでお子様方のことを想い出すことが出来たのではないでしょうか。

当日の模様と、住職の法話を採録いたします。

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「なにゆゑに 砕きし骨のなごりぞと 思えば袖に 玉ぞ散りける」

昔、大変に活躍されたある仏教宗派の開祖の方がおられました。
しかし時が過ぎ、開祖の方も命の灯が尽きてついに涅槃の世界に旅立たれました。
一つの宗派を興したほどのお師匠さまですから、葬儀にはその死を悼んで多くの方々が弔問に見えられたそうです。
沢山のお弟子や信者の方がいたのですが、実際に葬儀の準備をしたのは、身近にお仕えしていたごく少ない方々でした。
具合が悪くなってからずっと看病したのはもちろん、亡くなった後、悲しむ間もなく訃報を伝えるためにあちこち
駆け回ったり、法要の準備や弔問客の相手をしたり、ご飯の用意や宿泊の手配をしたり・・。

今のように葬儀屋さんや料理屋さんがあるわけではありません、電話もありません。
何をするにも全部自分たちで行わなければならなかったのです。
少ない人数では、葬儀の段取りをするだけで、大変な苦労があったと思われます。
しかも火葬まで自分たちで行わなければならなかったのですから、
その大変さは筆舌に尽くしがたいものだったに違いありません。

火葬も今のように一、二時間で終了というわけにはいきません。
薪を組み上げての火葬は収骨までに丸々一昼夜、天気が悪くなれば三日かかってもダメなこともあったそうです。
野犬が来て荒らさないように警戒したり、お骨がきれいに残るように火の加減を見たりと、常に気を配っていたのです。
お師匠さまの亡骸を荼毘に付しているのですから、火葬の最中も横になって休むということはありませんでした。

 

ようやく収骨できるようになったとき、気は張っているもののお弟子さんたちは心身ともに疲れ果ててしまっていたのでした。
「あれほど元気でどんな困難も乗り越えてきたお師匠様でも、やはり死というものからは逃れられないのだ・・」
「世はみな無常なり、というお釈迦様の教えは間違いないのだ。」
疲れから気弱になったお弟子さんたちは、頬に涙を光らせながら焼け残った薪や灰の中からお骨を一つ一つ拾い上げていました。
中には悲しみに手が震えたのか、取りこぼしたお骨が割れたさまに声をあげて泣きじゃくっている者もいます。
その声に誘われたかのように、新たな悲しみが募ってきます。

 

そんな中であるお弟子さんが、ふとこんなことに気づきました。
「このお骨の割れたさまや砕けているさまは、ただ火に焼かれたからとかお師匠さまが年をとっていたからではない。
きっと私達弟子や信者を導く為に、見えないところで骨を折ってくれていた、その数だけこんなに沢山お骨が砕けているのだ」
 そう気がつくと、お骨の割れた様子がとても尊いものに思えてきたのです。

「ああ、このお骨の割れているのは、私を叱ってくれた時のお骨折りであろうか、こちらは若い時の修行のお骨折りか、こちらは法難に遇った時の・・」
 有難さに涙が溢れ出てきました。
お師匠さまの弟子になれてよかった、同じ時代に生まれることが出来てよかった、尊いご縁を結ばせていただいて本当に良かった、と。
 そして彼等はこう誓ったのです。

このご恩に報いる為に私たちはこれから何をなさねばならないのか、
どうやってお師匠さまの佛法を次の世代に伝えて広めていけばよいのか、
やらねばならないこと、考えなければならないことは沢山ある。これまで以上に精進しなければ!と。

後に開祖様の御廟を訪れた弟子の詠んだ和歌が、冒頭の一首です。
「なにゆゑ」とは他の誰でもない、弟子や信者のことを思っての為でありましょうし、
「袖に玉ぞ散りける」とは涙の玉が袖にこぼれるということでしょうけれど、
その涙は悲しみの涙ではなく、有難さからの感激の涙であったのでしょう。

時代が変わっても立場が違っても、人はそう変わるものではありません。
この歌の作者がそうであったように、誰にでも大事な人やお子様方との素晴らしい思い出があり、
死に際して心に誓った想いや言葉はきっとあるはずです。悲しみの中にあっても「生きる力の種」は既に心の中に蒔かれているのです。
悲しんであげるだけが供養ではありません。元気だった頃のお子様方の様子を思い出し、
お子様方から頂いた「生きる力」を毎日の暮らしの中にしっかりと生かして頂きたいと思います。

今日のおまけ

上の2枚は昨日お邪魔した鎌倉・龍寶寺さまの木蓮。ちょうど見ごろでした。白木蓮はまるでソフトクリームのようです。

 

雨上がりの馬酔木。きれいですね。

 こ

こちらは雨上がりのこぶし。馬酔木とおなじく、戸塚法人会館わきの並木です。
こぶしをもう一枚。



今日はここまで。

 



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